8/18 Today バルザック没
(1850)……人間とお金は切り離せないと理解していた
バルザック(Honoré
de Balzac)
が死んだ。51歳だった。書いて書いて書きまくった生涯だったが、実にお金のことを詳しく書いた。彼は、人間とか人生というものはその経済的側面を精密に描くことなくしては描写し得ないと信じていたのだ。おかげで19世紀ヨーロッパの経済事情が、なまじ詰まらない経済史を読む以上に、バルザックを読むことで理解できるのである。
その意味で『バルザック「人間喜劇」セレクション(全13巻、別冊2巻)』鹿島茂編(藤原書店)はいいですよ。特に第7巻の『金融小説名編集』がいい。高利貸し観察記、偽装倒産物語、手形偽造物語等々。巻末対談として『ナニワ金融道』の青木雄二と鹿島茂の対談までついている(この対談ちょっとかみ合っていないけど、企画としてはとても面白い)。鹿島茂による当時の貨幣価値換算表や、当時の社会ステイタスシンボルとして重要な小道具である馬車の種類の一覧整理まである。人間霞を食って生きている訳じゃないのだから、現代小説に於いてもこういうバルザック的なアプローチは重要だと思う。でもバルザック自身は浪費家でいつも借金ばかりしていた。借金の踏み倒しの達人でもあった。パリのバルザックの家に行ってみたことがあるが、崖地に立てたへんな家で、下の道から見ると4階建て、上の道から見ると一階建てという妙な建物。借金取りが表から来ると裏からすぐ逃げ出せるのでバルザックは気に入っていたようだ。彼はここでコーヒーをがぶ飲みしながら書いて書いて書きまくった。コーヒーに砂糖を入れたから太ってしまった。でも女性には持てた。バルザックの家の写真を入れておきます:
蛇足。19世紀前半に書かれたバルザックのフランス語は現代フランス語とほとんど変わらない。だからフランス人の小学生でも難なく読める。一方日本では近松や西鶴を読める小学生なぞはいない。漱石でももう無理じゃないかしら。いくら言語は変態するものだと云ってもこれは非道すぎる。日本では学校で書き言葉で話す訓練が不足しているように思える。(初出:2003.8.18)
Posted: Sat
- August 18, 2007 at 08:51 AM
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