12/3 Today 永井荷風の誕生日(1879)


きょうは、われらが永井荷風の誕生日(1879)。誕生日と言っても特別のことはなにもしなかったようで、日記『断腸亭日乗』でも「きょうは余の生まれし日なれど特に何もなく・・・」というような記述の年が続いている。

例えば昭和16年12月3日:
晴れて暖なり。わが生まれし日なれど祝盃を挙る所もなく語るべき人も尋ね来たらざれば平日の如く飯を炊き庭を掃き土州橋に行きて薬を求め灯ともし頃に帰る。詩も発句も歌もなし。

一寸拗ねているのかと思ったときもあったが、最近、荷風のこういう心境もなんとなく分かるような気がしてきた。特になにもない普通の生活。食事の支度とか庭の掃除とか買い物とかで時間が過ぎてゆく。それを「意味のあることはなんにもやらなかった、今日は無為に過ごした」と感じて焦るのか、その自分の身の回りの「小さな世界」に幸せを感じるのか、どちらがいいか。

小林秀雄は、後者だという:
「幸福とは、己を主張しようともしないし、他人を挑発しようともしない。いわば無言の智恵であろうが、そういうものも亦大思想であると考える事が、現代では、何と難しい事になったか」

荷風の誕生日の過ごし方も、「亦大思想」であったわけである。

Posted: Mon - December 3, 2007 at 07:26 AM           |


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