NIKKEI / GDPでは実態は見えない(西岡幸一)


今朝の日経の西岡幸一氏のコラムは秀逸。曰く:
GDP集計上の擬制も実態を見誤らせる。たとえば、帰属家賃という概念(中略)驚くべきことに7-9月期でこれが実に年率で53兆円に膨らんだ。公共投資の二倍の規模である(中略)家計の名目消費支出は直近のピークの98年度に比べ約2%落ち込んでいるが、帰属家賃を除いた消費支出は倍の4%も落ちている。
帰属家賃とは自分で自分に支払う支出。花見酒経済の実態をこれ以上物語る数字はない。何故帰属家賃が膨らんでいるのか。

帰属家賃とは聞きなれない用語であるが、家賃のこと。自宅に住んでいようと借家にすんでいようと、国民経済計算では等しく家賃支出があったものとして計算される。またそれは家の所有者の収入として計上される。自宅に住んでいる人は自分で自分にお金を払っていると見なされるわけ。

なぜ帰属家賃が大きくなっているのか。西岡氏はこれ以上解説をしていないので散人が補足する。

そもそもこの帰属家賃はどのようにして決定されるのかであるが、実際にお金が流れないので誰もあまり気にかけない。だから統計技術者の鉛筆なめなめで決まる部分もあるのだ。一般の借家の家賃水準が基準となるが、これが(一般家賃が)デフレにもかかわらず高止まりしていることがおかしなことを引き起こす。この日本の「仮想上の家主達(すなわち自宅に住んでいる人すべて)」はたいへんおいしい商売をして儲かっているという計算になるのだ。もちろん払っているのは自分であるので持ち家に住む人は儲かっているとの実感はない。

落語で、二人の男が酒樽を運ぶ途中、お互いに酒代を相手に払いながら交互に酒を飲み、結局全部飲んでしまう。しかし残ったお金は一杯分の酒代でしかなかった。不思議だなあというのがある(花見酒)。日本経済も今や花見酒経済なのである。

こんな人為的な仮想数字でGDPが膨らんでいるにかかわらず「景気は着実に回復傾向にある」なぞ、景気のいいことばかり言っている政府は、信用ならない。

Posted: Mon - November 24, 2003 at 11:12 AM           |  


©