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  余丁町散人(橋本尚幸)
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個人消費の低迷と老後の不安

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  1998/5
 
今年のゴールデンウィーク中の築地市場の売上はまずまずであったとのことだ。例年この期間は、多くの人が東京を離れるので、都内の青果の需要は大幅に落ち込むのが通例である。しかし今年は不況で休みを自宅で過ごした人が多く、築地の売上は落ち込むことはなかったらしい。消費者マインドの悪化もいよいよここまで来たかとの感を深くする。 

小売り関係者によると最近の消費者の堅実化ぶりはたいへんなもので、特に中高年層の節約ぶりは徹底しているとのことである。この要因はいろいろあろうが、やはり不透明な将来への不安、具体的には老後不安の増大が大きいように思う。 

この背景には伝統的な社会制度が崩れつつあることがある。昔は長男が親と同居して親の面倒を見ることが当然と考えられたが、時代は変わった。一方で、それを補うはずの公的年金制度も維持できなくなりつつある。中高年は、否が応でも倹約して、自分の老後は自分で面倒を見ざるを得ないのである。 

さらに介護サービスの問題がある。一般的に豊かな社会においては、サービスの価格は財の価格に較べ相対的に上昇するから、将来日本人の平均収入が増えるとすると、介護サービス価格もそれに応じて上昇することになる。高齢者の将来収入は引退時点での資産残高で規定され将来ともにほぼ一定であるので、社会が豊かになればなるほど高齢者は介護サービスを購入することが困難になるという、逆説的なシナリオが成り立つのだ。 

もちろん年金制度などをいじくって制度面で対応を考えることも可能だが、財政支出の増大につながる。どうしても老人介護のサービス価格を、財政支援を通じてではなく、直接的に低減させる方法を考えねばならない。 

この問題への根本的な解決方法として、老人介護における外国人看護人の就労規制を緩和する方法がある。外国人というと拒絶反応があるが、日本の人口に占める外国人の人口比率はまだまだ小さい。宗教問題もない。 

将来日本の高齢者人口比率が25%となり、そのうち10人に一人が寝たっきりとなったとしても300万人である。100万人程度の外国人看護人がおれば、すべての寝たっきり老人の介護が可能になる。現在の日本の外国人比率を1%押し上げる程度の変化である。それだけで、我々は安心して長生きが出来るようになるのだ。 

来ていただいた外国人看護人には誠意を持って報恩するべきである。フランスの外人部隊の隊員には、5年の契約期間が終わった段階でフランス国籍が認められる。「フランスのため血を流した人間はフランス人だ」という理屈だ。お年寄りのお世話を一定期間やってくれた外国人看護人には、日本の国籍や市民権を進呈すべきだろう。それこそ「日本のお年寄りの面倒をみてくれた若者は、出身地がどこであれ立派な日本人」なのである。いろんな出身地の若者が増えることで、社会も多様化し、ずっと楽しくなるだろう。将来の不安が低減されるので、中高年層も安心してお金を使うようになる。 

総花的な景気対策ではなく、このような具体的で人々に元気を出させる政策が、もっともっと考えられてしかるべきではないか。 

(橋本) 

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