週刊エコノミスト:「農業はもう必要ないのか」……いよいよ始まった、既得権益側のブラックメール


本日発売の週刊エコノミスト(9/21)、農業問題の特集を組んでいる。進歩的 (?)な編集部の意向を相当反映しているかのようで、全体の調子として「日本から農業がなくなったら消費者は困るだろう。だったら少しぐらい農民の言うこ とを聞いて協力しろ」というトーンで固められている。一種の開き直りと恐喝である。

最初の記事が編集部のイントロで、全体の基調を決めているが「農業はもう必要ないの か」というタイトル。あるフォーラムでフロアから「農家が潰れても外国から安全な農産物を買えばいい。日本に農業がなくなったらなぜ、困るのか」という質 問を取り上げ、まさに日本の農業はなくなる方向に動いていると危機感を盛り上げ、「海外から安いものを買えばいいという考え方は、日本経済が安定している ことが前提となっている。景気が悪くなって将来、海外からものを買えなくなることもあるのではないか」との農民側の答えで最後を締め括っている。

最 初に脅しを入れ読み手の恐怖感を煽るというのは、売れ筋パルプ出版物の常套手段だが、この特集も例にもれない。他にも「食糧不足で困るのは消費者であって 農家ではない。終戦後の食糧難に、食料買い出しのため着物が1枚ずつ剥がれるようになくなるタケノコの生活を送ったのは都市生活者だった」(山下一仁)と か、「(志摩半島の農民は)わざわざ苦労し、赤字を出してまで他人のためにコメを作るのはやめた。日本のコメは高いなどと言う都会人たちは、もはや見放さ れつつあるのである」(甲斐良治)とかの言葉を縦横にまじえ、この特集全体として「それくらいのコストはかかると言うことなのだ」(同上)との結論に導い ている様に見える。

極端な例を示して相手を脅そうとす る、典型的な手法である。それは脅しにもなっていないのであるが、最初の質問(日本に農業は必要ないのか)にまじめに答えるならば、「日本に農業は要る、 しかし、農民はいまの三分の一で良い」と言うことになるだろう。われわれ国民は生産性の議論をしているのである。どうして他の国の農民のように安くて品質 の良いものが作れないのかを問うているのである。議論の筋をすり替えようとしてもらっては困る。

ま た相手の極端な脅しに対して、同じような極論で答えるとすれば、「国民は食料の安定供給に不安を持っている。だからこそいまのような非能率で崩壊寸前で更 に供給ストップの脅しをかけるような日本の農業よりは外国のサプライヤーの方が安定していて頼りになると考えているのである」と回答することも可能だろ う。

「景気が悪くなれば外国から食料を買えなくなる ぞ」とおっしゃるが、国民のお金がなくなったときは「日本の農家からも」食料が買えなくなることは、われわれ終戦直後に経験した歴史的事実である。当時の 農家の暴利はすさまじかった。「都市住民は見捨てられるぞ」としょっちゅう恐喝をするような日本の農家はとてもじゃないけれど信頼できない。さらに終戦直 後の食糧難は、敗戦により食料の輸入がストップしたことによって引き起こされたことなのである。ああいうことを避けようとすれば、われわれが考えるべきこ とは、もっと海外に安定的な供給基地を確保することだろう。

人 類の長い歴史を見ても、通商さえ確保されて居れば飢饉は防げていた。飢饉が起こるのは常に食料をローカル生産にのみ頼っていた地域である。有りもしない食 糧危機の亡霊を呼び起こして国内農産物市場を閉鎖し消費者側から譲歩を引き出そうとする日本の農民たちこそが、将来の食糧危機と国民的飢饉を現実のものと して引き起こす要因となるのである。


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Posted: Mon - September 13, 2004 at 03:42 PM           |  


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