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五大湖と大西洋を結ぶセントローレンス運河開通(1959)
これは日本にとっても大きな意味を持った出来事だった。五大湖周辺のアメリカ工業地帯に日本の鋼材を供給できるようになったのだ。でも、問題があった。それは……。
冬になると水路が凍ってしまうことだった。運河が凍っては日本からの貨物船は通れない。陸上輸送には莫大なコストがかかる。鋼材とは毎日消費される産業のコメであり、季節限定の供給しかできないのでは顧客を広げることは難しいのだ。ところが当時の日本の商社マンには知恵者がいてこの問題を解決した。
誰かがセントローレンス運河が凍結する冬の間はミシシッピー川を利用することを考えついたのだ。ニューオルリンズで本船から巨大バージに鋼材を積み替え、延々とアメリカ大陸を縦に突っ切りシカゴまで運ぶのである。アメリカ大陸を水路で縦割りできるとは思いもつかないことだった。運賃は直接貨物船で五大湖まで行くより高くなるが、夏冬二本立ての鋼材価格とすることで対処。それでも充分競争力のある価格設定ができ、日本の対米鉄鋼輸出は飛躍的に伸びる。鉄鋼輸出が牽引車となり、日本経済は高度成長期に入る。
これを考えついた商社マンの名前は伝わっていないが「プロジェクトX」もの。このような名前の伝わっていない多くの「英雄たち」が日本をここまで豊かにした。
(初出:2006.4.25)
当時の日本の戦略産業は鉄鋼業だった。海外からの技術・資金導入で建設した最新の設備であったこと、臨海立地のためグローバルに世界で一番安い資源が調達が出来たこと、および当時の日本の安い労賃が世界最強の競争力獲得を可能にした。今や前提条件はかなり変わってしまった。それに拘わらずいまだに鉄鋼業などの従来型産業がニッポンの基幹産業として頑張っている。それに替わる他の新産業が現れなかったようだ。
Posted: Fri - April 25, 2008 at 11:20 AM
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