NHKクローズアップ現代「変わる農業、企業参入の行方」……でも本質的には何ら変わってないよ


昨晩のクローズアップ現代。「変わる農業」と題して企業参入の現状を報告していた。でも、本質的な問題は全然解決されていない。小手先だけではどうしようもない。

紹介されたのは三件。まずカゴメが大規模ハウス栽培のトマト生産に乗り出したというお話し。近代的な工場のような巨大なハウスを造って、温度管理の元で均質なトマトを年中栽培している。かたちと大きさが一定の高級トマトを年中生産できるので「高く売れる」とのこと(カゴメ執行役員の発言)。こりゃ〜、野菜は安くならんわ。カゴメにとっては高く売るためには生産性の低い農家の存続が不可欠なわけで(寡占超過利潤を享受していた戦前のUSスチールだね)、こんなのが構造改革につながるとは思えない。

次に紹介されたのは建設会社の「兼業農家」。兼業農業が問題だとい言うのに、企業レベルでも兼業だ。人員が余っているからなんとか活用しようと言う企業の多角化は成功した試しはない。あれじゃだめだ。

3番目に紹介されたのは、山間中部で各農家が共同で「農業作業会社」を設立し、その会社に農作業を発注するというやり方。一応生産コストはかなり下がったらしい。でも根本的な問題は農家が農地を絶対に手放さないと言うこと。農家にとっては、ほとんどなにもしないで収入が入ってくるのだから、とても良いことだけれど、生産性向上の成果は消費者に還元されない。これでは21世紀の「小作農業」以外の何ものでもないではないか。それこそ「平成の農地解放」がなければならない。

日本の農業の根本問題は、農地の売買が極端に難しいこと。ゲストに招かれた農業経済(?)の先生は、それには「国民的議論が必要です。今は何も出来ない」と逃げていたが、資産売買の自由は憲法で保障された国民の権利だ。農地法がおかしいのである。

西欧諸国の農業の生産性の向上は中世以来繰り返して行われた「エンクロージャー」のたまもの。日本における「エンクロージャー」無くして日本の農業の生産性向上は期待できないと思う。


サイト内関連記事(キーワード「エンクロージャー」で検索

Posted: Thu - July 8, 2004 at 11:13 AM           |  


©