3/25 Today 永井荷風の『ふらんす物語』が発禁処分 (1909)……なぜ?


永井荷風の『ふらんす物語』が発禁処分を受ける(1909.3.25)。荷風の代表作でありポルノとはほど遠い内容。また既に雑誌に発表していた短編を集めたものだっただけにみな驚いた。印刷した本は売れなくなるし、荷風は出版社と金銭トラブルを起こすことになる。なんで発禁となったのか?

どこが悪かったのか当局は説明していない。当時の日本ではお上は説明をする必要はなかったのである。通説ではパリの日本大使館に勤めるやる気のない外交官を主人公にした短編「雲」のせいだと言われている。大日本帝国の外交官はもっとしっかりしているというわけだ。

でも散人は別の仮説を持っている。お偉方の気に入らなかったのは「雲」ではなく絶対に「晩餐」である。リヨンのさる邦銀支店長公邸での晩餐会を描写したものだが、彼等の会話があまりに真に迫りすぎているのだ。同僚のうわさ話、現地手当の話、女中の悪口、ニッポン人はエライという空威張り……。うんざりするほど。100年近く経っても海外駐在員及びその家族の行動様式はほとんど変わっていない。

ふらんす物語
永井 荷風

岩波書店 2002-11
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「パリ」じゃなくて「巴里」な世界

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最近出たこの本では、新事実が明らかに。支店長の実名なども書いてある。荷風の方がひねくれていたとも書いてあるが、どうだかね。

荷風のリヨン―『ふらんす物語』を歩く
加太 宏邦

白水社 2005-02
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(再掲載)

Posted: Tue - March 25, 2008 at 06:27 AM           |


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