NHK BS7:「EU拡大で変わる人々のくらし」、感慨深かった、賃金格差こそ経済発展の原動力だ!


EU拡大の実現で、いろんな論説が目白押しだ。問題山積という論調が目立つが、みんな「ポリティカリー・コレクト」すぎるんだよね。メリットを全然過小評価している。今晩のNHK BS7 はこの問題をよ〜く報道していた。EUの本当のすごさは、域内に中欧・東欧という賃金の安い「第三世界」を取り込んだことにあるのだ。これはすごいことですよ!

これはPC(ポリオティカリー・コレクト)じゃないので、あまり誰も指摘したがらないことだが、経済発展の原動力は要素コストの格差が顕在化することにあるんだよね。 帝国主義的植民地政策が経済成長をもたらしたのは要素価格(すなわち賃金格差)の格差を貿易という経済統合で自国に取り込んだことにあるし、アメリカが元気がいいのは、国内に移民という「賃金格差」を取り込んできたからである。現在の中国が経済成長をしているのも、沿岸部と内陸部という二つの格差を一国内に持っているがためだ。

日本列島においても同じことが観察される。日本における最初の商業(交易)は縄文時代に始まる。日本の内陸にしか産出されない黒曜石(やじりの原石)が八丈島でも発掘されるのだ。商業が縄文時代にも存在した証しである。この交易は日本列島内部での要素価格の格差によりはじめて成り立ったものなのである。

戦後のIMF・WTO体制下の自由貿易システムが世界経済の発展に大きく寄与したのも、この要素価格格差の取り込みに成功したからに他ならない。きれいごとは抜きにして、日本人の高い生活水準も第三世界の低賃金の上に成り立っていると言って過言でないことを素直に認め得るべきなのである。でも自由貿易体制もなかなか真の意味での自由貿易ではなく、いろいろな抵抗があり、なかなか思うとおりにはいかない。特に牢固な抵抗勢力は国内の既得権保持者層にある。

ところがEUは、EUの拡大でもって、はじめて倫理的にこの格差を域内に取り込むことに成功したのである。これは経済的にすごいことなのだ。日本のはるか先をEUは行っているのである。EU先行き悲観論者は、このきわめて当たり前のことがよく認識していないように思われる。

日本経済の停滞の大きな理由の一つに国内の所得の平等化がある。あまりに不愉快な事実であるために、経済学者たちは誰もこれを言おうとはしないが、紛れもない事実である。日本経済のこれ以上の発展の鍵は、アジア諸国との間での水平・垂直分業のさらなる推進にしかない。所得格差のメリットを日本国内に取り込むしかないのである。それにも拘わらず、最近の「ナショナリズム」の名前のもとに経済の統合化を阻止しようとする動きが一段と強くなっている。これは日本経済の潜在的な成長力を削ぎ日本経済を停滞化させるものに他ならない。



Posted: Sat - May 1, 2004 at 09:37 PM           |  


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