福井駅での不快なビバークの後、朝一番の越美北線に乗り勝原ヘ。大野盆地に入ると、荒島岳が形良く前方に立ちはだかる。ゆったりと左右に稜線を引きつつ、山頂部には鋭角の突出を際立たせる姿はなるほど登高欲をかき立てる。


シャクナゲ平から山頂を望む。深田久弥の「身びいき」がなければ、この写真もここになかったかもしれない。(1991/05/19撮影)
1991/05/19
■07:15 勝原
福井駅での不快なビバークの後、朝一番の越美北線に乗り勝原ヘ。大野盆地に入ると、荒島岳が形良く前方に立ちはだかる。ゆったりと左右に稜線を引きつつ、山頂部には鋭角の突出を際立たせる姿はなるほど登高欲をかき立てる。

■07:30 銀嶺荘
スキー場のスロープを登りきると意外に稜線が近く見えた。しかし樹林の中の細い道は展望なしの急坂で、ピンクのツツジに慰められながらひたすら高度を上げた。
■09:10-25 シャクナゲ平
シャクナゲのないシャクナゲ平で朝食。ここからの荒島岳は標高差320m、名残の雪を所々にまとって間近にそびえる。
■10:25-45 荒島岳
カタクリの群生を見ながら誰もいない山頂に着いたときにはすっかり曇ってしまい、期待していた白山の眺めもない。グレーの建物と1対の反射板が寒々しく、後から登ってきた登山者二人も押し黙って写真を撮ったりしている。やがて冷たい風が吹き出したため、権現様に御賽銭をあげて下り始めた。

■11:25-30 シャクナゲ平 ■11:45-50 小荒島岳 ■13:20 下唯野
勝原への道を右に分け、あまり人の歩いた痕跡のない中出コースへ踏み込んだ。稜線上の突起である小荒島岳から振り返ると新緑が明るい稜線の上の荒島岳は山頂部を雲に隠しているが、下界は明るい。ニリンソウがひっそりと咲き、ウツギがピンクの房を枝垂らせる山道を下りきると、山麓には懐かしい農村の景色が広がる。豊かな水を湛えた、田植えを終えたぱかりの田園。電線のツバメ、ホバリングするヒバリ、カラスに追われるトンビ、鎮守の森。荒島岳が育む柔らかい風景の中を、ゆっくり下唯野の駅を目指した。
