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プロローグ「あれは、ナンパだったのか?」
(1994の出来事)
そもそもなぜ私がこんなとこまでやってきてうどんを食べるにいたったのか?
それは、当時香川で在学中だった友人が、帰省するたび熱く語る、わけのわからん言葉からでした。
「うどんが自分から踊り入ってくるんだ!」
「まるで生き物のようなんだ!」
当時の私にとっては
「うどんが踊り入るう?なにいってんだか....」
と、話半分にしか聞いていませんでした。
しかしその後ノリの悪い私に業をにやした友人は、一冊の本を強引に貸してくれました。
その本のタイトルは、【恐るべきさぬきうどん】。
な、なんじゃそのタイトルは?
実はその友人というのは、今の私の彼である。
今思えばそれは一種のナンパだったのではなかろーか?
当時私たちはまだおつきあいにはいたっていなかった。帰省するたび熱く語られるうどんの話に少々めんどくなってきた私に気付いた彼は、なんとか自分の方に興味をひきつけようと、この本を「えーいこれでもか!」と切り札としてつきつけたのではないだろうか?
その本は、彼への興味をかきたてるには充分な内容だった。
いや、「うどん」への興味をかきたてるには充分すぎる内容だった。
あやしげなその本は、今やうどんツアーな人々のほとんどが所有しているのではないか?と思われる、うどんバイブル。ありがちなお店紹介本とは一線を画す、ある種エンターテイメントなにおいのする「うどん紀行文」であった。これは香川県の情報誌である「月刊タウン情報かがわ(後にTJ
KAGAWAに改名)」で連載されている「ゲリラうどん通ごっこ」というコーナーをまとめたもの(2000年2月現在4巻まででてます)。むちゃくちゃキャラ立ちしてる筆者、田尾氏は、かがわ編集長&麺通団団長。今やうどんといえばひっぱりだされててくるちうようなうどん界のドン。このころは、まさかここまでうどんブームがやってくるとは思っていなかったであろう。まさに今のうどんブーム仕掛人なのである。っていうか別に仕掛けようとは思っていなかったとは思うが。
彼のほとばしる文章は、うどんに出会い、驚愕し、蟻地獄のようにうどんの世界へどっぷりとはまりこんでいく様を、まるで私自身が追体験しているかのように思わせる、すばらしいものだった。読み進めるに従って、ああ。私もどうにかしてうどんを体験したい!いや、体験しなければいけない!じゃないと、このドキドキした気持ちをどうやっておさえていいかわからない!ああ!
こんなふうに思うまでにそう時間はかからなかった。ていうか、読み終えた瞬間そう思ってたんですけど。(単純....)
しかし、味覚は想像ではおいつけない。なわけで、私は本を貸してくれた彼に「し、師匠!ぜひこのワタクシメをうどん聖地・香川にお連れ下さい!」と懇願するまでにいたった。そう、彼の策略は私にとって大ヒットだったのだ。そしていつのまにか私たちはつきあうようになっていたのである。
「うどん、いっしょにいこうね!」
これが、初遠征を夢見る私からの甘い愛の言葉だったのだ。
うどんで私の興味をひいた彼、それに答えた私。
.....なんだかお似合いである。
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