日経:中国のGDPは日本の2倍(世界銀行)……こんなことにカリカリしてはいけない


今朝の日経。購買力平価で換算すると中国のGDPは日本の2倍になる、日本がインドに抜かれるのも時間の問題との世界銀行の推計がでている。ニッポン至上主義者たちはさぞ歯ぎしりしていることだと思うが、数字というものは厳しいものである。あまり数字を軽視するものではない。これに加えてあっと驚く数字を紹介しよう。

この世界銀行の推計は購買力平価によるもの。面倒くさいので購買力平価とはなんだという説明は省くが、国の経済力を客観的に国際比較するための唯一の合理的な指標であると認識されたい。この購買力平価の比較では日本の経済力はとても世界第二位の経済大国なぞとは呼べたものではない。日本人の多くの思い上がりや国際的・国内的大盤振る舞いは、これを誤解していることから生じている。

中国経済の将来性についても、ほとんどの民間企業は正しく認識しているに拘わらず、多くのニッポン至上主義者たちはまだまだ信用していない。石原都知事なぞは「中国はやがて転ける」と公言しているが、その代表的なものだ。貧しい国が急に豊かになるわけがないというのだが、それは彼等の期待でしかない。中国はもともと貧しい国なぞではなく豊かな国であったからだ。

その観点から見て興味深い数字がある。OECDのエコノミストが膨大な統計を駆使して1820年代からの世界経済を統計的数字で推計したもので(『世界経済の成長史 1820〜1992年』アンガス・マディソン著、東洋経済新報社 )4800円とちょっと高い本だが、さわり部分の数字だけを紹介する。

1820年時点と1992年時点での経済大国上位10カ国

GDPの世界総計に
占める割合(%)
人口の世界総計に
占める割合(%)
1820 年


1.中国
28.7
35.5
2.インド
16.0
19.6
3.フランス
5.4
2.9
4.英国
5.2
2.0
5.ロシア
4.9
4.2
6.日本
3.1
2.9
7.オーストリア
1.9
1.3
8.スペイン
1.9
1.1
9.米国
1.8
0.9
10.プロシア
1.7
1.1
上位10カ国合計
70.5
71.7
世界総計
100.0
100.0
1992 年


1.米国
20.3
4.7
2.中国
12.9
21.4
3.日本
8.6
2.3
4.ドイツ
4.9
1.5
5.インド
4.2
16.2
6.フランス
3.7
1.1
7.イタリア
3.4
1.1
8.英国
3.3
1.1
9.ロシア
2.9
2.7
10.ブラジル
2.7
2.9
上位10カ国合計
66.8
54.9
世界総計
100.0
100.0


つまり19世紀の初頭には中国は現在の米国以上の経済的超大国であったのだ。ただ軍事費にあまりお金を使わなかったものだから、海賊達(世界の列強とも呼ぶ)に良いようにやられてしまったに過ぎない。この数字を知らなくて、中国経済の将来を語ることは出来ない。また中国人達が「外人達」にどういう気持ちを持っているかということも理解できないだろう。

蛇足ながら、19世紀初めには日本の経済的地位も世界的に見て結構いいところに行っていたことがわかる。明治以来の近代化と経済発展を「奇跡」なぞと過大評価してはならない。むしろ明治以降の発展は、昔の日本の地位を取り戻す過程であったとも言えるのだ。中国においても同じことが言える。


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Posted: Mon - July 19, 2004 at 03:23 PM           |  


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