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朝。
わたしは通学路に立って、空を眺めていた。
夏休みは終わっていた。だから、制服姿。
わたしにとっては少し遅い朝だった。
毎朝、目が覚めて、時計を見るたびに思う。
もう部活ないんだった…。
まあ、ちゃんと燃え尽きたから、後悔はなかったけど。
ただ、ぽっかり空いた穴はしばらくは埋められそうにない。

空気はしんとしていた。秋の肌触り。
容ちゃんと初めて会ったのは、ここだった──。
わたしは緊張していて、それを紛らわすために何かくだらないことを考えようとしたけど、頭に思い浮かんだのは、それだった。
一年生のとき。たまたま部活のない日で…。いっしょの通学時間になったんだ。
「石部さん…?」「あ、藤井さん」
クラスメイトだったから、話さないわけにもいかなくて。
でも、次の日には、「小りさ」「容ちゃん」って呼んでた。
わたしは重い気持ちで微笑んだ。
ため息…。またやってしまったのだった。容ちゃんと、ケンカ。
もう、ホント些細なことでもめた。今考えると、なんであんなにむきになったのか、わかんない。
それで、わたしはここでこうしていて…。
少し待っていると、道の向こうから歩いてくる制服が目に入った。
容ちゃんだ。
直視しなくても、わたしにはわかった。
どんどん近づいてくる──。わたしはうつむいてじっとしている。
まだ気づいてない。まだ…。
ぴたり。その足が止まった。






わたしは少しずつ顔を上げる。
容ちゃんはわたしを見つめていた。
「小りさ…」
驚いたような表情。
わたしはどんな表情をしていいかわからなくて、とりあえず、小声で「おはよー」って言ってみた。
たぶん、その様子を見てわかっちゃったのだろう。
なんで、わたしがこんなとこに立ってるのか…とか。
どうして、ぎこちない表情をしてるのか…とか。そういう謎が、すべて。
容ちゃんはこみ上げてくるものに耐えられなくなったように、吹き出した。
わたしも笑った。なんか、おかしかった。
何してんだろう、わたしたち。
ようやく一息つけるようになったころ、容ちゃんは空を見上げて、言葉を探していた。
でも、結局それは言葉にならなかったみたいで…。
「学校、行こっか」
とだけ言った。
「うん」
わたしたちは肩を並べて歩き出した。
お互いに無言だったけど、今はそれでよかった。

そのとき、強い風が吹いて──。
わたしは思わず、その風の行方を追うように空を見上げた。
そこには、眩しい朝の太陽が輝いていた。




伝説は終わらない
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