稲作農家とちがい合理化によって実力を蓄えた酪農家たち(立花隆)


しばらく農村ウヨクの攻撃で中断していましたが立花隆の『農協』の紹介を再開しま す。今日は第16章、酪農について。「競争原理の欠如した温室の中で着々と実力を失い、永遠に国際競争力など持てそうにない稲作農家とは対照的に、酪農業 は着々と実力を付けつつある」と総括。しっかりしろよ、日本のコメ農家。

抜粋:
  1. 政府にオンブにダッコの稲作農家と違って、酪農家は自ら主体的に生産調整に取り組んでいる。
  2. でも昔は稲作と同じように供給過剰が続き、畜産振興事業団の買い支え在庫が急増したときがあった。ときの政権が金さえばらまけば国民の支持が得られると信じて気前よくカネをばらまき、乳製品の補給金単価の価格体系がめちゃめちゃになっていたのである。
  3. その経験を受け、政府と生産者団体は厳しい自主生産調整に踏み切った。
  4. 日本の酪農は、歴史的に乳業メーカーを戦前の大地主と見て、酪農家を小作人と見ると一番わかりやすいような関係で発展してきた。だから昔の酪農家はとてもまずしかった。ところが今やたいへんなさまがわり。大規模稲作農家並みに豊かになっている。
  5. その背景には、食管制度の庇護の元で零細な生産構造を温存した稲作とはちがって、酪農家は厳しい環境の中で合理化を進めてきたという事情がある。
  6. 酪農家は40年の38万戸から13万戸へ、約三分の一に減少したが、残った酪農家は規模拡大をすすめ、一戸あたり飼養頭数を五倍にふやし、単位労 働時間の生産性(物量ベース)を三倍にふやし、また乳牛の個体能力アップにつとめてきた(この間の稲作農家が単位生産コストを4・4倍にしたのに、酪農家 は2・4倍に留めた)。
  7. 米の政府買い入れ価格が、一番非能率的なダメな農家の再生産をも保証するラインに設定されたために、零細稲作農家をそのまま温存する作用を持った のとは対照的に、乳価は一番合理化が進んだ酪農家の再生産を保証するラインに設定されたため、全体的な合理化を促す作用を持ったのである。
  8. 北海道の酪農が日本全体の酪農業の合理化の推進役となってきた。
  9. また農協系乳業会社の設立も大きかった。
  10. 「すぐにとは言わないが、もうちょっと待ってもらえれば、必ずEC並みの水準までは行く」と野村儀行ホクレン酪農部長は言う。
  11. 競争原理の欠如した温室の中で、着々と実力を失い、永遠に国際競争力など持てそうにない現状にある稲作農家とは実に対照的である。稲作農民の悪影響で、この酪農民たちまでがここで親方日の丸主義に転落しないことを祈りたいものである。

立花隆の最後の文章は心にしみる。やれば出来るのだが、オンブにダッコの戦後の稲作制度が日本伝統産業である稲作農民の依存心を増長し、彼らを絶望的にまでダメにしてしまったことは、とても悲しいことである。


農協
立花 隆

おすすめ平均
農協はなぜ存在するのか?
変わらない農業の本質
日本農業の問題の原点

Amazonで詳しく見る4022602627


Posted: Sun - February 13, 2005 at 04:51 PM           |  


©