『国家の品格』:この本には残念ながら、「よそさま」に「言って頂く」という姿勢が乏しい(内田樹)


『国家の品格』という本が売れている。痛快であるとともに、とても違和感が残る本だ。理由がよくわからなかったが、きょうの内田先生のブログを読んでわかった:
内田樹の研究室: 母語運用能力と『国家の品格』: "「国家の品格」というのは誰が決めるのかということが問題である。
品格というものは本質的に外部評価である。
「私は品格が高い」と本人が大声で呼ばわってもしかたがない(というか、そういうのはふつう「夜郎自大」と言って、「とても品がない」人間に典型的なみぶりである)。
「あの人、品がいいね」というのはよそさまに言って頂くものである。
この本には残念ながら、「よそさま」に「言って頂く」という姿勢が乏しい。"
これ、本質をずばっと突いているコメントだ。

この本に書いてあることの9割は正しい。でも「論理は起点次第」であり、9割正しい事実関係であってもまったく間違った結論に誘導することが可能だということが「科学的に」立証されていると著者は書かれているが、ご自分が書かれたこの本がいい例となっている。

間違った誘導とは「自由・平等・友愛」という基本的な人類の知恵を揶揄してしまったこと。更に「民主主義」ですら著者は否定的に取り扱っている。勇み足である。

チャーチルがいみじくも言った「民主主義とは限りなく問題がある制度である。しかし、ほかのどの制度よりも問題が少ない」という言葉を噛みしめるべきであった。

Posted: Mon - March 20, 2006 at 08:46 PM           |  


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