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芙美子忌……いま再び林芙美子が新しい
今日は林芙美子が亡くなった日。いま再び林芙美子が読まれているらしい。川本三郎に
よれば「経済が失速して就職難やら失業・リストラの時代となって価値観が崩壊している時代だからこそ、自分の進むべき道を突き進んだ芙美子の生き方に、人
々は共感できるんじゃないでしょうか」とのこと。確かに読むと元気になる。
こういうムックも発売されている:ヴァージニア大学のデータベースに林芙美子の詩が収録されていました。下記:蒼馬を見たり
古里の厩は遠く去つた花が皆ひらいた月夜
港まで走りつゞけた私であつた朧な月の光りと赤い放浪記よ
首にぐるぐる白い首卷きをまいて
汽船を戀した私だつた。だけれど………
腕の痛む留置場の窓に
遠い古里の蒼い馬を見た私は
父よ
母よ
元氣で生きて下さいと呼ぶ。
忘れかけた風景の中に
しをしをとして歩む
一匹の蒼馬よ!
おゝ私の視野から
今はあんなにも小さく消えかけた蒼馬よ!
古里の厩は遠く去つた
そして今は
父の顏
母の顏が
まざまざと浮かんで來る
やつぱり私を愛してくれたのは
古里の風景の中に
細々と生きてゐる老いたる父母と
古ぼけた厩の
老いた蒼馬だつた。
めまぐるしい騒音よみな去れつ!
生長のない廢屋を圍む樹を縫つて
蒼馬と遊ばうか!
豐かなノスタルヂヤの中に
馬鹿! 馬鹿! 馬鹿!
私は留置場の窓に
遠い厩の匂ひをかいだ。
芙美子は荷風の翻訳詩が大好きで『珊瑚集』はぼろぼろになるまで読んだという。荷風の「ましろの月」と較べてみるとなんとなく雰囲気が似ている個所もある。林芙美子が文壇で成功を収めてから凝りに凝って建てたのが、現在の林芙美子記念館となっている新宿区中井の自宅。なんでも作る前に建設関係の本を百冊以上も読破して研究したと言うからすごい。それだけになかなかのものです。軒先にザクロが一本立っているのが印象的。成功してからの彼女は、どちらかというと付き合いたくない種類の人間になってしまったようです(要はいじめっ子)。でも彼女のつらい人生を考えれば理解できないこともない。(初出:2004.6.28)
Posted: Wed - June 28, 2006 at 11:31 AM
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