12/30 Today 東京に地下鉄が走る (1927)


昭和2年の今日、東京に地下鉄がはじめて走った。区間は上野・浅草の2.2キロ。この日の乗客は10万人にも上り、上野から広小路にかけて長い行列を作ったとのこと。元祖フラヌール(都市散歩者)永井荷風はこの日地下鉄に乗ったのか,調べてみた。

荷風はこの日、小星(ガールフレンドのこと)お歌を伴い上野の広小路に行っている。やっぱり好奇心旺盛な荷風だけのことはある。ただ地下鉄には乗らなかったようで『日乗』には「伝法院裏門より広小路に通ずる公園内の街路は商店夜市の繁栄今はかって雷門仲店を凌駕する勢いなり」とだけ書かれている。地下鉄に乗ろうとする人混みに辟易したのだろう。

注目すべきは、あの時期から既に賑わいの中心地が、雷門から広小路に移動し始めていたと言うこと。浅草の衰退とは今日昨日に始まるものではなく、まさしく由緒あるものなのである。

散人は結構浅草が好き。あの何かしらうらぶれたところが良い。時々神谷バーにも出かける。何でも「伸びざかり」という状態は暑苦しいものだ。十代の若者や、新興工業国なんか、ちょっと暑苦しいのである。「衰退」が始まるあたりが一番好ましい。制度が硬直化してしまった日本も十分発展しきれないままにそろそろそう言う境地か。衰退の美学を味わうか。


(初出:2003.12.30)

Posted: Sat - December 30, 2006 at 07:18 AM           |


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