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ボーア戦争終結(1902)……強制収容所とジンゴイズム(愚民愛国感情)と「食の安全」
イギリスの「南アフリカ浪人」セシル・ローズらが、オランダ人移民(ボーア人)の国トランスヴァール共和国とオレンジ自由国の金とダイヤモンドを手に入れようと、私兵を使って侵略したのが始まり。イギリス馬鹿大衆の高揚した愛国主義(ジンゴイズム)が加わり大規模な侵略戦争に発展。大英帝国は50万人の軍隊を投入するが、ボーア人のゲリラ戦術に大苦戦。なかなか勝てない。世界中からイギリスは非難され、国内の世論も二分し、結局大英帝国を支えたイギリスの精神的強さはこの戦争を境に風化していくこととなる。
強制収容所というのもこの戦争でイギリス軍が発明した施設である。ボーア人ゲリラに対する食糧補給を断つべく、ボーア人の婦女子を強制的に収容所に隔離したのだ。戦争でのボーア兵の死者は4000人程度だったが、強制収容所では栄養失調と疫病のために2万を超える一般市民(婦女子)が死んだ。ヒトラーは後年イギリスへの「当てこすり」のためにユダヤ人収容所に「強制収容所」という英語をドイツ語にしてそのまま使った。当時のイギリスの高名な歴史学者ゴールドウィン・スミスは、のちの駐米大使ジェームズ・ブライスに次のような手紙を書いた(中西輝政『大英帝国衰亡史』):この戦争は、チェンバレンとセシル・ローズ以外の誰にとっても不必要な戦争だ。しかしこの戦争のおかげで。イギリスは世界中から忌み嫌われている。私はイギリスが(百年戦争で)ジャンヌ・ダルクを焼き殺して以来、これほど道徳的に間違ったことをしでかしたことはないと確信する。
この言葉は今のアメリカのイラク戦争にそのまま使用できる。二三の言葉さえ変えれば。つまり:この戦争は、ブッシュとチェイニーの仲間以外の誰にとっても不必要な戦争だ。しかしこの戦争のおかげで。アメリカは世界中から忌み嫌われている。私はアメリカが(第二次大戦で)広島・長崎市民を焼き殺して以来、これほど道徳的に間違ったことをしでかしたことはないと確信する。
ボーア戦争の頃が、大英帝国が一番盛りであった頃だ。漱石が見たロンドンである。しかし結局、この国内世論の分裂が元で、イギリスの指導者は自信を失って行く。今のアメリカもそういうことになるのではないか。ちなみに、ボーア戦争の大義を演出するのに、本当の目的は金とダイヤモンドだったがそれには触れず、「ボーア人は黒人奴隷を虐待しているから、ボーア人の専制体制から黒人を救うのだ」という信じられない詭弁が使われた。この点も今のイラク戦争に似ている。(初出;2004.5.31)英国大衆のジンゴイズムをうまいこと利用して儲けたのがセシル・ローズだが、今の韓国でも米国牛肉をめぐって同じように大衆は盲目的に激高し、日本でも猫も杓子も「食の安全」をヒステリックに叫ぶ排外運動が繰り広げられている。ボーア戦争のように、大笑いするのは結局その大衆感情を煽って儲ける「特定既得権集団」だけなのであるが、それに気がつかないのが「愚民」たる所以。
Posted: Sat
- May 31, 2008 at 07:01 AM
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