094後立山縦走

山頂 白馬山2,933m・唐松岳2,696m・五竜岳2,814m・鹿島槍ヶ岳2,890m・針ノ木岳2,821m
分類 北アルプス
日程 1993/08/08-12
同行  
概要 大雪渓から白馬岳に登り、後立山連峰を南下。唐松岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳を越え、針ノ木岳を最後のピークとして針ノ木雪渓を扇沢へ下る。

白馬岳

白馬岳から南の縦走路を見通す。右の鋭いピークは剱岳。(1993/08/08撮影)

五竜岳

朝焼けの五竜岳を北側から仰ぐ。山頂に着いたときにはガスってしまった。(1993/08/10撮影)

後立山連峰

針ノ木岳から振り返る後立山連峰。右よりの双耳峰は鹿島槍。左奥へ五竜、白馬が続く。(1993/08/12撮影)

1993/08/08

■07:45 猿倉 ■08:25-30 白馬尻 ■10:10-15 葱平 ■10:50 小雪渓

猿倉から白馬尻へ、山行の前途を暗示するような雨雲の下をゆっくり歩いた。天候は下り坂。勾配に緩急をつけながら、大雪渓はまっすぐ上へ延びる。冷気が作る霧の層が雪渓の表面を川のように流れ下っている。振り返ると頚城の山々が雲間に見え隠れする。長い大雪渓の終点では、シナノキンバイ、ハクサンフウロ、クルマユリが色とりどりに咲く岩尾根に、高山植物保全パトロールの若者が立っていた。

■11:45-12:20 村営頂上宿舎 ■12:50-55 白馬岳

稜線直下の村営頂上宿舎で昼食をとり、雨の中頂上を目指した。白馬山荘を過ぎ、斜面を斜上して頂上へ着いた。証拠写真だけ撮ってそそくさと下り、白馬山荘へ立ち寄ったが、受付でごったがえす登山者の群れに恐れをなし、村営頂上宿舎に泊まることにした。

■13:10-17:15 村営頂上宿舎

夕食後外に出てみると雲が切れ、展望が広がり始めていた。天候の好転を見計らってヘリコプターが荷揚げを開始し、二つの山小屋と麓を何度も往復する。相変わらず風は強く、小屋の屋根すれすれでホバリングしながらの荷の受渡しはまさに命がけだ。思いがけない天候の好転に思い立って再び白馬岳を目指した。

ホバリング

■17:55-18:10 白馬岳 ■18:40 村営頂上宿舎

頂上からは杓子・白馬鑓の向こうに鹿島槍、深奥から右手には穂高、槍から立山・剣までの北ア全景が連なる。眼下には白馬尻が見下ろせ、その上には大きく浅間山が横たわっていた。

1993/08/09

■05:30 村営頂上宿舎 ■07:10 鑓ヶ岳

翌9日は雨で視界ゼロ。ウルップソウ、ミヤマクワガタ、チングルマ、アオノツガザクラなど花を愛でながら歩くしかない。

■07:55-08:10 天狗山荘 ■08:30 天狗の頭 ■09:35-50 天狗のコル

不帰の嶮(2) 不帰の嶮(1)わけがわからないうちに天狗山荘に着き、小休止してから天狗の大下りにかかった。ここから本コース最初の鎖場が始まる。目の前に不帰の岩峰群。しかし、取り付いてみると手がかり足がかりに困ることはなく、鎖に頼らなくてもすいすい登れる。不帰2峰までは雨が上がっていたが、不帰3峰から唐松にかけて吹き降りとなり、レインウェアのパンツを履きしぶっていたためズボンがびしょ濡れになってしまった。

■11:55 唐松岳 ■12:15 唐松山荘

雨の中到着した唐松岳は道標を確認しただけで、ひたすら歩いて唐松山荘に転がり込んだ。食堂でラーメンを注文した後、宿泊手続を済ませた。乾燥室がないのにがっかりしたが、やがて客室棟に長さ1m程のジェットエンジンのような乾燥機が持ち込まれ、宿泊客がわらわらと群がって衣類を乾かす姿に、コートジボアールのバンコの森への旅の途中で見た洗濯風景を思い出してしまった。

唐松山荘

夕方眠りから覚めてみると、例によって雲が上がり、残照の中に五竜や唐松岳が近い。喜んで外に出、今日越えてきた岩峰や明日越える稜線をカメラに収めた。

1993/08/10

■05:55 唐松山荘 ■07:55-08:10 五竜山荘 ■09:00-05 五竜岳

八峰キレット10日の朝は好天。小屋の裏手の稜線で御来光を仰ぎ、朝食後出発。小屋を出てすぐの鎖場に少し緊張するほかは淡々と稜線の起伏が続く。五竜山荘を過ぎ、登りの途中から振り向くと富山湾が眺められるが、徐々に雲が五竜の山頂を覆いはじめ、縦走路から少し離れたピークに到達したときにはガスで展望は失われていた。ざくざくした下降路を下り、八峰キレットへ縦走したが、少々時間はかかるものの危険を感じることはほとんどない。

五竜岳頂上

■12:05-25 八峰キレット小屋 ■13:50 鞍部 ■14:00 北峰 ■14:40-45 鹿島槍ヶ岳(南峰)

キレット小屋ではジャム入りクロワッサンと桃缶の昼食をすませ、梯子をよじ登り、縦走路をさらに進んだ。ガスの中を歩くことしばし、稜線に出たとたんに強烈な南風に真っ向から吹かれて、そこが鹿島槍の双耳峰の鞍部。吹き飛ばされないように身を低くしながらまず北峰に登ったが、標識も何もなくがっかりさせられた。ついで鞍部に戻り、意外に長い登りの後南峰にたどり着いたが、ここもガスと強風で何も見えない。

■15:15 布引岳 ■15:55 冷池山荘

稜線を下り、コバイケイソウの群落を抜けて雨の中を冷池山荘に到着。夕食風景をヤマケイが取材しており、もしかすると来年6月の特集に写真が出るかも知れないと期待した(……が載らなかった。)。

1993/08/11

■06:25 冷池山荘 ■07:50 爺ヶ岳 ■08:20-55 種池山荘

翌朝も雨足は衰えず、左膝の具合も悪いので歩くか沈か迷ったが、風は収まった様子なのでいけるところまで行くことにした。種池山荘では中井美穂そっくりの受付嬢に気象情報を聞いて、お汁粉を注文した。今山行に雨と風を送りつけてくれた台風7号は日本海を北上中であり、天気は西から回復しつつあるとのご託宣だ。さらに足を伸ばし、キヌガサソウを見ながら新越山荘まで頑張った。

■10:15 岩小屋沢岳 ■10:55 新越山荘

ここでもジェットエンジン(?)のお世話になり、借り物の文庫本=W.ギブスンの「ニューロマンサー」を読了した。同宿者に百名山完登者がおり、今年は親不知から上高地まで歩く予定とのこと。明日の好天を皆で祈るが、夕食時も風雨はいっこうに収まらない。

1993/08/12

■05:35 新越山荘

12日朝。約束通りきれいに晴れ上がり、雲海の向こうに今山行初めて富士山の姿を見た。目の前に、針ノ木峠から今日下る雪渓がなだれ落ちている。

■06:05-20 鳴沢岳 ■06:55-07:05 赤沢岳 ■08:25-30 スバリ岳

鳴沢岳から針ノ木岳にかけては、心躍る岩とハイマツのプロムナードが続く。耳にはいるのは風の音、遠い沢音、自分の足音だけ。残雪はもちろん、岩肌も樹木も横から照らす夏の朝日を浴びてきらきら輝いて見える。スバリ岳の岩礫地にコマクサの群落を眺め、針ノ木岳との鞍部に幕営の痕を認め、カール状地形を左に見おろしながら、道は針ノ木岳に達していた。

スバリ岳から針ノ木岳

■09:15-10:00 針ノ木岳

針ノ木岳山頂からは、360度山また山。北は白馬から南は乗鞍まで、北アルプスの思いつくすべての山が見渡せた。前方には、裏銀座と表銀座が並走するその奥に槍ヶ岳がすっきりと立っているのが立派だ。

針ノ木岳山頂からのパノラマ ←click!!

■10:45-55 針ノ木峠 ■12:40 大沢小屋 ■13:35 扇沢

名残惜しい山頂に別れを告げ、針ノ木峠へ下った。峠の小屋の前庭で小休止した後、扇沢を目指して一気の下りにかかった。高度を下げるにつれ、最初に五竜が、ついで白馬が姿を隠し、鹿島槍が見えなくなると、あとは雪渓を軽アイゼンで下るだけだ。