4/30 Today 永井荷風没(1959)……「祭日。陰。」


永井荷風が死んだ日。この日の朝、出勤したお手伝いさんが一人で死んでいる荷風を発見した。

前日、近所のメシ屋(大黒家)でカツ丼を食べた荷風は、夜中嘔吐。食べたカツ丼を喉につまらせて窒息死した。胃潰瘍を患っていた。

大正6年9月16日「秋雨連日さながら梅雨の如し。」で書き始めたられた荷風の日記『断腸亭日乗』は、この日の前日の4月29日の記述「四月二十九日。祭日。陰。」で終わっている。

詩人ランボーの最後の文章も「牙、二本」という簡潔なものだった(その日の商取引の記録)。十分書きつくした人は、もうそれ以上書くこともないのである。

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どうでもいいけれど、大黒家のカツ丼は「甘くてべちゃべちゃしている」との文章がある(坪内だったか)。散人は「ノー・コメント」。世界中で美食の限りを尽くし東京のレストランを散々けなしまくった荷風としては「ちょっと」という感じだが、晩年の荷風としてはそんなことはどうでもいいことだったのであろう。「世の中にそんなうまいものはないですよ」と当時の荷風は言っていたという。同感である。食に上下はない、あるのは違いだけだ。それぞれにおいしいのである。

(初出:2005.4.30)

Posted: Mon - April 30, 2007 at 10:29 AM           |


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