ゾラ『パリの胃袋』……勉強になった!


今日読んだ本。最近19世紀パリに関心がある。この本、ごっつい面白く一気に読んだ。勉強になった。

この本:

パリの胃袋
パリの胃袋エミール ゾラ ´Emile Zola 朝比奈 弘治

藤原書店 2003-03
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おすすめ平均 star
star食べ物が語る・・・「ふとっちょ」と「痩せ」の対立
starゾラは鋭い

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舞台は第二帝政時代のパリ。経済発展の最中で商店主などの普通の庶民階級がたくましく力を付けてきた時代。そのパリに昔バリケードを築いた「活動家」が7年の流刑生活から逃げ出して舞い戻ってくる。時代は完全に変わっている。彼は「ごく普通のまっとうな」庶民から疎外されていく。最後はもちろん彼にとっての悲劇。でも彼の周りの人たちはとても幸せになった。

面白かったこと(思いつくまま):
  1. トクヴィル、サヴァランの書く貴族社会とも、バルザックの書くブルジョワ社会とも、「レミゼラブル」の貧民社会とも全く違った新しく誕生した庶民社会が、執拗なまでに詳細に書かれている。何れも19世紀のフランス社会だ。全部読まないとあの時代のフランスは分からない。
  2. レ・アール(パリ大市場)が舞台であるだけに、食物の描写がすさまじい。生きることは食うこと、食うことが闘争、それがエネルギーになる、食うためには動物を屠殺する、それすなわち弱肉強食社会。でもフランス食材の勉強のためにはこれほどいい本はない(腎臓ソーセージのアンドゥイユなんかよく出てくるけれど、食いたくってたまらなくなるな〜。日本じゃどこで売っているのだろう)。
  3. 出てくる美人(挿絵付き)は、すべてルノアール型美人。商売で成功することは、とりもなおさずたくさん食べられるようになること。肥っていることはいいことなのである。痩せている人間は、怠け者か反体制主義者とかで、胡散臭いとされる。庶民がたくさん食べられる社会には革命は無用となる(現代中国人は農村部も含めた平均で日本人よりたくさん良いものを食べているらしい 。中国共産党王朝は当分大丈夫だね)。
  4. このようなお金を持った都市庶民階層は、ナショナリズムとは無縁。お金を儲けさせてくれるかぎりアホなナポレオン三世でも支持する。国民を豊かにするかぎり政権は安泰なのだ。都市住民を豊かにせずして国民のウヨ感情に訴えることで政権安定を図ろうとするどっかの国の総理は、「戦略的ミス」を犯しているのではないか。
  5. 親切な「まっとうな」女が一番保守的。それで最後には異端者をやっつけて勝つ。女は怖い。
  6. 商店主の老後は、貯金と商売の権利を売ったお金で金利生活をするのが普通だった。ランチエ生活。ニッポンのゼロ金利社会は高齢者に異常に厳しいな。

Posted: Wed - April 25, 2007 at 04:33 PM           |


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