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『クール・ルールズ(Cool
Rules)』ディック・パウンテン他(研究社)
先に杉浦勉氏の「文化力」についてのエントリー
で触れたが「クール」というキーワードが気になっている。この本はクールについての教科書。「クール・ルールズ(Cool
Rules)」とはへんな題名だが「クールが支配する」と云った意味だろうか。著者は歴史的、社会学的に考察し「クール」とは中世貴族社会にも遡る昔からの現象であったことを述べ、市場経済化が進むなか今後一層「クール」が世界を支配して行くと予言する。クールであるためのルールブックともなっている。クールを知ってクールになりたい人の必読書。
とにかく面白い本です。著者のディック・パウンテン+デヴィッド・ロビンスは両名とも40年代中頃の生まれ。同じ世代であるため、例示しているスターやミュージシャンなんか散人好みが多い。懐かしい写真がいっぱい。訳者が「もっとも包括的なクール論」と言っているだけに「クールとは何か」がとてもよくわかる。断片的に抜き出してみますね。「<クール>は西アフリカの古代文明にまで遡ることが出来る」「またヨーロッパ文化の中にも、著しく似通った現象が見いだされる。たとえば、ルネッサンス期イタリアの宮廷人のスプレッツァトゥーラ(さりげなさ)、イギリス貴族の有名なリザーブ(慎み深さ)・・・」「<クール>は新しい形態の個人主義であり、脱工業化時代の消費者民主主義に於ける処世術である」「<クール>は先進諸国の若い世代と開発途上諸国の何億もの<クール予備軍>にとって支配的な倫理になる運命」「もはや誰も善良でありたいとは思わず<クール>でありたいと思っている」「<クール>自体がもともと裁定的であり、排他的である。<クール>は最終的に<非クール>を排除することでしか自らを規定できない」「<クール>は、一面では競争を拒み、社会のルールに従うことを平然と拒むように見えながら、実は猛然たる競争本能を隠す表面的なポーズだ」「アフリカ人たちは、ひたすら農場の奴隷として働くことを強いられた。だが彼等は<クール>に執着することで精神的自立のいくぶんかは守れると感じた」「現代の<クール>に似た姿勢が何世紀にも渡ってヨーロッパの貴族社会に存在してきた。貴族の尊大な態度、大っぴらに道徳を無視し、こっそりと禁制の快楽を楽しむ傾向」「ケネディーは最初の<クール>な大統領であり、ビル・クリントンが大統領に就任するまでその地位を保ち続けた」「<クール>は、実際問題として中産階級の文化や政治活動よりも、労働者階級の文化や政治活動をよりはげしく拒否した」「<クール>には常に反抗の要素が含まれている。(クールな)ヤッピーも、戦後米国でも英国でも支配的だった、集産的で福祉優先の国民合意そのものに反旗を翻した」「<クール>はバロックの感性に最も近い。本来のバロック様式は、宗教改革という戦乱期にはプロテスタントの厳格さに対するカトリックの美術的武器として、また貴族階級がその富と権力を派手にひけらかす手段として役だった」「<クール>は男性も女性も同じように上手く取り入れてきたが、女性にはあまり有利には働かない」「本来黒人奴隷の防衛メカニズムであった<クール>が裕福な白人中産階級に取り入れられたのは、現代社会の漠然とした不安、ストレス、鬱状態が原因である。(中略)まさしく<クール>こそ、(自分たちより幸せな人と)短絡的で不適切な比較をせず、鬱にならないために用いるメカニズムである」「(相互に矛盾するはずの)60年代の<文化革命>と80年代の<新自由主義経済革命>を、アメリカの若者は何の苦もなく両立させる。どうしてそれが可能なのか。答えは<クール>である。<クール>は労働倫理そのものに取って代わり、発達した消費資本主義に於ける主要な思考様式の座に着こうとしている」「<クール>は世界を支配するのであろうか。これは消費者資本主義や議会制民主主義が世界を支配するかと問うのと同じである。なぜなら、この二つの主義が世界を支配するようになれば、<クール>も必ず世界を支配するだろう」どうでした?
読む気になりますか?
それとも腹を立てて「こんな本は読まん」とおっしゃいますか?
でもそんな人は「ポリティカリー・コレクトネス」に凝り固まった時代遅れの人なのかも知れませんぞ。<クール>でないと生きていけない時代だから。
Posted: Fri - August 1, 2003 at 10:25 AM
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