東海アマ地震予知情報 2006.9.4. 余談


「日本的終身雇用制度の崩壊は、企業・会社が帰属共同体の座から脱落した現象を意味するものであった。帰属共同体を失った人々は、喪失感、虚脱感に囚われ、新たな共同体を求めて社会を彷徨いはじめた。」

余談 人は人類史の大部分を(母系)氏族社会で過ごした経験から、数十名規模の集団に帰属し、集団的自我に包まれて生活することに、もっとも大きな安心感を覚えるようにプログラムされていると考える。国家とは、そうした帰属集団が巨大化したものである。 しかし、人の心をもっとも効率的にケアできる帰属集団(セル)の規模は、せいぜい20〜100名程度だろう。それ以上では、新たな細分化単位組織を設けない限り、組織に適応できないアウトロー、疎外者を生み出すことになり、それが組織崩壊の種となる。 戦後日本社会にあっては、企業・会社組織が帰属集団の核となり、多くの勤労者が会社を帰属すべき運命共同体として人生の命運を託した。しかしバブル期を迎え、経営者の見栄張り競争、金儲け競争が熾烈化するとともに、企業会社組織は社員の帰属共同体ではなく、単なる金儲けシステムマシンとしてしか捉えられなくなり、社員はモダンタイムズのように単なる機械の歯車として扱われ、会社の都合で軽々しく切り捨てられる(リストラ)ようになり、したがって社員もまた会社を運命共同体として見ることができなくなった。 日本的終身雇用制度の崩壊は、企業・会社が帰属共同体の座から脱落した現象を意味するものであった。帰属共同体を失った人々は、喪失感、虚脱感に囚われ、新たな共同体を求めて社会を彷徨いはじめた。だが、信頼のおける共同体は、どこにも見つからない。経営者にとって金儲けマシンとしての会社、社員にとって給与取得マシンとしての会社は、もはや運命を帰属させる共同体ではありえないのだ。 この喪失感こそ、現代日本社会の基本的な価値観を喪失させた正体である。人々は詐欺に等しい、あるいは詐欺そのものの目先の金儲けに走り、人間連帯の絆を見失っていった。 最後に残された帰属すべき共同体であるかのように見える夢の集団があった、それがカルト宗教である。オウム・統一教会・幸福の科学・法の華と、枚挙に暇のない無数の教団が登場したが、結局のところ、それらは主宰者の金儲け、ナルシズムに寄与するものであり、入信者の心を救うフリをして、その財産をかすめ取るものにすぎなかった。これらの教団に騙され、人の心を見失い、全財産を失い、人生そのものすら失う人が激増した。 もはや誰も信用できなくなった。信用できる唯一の価値は死である。一緒に死んでくれる仲間たち、これが夢の帰属集団になった。若者たちは次々と練炭を抱えて車に閉じこもるようになった。 戦後、帰属共同体をリードし続けた企業・会社組織が単なる金儲けマシンに変わり、勤労者の信頼を、運命共同体としての役割を失った理由は何だろう? 崩壊の時期はバブル経済と断定してもよさそうだ。経営者は金儲けに夢中になり、会社組織の持つ、本当の意味を見失ったのである。経営者は特権階級としての横の繋がりがある。経営者社会とでも言うべきエスタブリッシュメントクラブだ。このなかで虚栄の見栄を張り合う風潮が生まれた。 「少しでもヤツより金儲けしなければカッコがつかない」 これが経営者たちを猛烈主義金儲けに駆り立てた原動力である。経営者クラブでは、労働者をどれほど効率的に絞り上げ、「企業戦士」とおだて上げ、命を捨てて会社利益に邁進させるかの競争が始まった。「役に立たないヤツは切り捨てろ!」 次々に縁の下の力持ち、目立たず、本当に会社を支えていた労働者たちまで放り出してしまった。そしてバブル崩壊があり、大沈没がはじまった。 元を正せば、企業・会社内部で、それを崩壊させた本当の原因は、戦後の学歴差別主義にあっただろう。人間の実力と学歴は無縁である。むしろ反比例する。どんな組織、会社にあっても、真の実力者は、子供時代からガキ大将として暴れ、冒険を好む活発な人であった。ところが高学歴者は机上で屁理屈を宣うだけで、臆病で実力のない者が多い。だから真の実力者に強いコンプレックスを抱いていた。 そこで高学歴者たちは、自分たちだけのテリトリーを社内に設け、真の実力者を排除し差別する風潮を作り出した。おそらく、こうしたメカニズムが、戦後、会社組織を真の意味で崩壊させていったのだろう。企業・会社は真の実力者を排除し、会社を本当に支えてくれた「縁の下の力持ち社員」を金儲けの役に立たないとして追放したのである。だから、そうした企業・会社は崩壊していった。 このあたりが、戦後、大衆の帰属共同体であった企業・会社が、そうでなくなった本当の理由なのであろう。 それでは帰属共同体であったはずの会社がそうでなくなり、次に求めたカルト宗教の正体も単なる金儲けや権威主義であることを思い知らされ、帰属を求めて社会を彷徨う人々の群れはどこに向かうのか? 続く

Posted: 月 - 9月 4, 2006 at 12:01 午後          


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