NHK / 新日曜美術館 高橋由一「鮭」


きょうは、高校野球のおかげで新日曜美術館は夜だけ。おまけに再放送。いい加減に子供の野球の為にだけ貴重な番組時間を費やすのは止めた方がいいと思うんだけれど、ともあれ高橋由一の「鮭」を堪能しました。でもあれって、そんなに言うほど「オリジナル」な画題なのかしら。

高橋由一とは幕末から明治にかけての画家。日本における油絵の先駆者であり彼の有名な「鮭」の画は教科書には必ず載っている。ぶら下がった鮭を克明に描いた名画であり、たしかにすごい画である、しかし今夜の新日曜美術館で、ゲストの南伸坊をはじめみんなして普通の人には思いつかない「とてもへんな(オリジナルな)画題」という取り上げ方をしていたのが気になった。たしかにすごい画であることは認めるが、オリジナリティーという点についてはどうなんだろう。というのは同じ題材の画をイタリア人画家が中世にもう描いているからである。

昨年、東京芸術大学でやっていた「ハプスブルグ家秘蔵画展(?)」において、14世紀か15世紀のイタリアの油絵で同じ趣向の画が展示されているのを見た。全く同じ縦長の構図で魚がぶら下がっているのを描いた画である。画家の名前は忘れたが、高橋由一の画とのあまりに酷似しているのに驚いた記憶がある。番組でも取り上げられていたように高橋由一はイタリア人美術教授フォンタネジと出会う機会があり、かれから高橋はこのイタリアの絵を見せてもらったのではないだろうか。NHKは東京芸術大学に取材に行っているのだから当然このイタリア絵画の存在は知っていたはず。そこまで言及して然るべきでと思った。

高橋由一のすごい点はオリジナリティーにあるのではなく貪欲に外来技術を吸収した点にある。これが明治の人間のエライ点だ。こういう一見些末に見える技術面へのこだわりが、オリジナリティー重視の現代日本に欠けている面ではないかと思う。

Posted: Sun - August 10, 2003 at 09:17 PM           |  


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