アンドーニス・アペルギス
(ΑΝΤΩΝΗΣ ΑΠΕΡΓΗΣ)

'63年アテネ・ニケア生まれ。ギタリスト、ウード奏者として活動。主な共演アーティストにはニコス・クシダキス、メリーナ・カナ、パンデリス・サラッシノス、エレーニ・ツァリゴプール等、有名どころ多し。'95年には同じウード奏者のHaig YazdjianとFMレーベルの楽器シリーズ「ΟΥΤΙ(ウード)」も制作。

ICAROS ('05) LIBRAMUSIC LM037-2
LIBRAよりリリースの2ndソロ。LIBRAってのは結構ハズレがなくて私も安心して買えるレーベルのひとつなんやけど、これは予想以上によかった〜。傑作!!ギリシャを含めたバルカン、ジプシー音楽(とくにフラメンコ)をはじめジャズ、ポップ、クラシックなどのいろいろな音楽要素をつぎこみ、とにかく全曲力の入ったつくりになってます。タブラからスタートする1曲目「Scenes from a fairy tale」ではトルコの管楽器、ズルナを使って軍楽風になったと思いきやイングリッシュ・ホルンとチェロによるバロック風アンサンブルに展開したりするという無節操さが私にはストライク(笑)。
2曲目「Loom」はうわっ、トップかパガノッティか!ちゅうようなブイブイベースの上にアペルギスのウードっぽいフレットレス・ギターとカヌナキ(カーヌーン)によるアラビックなアンサンブルがのっかります。
3曲目「Love at first sight」ではなんとボサノヴァ。しかしメロディーラインはしっかりギリシャしてるし、バッキングのギターはラスゲアード使いまくりのフラメンコ・スタイル。こんな組み合わせおもろ過ぎー。しかも中盤、ヴァイブのソロをきっかけにテンポアップしてサンバになるんですよ。これがまたかっこいいんだわー。
4曲目のタイトル曲は管弦含め総勢15人を起用し、中盤にクラシカルなパートを配置したスケールのあるかっこいいツィフテテリ・ナンバー。たまらんなあこれ。
5曲目「The Lighter's Blues」は小洒落た夜のフュージョンちゅう感じ。アペルギスのジャジィなギターソロがたっぷり聴けます。ここぞと入ってくるストリングスやらフリーストス・ラファリディスのヴァイブもムーディー。こら女のコ口説くときに使おうっと(笑)。
6曲目「Sea and Sky」はリゼタ・カリメーリをフィーチャーした7/8拍子のヴォーカル・ナンバー。ほんまいろんなタイプの音楽聴かせてくれますわ(笑)。ヤニス・パパヤニスのオーボエがええ感じ。ちょっとリンダ・ホイルなんか思い出してしまった。
7曲目「The Highlanders」はクラリネット、ウードを前面に出したトラッド風ナンバー。
8曲目「Crazy-Cuckoo」はアコーディオン大活躍のラテンタッチの軽快なナンバー。コンガ・ソロなんかもあったり。

9曲目「Irrationary of love」は大仰なストリングスアレンジがトルコポップス風。アペルギスのギターともウードとも違う独特のフレットレス・ギター・プレイが印象に残る。
10曲目「Magical sphere」はアペルギスのMIDIギターによるオルガン・トーンでのスパニッシュ風メロディーでスタート。案の定レフテリス・ハヴーツァスのフラメンコ・ギターが大活躍です。カホンもしっかり使ってます。これもかっこよすぎてたまらんよお〜。
11曲目「Balos」はタイトル通り、バロス島がテーマなんでしょう。リズムやメロディーラインはいかにもトラッド調ながら展開やアレンジなどほんまかっこよう仕上がってますわ。
12曲目「The Carnation」はこれまたトラッドなメロディーやけどストリングスやヴァイブが入ると雰囲気変わるもんですなあ。もちろんええ方にですが。

うわー、気がついたら全曲レビューしてるやん…(笑)。
そんなわけですっごくお気に入り盤ですっ。


アンドーニス・プレッサス
(ΑΝΤΩΝΗΣ ΠΛΕΣΣΑΣ)

オフィシャルサイトURL http://www.aplessas.gr/

'59年アテネ生まれのパーカッショニスト/ドラマー。父親はギリシャの代表的な大衆音楽作曲家でありジャズ・ピアニストでもあるミーミス・プレッサス。バークリー音楽院卒。

ΑΡΩΜΑ ΤΟΥ ΧΡΟΝΟΥ ('97) MUSIC Ltd
(アロマ・トゥ・フロヌ)
2ndソロ。'98年春のギリシャ一人旅の時にヴァージンメガストアでジャケ買い。これがなかなか気持ちよく聴けるサワヤカン・フュージョンなんですわ。1曲目頭から波音のSE入ったりして夏向きの曲調ではありますが、爽やかな秋晴れの午後のひとときにもぴったりです。おとんのミーミスのシンセ・ソロをフィーチャーした8/9拍子の「Dance of the moon」、Valentinoのヴァイオリンが活躍する「Carefree Meltemi」、ブズーキを前面に出しギリシャ色が強く出てる「Dawn at the lighthouse」、ハリス・ランブラキス(ex.Primavera en Saloniko)のネイをフィーチャーしたシンフォニックな小曲「East-West」、アコースティックのコスタス・バルタザニス(ex.Iasis)、エレクトリックのヴァシリス・ラコプロス、それぞれのメロディアスなギターソロとヨルゴス・ファカナスのベースソロがイケてる「Mind Games」もええなあ。アンドーニス・ラドプロス(ex.Page One)のフルートでのリード・メロディが心地よいいかにも夏向けフュージョンな「Forms」、美しいイントロに続きラドプロスの軽快なソプラノ・サックスとバルタザニスのかっこいいエレクトリック・ギター・ソロをフィーチャーした「Distant Holizons」、ちょいラテン・タッチの「Love Song」はバルタザニスのガット・ギター、ラコプロスのジャジィなエレクトリック、と結構ギターが活躍。ラドプロスのテナー・ソロもええです。ラストの「Epilogue」は「Dance of the moon」のソロ・ピアノ・ヴァージョン。演奏はおとんのミーミス。
全体的にはニューエイジ風味のエスノ・フュージョンといった感じ。いいっすよ〜。


ヴァンゲリス・カツゥリス
(ΒΑΓΓΕΛΗΣ ΚΑΤΣΟΥΛΗΣ)

オフィシャルサイトURL http://www.vangeliskatsoulis.gr/

'49年アテネ生まれ。ギリシャとドイツで音楽教育を受け'75年より前衛音楽のフィールドで活動を始める。'79年にミニマル音楽に転向。さらに'82年にはジャズの要素も取り入れて行くようになる。レコーディング・エンジニアとしても作品多数。

ΜΕΣ'ΑΠ'ΤΟ ΣΚΟΤΑΔΙ('97) LYRA ML0624
(メサプト・スコタディ)
Markus Stockhausen(tp)、Arild Andersen(b)というビッグ・ネームを迎え制作されたECM空間系(ええ呼び名が思い付かん)フュージョン・アルバム。迎え撃つギリシャ勢もDavid Lynch(ts,ss)、サヴィナ・ヤナトゥ(vo)、ニコス・トゥリアトス(perc)と豪華な布陣。ちょっと前衛的なイントロで始まり、カツゥリスのシンセで作り出されるイマジネイティヴな空間、それに色を付けるStockhausenのトランペットが印象的な1曲目から切れ目なく続く2曲目はLynchのテナーソロをフィーチャーしたムーディーなナンバー。Lynchはやっぱうまいわあ。穏やかな4曲目もよろし。6曲目は2曲目と同系統ぽい曲やけどもLynchのよりエモーショナルなソロが素晴しい。Arildの絶妙なベースプレイにも耳がいってまいます。前衛チックな7曲目、Arildのベースと共に入ってくるサヴィナのヴォイスはわずかな出番ながらさぁすがの存在感。中盤、オクターヴァーを使用したArildのファンキーでテクニカルなソロも聴きもの。10曲目はちょっとこの中ではポップな要素のあるナンバー。シンセベースとマリンバ(シンセ?)が効果的。とまあざっと解説してきましたが、本国でもかなり評判よかったらしいし、やっぱりギリシャ・ジャズの名作やと思います。必聴!!
SILENT VOYAGE ('01) LIBRAMUSIC LM021-2
前作から引き続きArild Andersen(b)が参加してる他はメンツは一新してるものの編成的にはほぼ同じ。そんなわけで音楽性も似てます(前衛色は薄くなった)。前作同様曲間に切れ目がなかったりするこのアルバム、どうやらコンセプト・アルバムのよう。カツゥリスの祖父が本に落書きした船の絵にインスパイアされたそうな。 内容の方はスロー・ナンバーを中心に印象に残る曲は多いです。特にピアノ・トリオで演奏される「Crying in silence」やミュート・トランペットとスキャット・ヴォイスが渋い「Let by rain」が個人的には気に入ってます。後者には'70年代の日本のジャズが持ってたアングラさを感じてまいます。アングラ大好き(笑)。参加ミュージシャンがなにげに豪華で、Paolo Fresu(tp)、タキス・ファラジス(pf)、ヴァシリス・ツァブロプロス(pf)、タニア・ニコルーディ(vo)の他、元パットメセニーグループのPaul Wertico(ds)、Steps Ahead,Tony Levin,Andy Summers等との活動経験があるノルウェーのBendik Hofseth(ss,ts)などなど。
【'05.3.12 追記】ドラムスで1曲のみ参加してるApostolis Anthimosって名前にどうも見覚えがあったんやけど思い出せんかったのが今日になって思い出しました。ポーランドの長寿プログレバンド、SBBの人でした。(ついでにPaul WerticoもSBBにいたりする)調べるとヨルダス・ダラーラスやアンドーニス・レモスのアルバムにも参加しとるようですな。Apostolisのウェブサイト


ヨルゴス・ファカナス
(ΓΙΩΡΓΟΣ ΦΑΚΑΝΑΣ)

オフィシャルサイトURL http://www.fakanas.gr/fakanas_home.htm

ジャズ・ベーシストとして活動し、'81年には「EURO JAZZ」のメンバーとなる。'85年にはタキス・ファラジス(p,key),タキス・バルベリス(g),レオニーダス・プリアツィカス(ds),DAVID LYNCHらとISKRAを結成、2枚のアルバムをリリース。その後ビッグバンドや劇場音楽の作曲、ベースの指導や教則本、理論書の執筆など多方面にて活動中。最近ではマイク・スターン(g)とも活動を共にしている。

ECHOES ('04) LIBRAMUSIC LM034-2
LIBRAよりリリースの3rdソロ。'97年にスタヴロス・クサルハコスの依頼で作曲し、'00年にはファカナス自身の指揮でオーケストラでも演奏されたんだそうな。タイトルにはそれぞれギリシャ及びその近郊の地名がつけられていて(たとえばクレタ、マケドニア、テッサリア、ペロポネソスなど)ライナーでは「musical travel guide」などと書かれています。
かなり力の入った作品でどの曲もアドリヴ・ソロもファカナスのベースを始めトランペット、サックス、ヴァイブ(これがええんだまた)などが交互にとり、またアレンジも凝りまくり。全曲にストリング・クインテットも起用して、もうこれでもかとキメ、キメ、キメの嵐。しかも1曲7〜10分の長尺ものばっかしなんで正直フル(TOTAL77分半!)で聴き通すんは体力要ります。まさにハイパーシンフォニックフュージョンて感じ。いいんやけどもうちょっと叙情味も欲しいなあ、ちゅうのが正直なとこ。ゲストはWallace Roney(tp)、David Lynch(sax)、ヘイグ・ヤズジアン(ウード)など。とにかく内容はよくも悪くも充実した一枚。オーケストラバージョンも聴いてみたいもんです。


ヨーティス・キオヴルツォーグル
(ΓΙΩΤΗΣ ΚΙΟΥΡΤΣΟΓΛΟΥ)

オフィシャルサイトURL http://www.yiotiskiourtsoglou.gr/

'65年コザニ生まれ。'81年からギターを始め、'83年にベースに転向。'88年にロサンゼルスに渡り、ゲイリー・ウィリス(ええっ!?)やジェフ・バーリン(えええっ!!??)に学ぶ。'89年、ギリシャに戻り「Electric jazz Trio」で2枚のアルバムをリリース。'93年にはイスラエル人ギタリスト、Lior Yekutielliとスイス人ドラマー、Mark Halbheerとで「EXIT」を結成。'96年には「IASIS」にも参加。そして'98年、スタヴロス・ランツィアス(p,key,g,ds,perc),DAVID LYNCH(sax,fl,perc,vo)"の2人と「Human Touch」を結成。
他にもセッション・ベーシストとしてアネモスケティ・ガルビーエレフセリア・アルヴァニタキ、ニコス・クシダキス等多数の参加アルバムあり。また、演劇舞踊グループ「ROES」の作品にもソリストとして参加。(ちなみにこの「ROES」、'05年に愛知万博で公演をしたんやけどこん時の演目がヨーティス参加のネタ。もしかして来日してたのか!?誰か見た人、情報プリーズ!)

HAPOPSIS ('05) LIBRAMUSIC LM040-2
待望の1stソロ。やっと、という感じです。内容も待たせただけあってかなり聴きごたえのあるプログレッシヴ・フュージョン・サウンド。参加ミュージシャンも豪華で、「HUMANTOUCH」の2人はもちろん、「EXIT」のメンバー、ブルガリアのテオドシー・スパソフ(カヴァル)、アルメニアからはHAIG YAZDJIAN(ウード)、Vahan Galstian(デュデュク)などなど。曲によってメンツがからっと変わるのでバラエティ度は高いです。ソロ・ベース曲もしっかりあるし。いっちゃん気にいったのは4曲目「WORMELY」。「EXIT」メンバーとの共演なんですが、スキャットとメロディーがパット・メセニー・グループを彷佛させまくり。またMark Halbheer(なんて読むねん)のドラミングもかっこいい!!6〜7曲目「HAIG」はとってもアルメニア〜んなメロディーにベキベキスラップしまくりのファンキーなアレンジがよい!タイトル曲「HAPOPSIS」は、ジャコ・パストリアスとロスでの先生、ゲイリー・ウィリスに捧げた曲。ちょいジャズ寄りかな。フレットレスでのソロやDAVID LYNCHのソプラノ・サックスがええ感じ。ハデに出てこないクラリネットも効果的。10曲目の「FINNALLY SOMETHING」はピアノ・トリオによるナンバーで、ブルガリアのピアニスト、Milcho Levievに捧げた曲。フェイヴァリット・ミュージシャンなんだと。ピアノ弾いてんのはエレフセリア・アルヴァニタキのプロデュースしてたりポップ畑でよく名前を見かけるソティリス・レモニーディス(p)ですが、ジャズ・プレイも結構やりますなあ。
まあそんなこんなでギリシャジャズファン(おるんか!?)はやっぱり押さえとかんといかん一枚。


コスタス・セオドール
(ΚΩΣΤΑΣ ΘΕΟΔΩΡΟΥ)

'65年エデッサ生まれ。主にジャズ・ベーシストとしてジャズ・フュージョンシーンにて活動。ベースのみならず、ギター、ラウート、ブズーキ等の弦楽器やタブラや各種パーカッションなどもこなすマルチ・インストゥルメンタリスト。
'03年にはバルカン諸国の名手達とのスーパー・バンド「BALKAN HORSES BAND」を結成。'05年よりサヴィナ・ヤナトゥのレギュラー・バンド、「プリマヴェーラ・エン・サロニコ」にパーカッショニストとして参加。

ΝΟΣΤΟΣ('99) LYRA ML0667
(ノストス)
'04年のギリシャ旅行で見つけた一枚。参加メンバーがなにげに豪華で、タキス・ファラジス(pf)、ミハリス・シガニーディス(b)、ソクラティス・シノプロス(ポリティキ・リラ)、Danny Hayes(tp)、マノス・アハリノトプロス(cl)等に加え、ヴォイスでメリーナ・カナ、マリア・ソイドゥが参加。ジャケもええ感じ。
全体がA,Bの2パートからなっていて、Aパートはエスニック色、Bパートはジャズ色が強いかな、という印象。セオドール自身のラウート・ソロからポリティキ・リラやメリーナ・カナのヴォイスをフィーチャーしたニシオーティカ(島唄)風フュージョンの1〜2曲目、セオドール自身のタブラ、ギターによる11/8拍子のちょっとスパニッシュぽい3曲目、これまた8/11拍子ながらこっちは管楽器多用によりもろバルカン・ブラス風の4曲目、セオドールの6弦ブズーキ、フルート、ピアノによる7拍子のミステリアスな5曲目(ここまでがAパート)、ピアノ、ベース、ドラムにソプラノサックス、アコーディオンのクインテット編成によるヘヴィでダークなジャズ・ロック(メロディーはちょっとニコス・クシダキスっぽい)の6曲目、ソフトマシーンというかニュークリアスというかそんな香りのあるピアノトリオ+トランペット、トロンボーン、アルトサックスの3管セクステットの7曲目、指弾きのセオドールと弓弾きのシガニーディスのツインベースをフィーチャーした不思議な雰囲気の8曲目(マリア・ソイドゥの儚げなヴォイスも出番少ないながら印象的)、一転してファラジスによる美しいソロ・ピアノのラスト・ナンバーまで、なかなか聴きごたえのあるアルバム。
ΗΧΟΤΟΠΙΑ('00) FM RECORDS FM1578
(エコトピア)
ブルガリアの管楽器カヴァルの第一人者テオドシー・スパソフとの連名アルバム。(スパソフとは後に「BALKAN HORSES BAND」でも共演)ウードでHaig Yazdjian、ドラムでApostolis Anthimos(ex.SBB)なんかも参加。レコーディング期間が4日間ということでかなりセッション色が強いような。でもさすがに腕利き揃いなんでそれなりにまとまってます。時にはクラリネット、エレキギターのごとし音色を駆使する(MIDI仕様なんかも知れない)スパソフのカヴァルもたっぷり堪能できます。カヴァル、ギター、ベースのトリオによるジャジィな「The Lake」、Haig作曲のいかにも彼らしいエスノ・フュージョン「Crossroad」、フェンダー・ローズ、ソプラノ・サックス、テクニカルなドラムス(ソロもフィーチャー)が印象的なジャズロック風がカッコいい「Agora」、7拍子のバルカン・フュージョン「Waterfall」、スパソフのアコーディオン(これがまた上手い)をフィーチャーした9拍子の「Celebration」(Vibeの使用がGONGを思わせる)などなかなかええ曲揃ってます。悲しいことに私の入手した盤はプレスミスなのかラスト曲にヘリコプターみたいな雑音が入ってるのです(泣)。だれか交換して〜(爆)。


スタヴロス・ランツィアス
(ΣΤΑΥΡΟΣ ΛΑΝΤΣΙΑΣ)

オフィシャルサイトURL http://www.stavroslantsias.gr/

'65年キプロス生まれ。バークリ−音楽院卒。基本的にはジャズ・ピアニストなれど、ドラムのウデも確か、その上ギターもバカウマという、天は何物与えるねん、と思わずツッこみたくなる超絶マルチ・ミュージシャン。メロディカ(鍵盤ハーモニカ)のプレイもとても印象的。プログレッシヴ・ジャズ・トリオ「Human Touch」のメンバーでもあるが、アレンジやセッション・ワークも多々あり。(アネモスアルキノース・イォアニーディスマリア・パパドプールケティ・ガルビーエヴァンシーア・レブーツィカetc.)

私の最もフェイバリットなギリシャピアニストです。

ΕΠΙΣΤΡΟΦΗ ('99) WEA 398427696-2
(エピストロフィ)
ランツィアスの1stソロ。まずジャケが最高。海の波間に漂う一枚のピアノを弾く子供(本人?)の写真…。また海の色がキレイんだこれが。間違いなくジャケ見ただけで欲しくなります。(実際私は内容わからんかったのでジャケで買ったのだ)でもって内容がまたとんでもなく素晴らしい!!ランツィアスのなんとも繊細なピアノに、ヤニス・パパヤニスのオーボエ、弦楽五重奏の美しいアンサンブルが室内楽ジャズといった独特の雰囲気を醸し出しています。ドラムの入る曲ではちょっとジャズ色が強くなるかな。曲も粒揃いやし。まあギリシャ色、ってのはあんまりないけどもグリーク・ジャズの傑作といってもいいでしょう。大推薦盤!!ちなみに私が今やってるバンドの名前はこのアルバムタイトルからとってます(笑)
ΤΟ ΤΑΞΙΔΙ ΜΙΑΣ ΝΟΤΑΣ ('02) WEA 092 746131 2
(ト・タクシディ・ミアス・ノタス)
ランツィアス会心の2ndソロ。いうことなしの大名盤。個人的には'02年ベストアルバム。とにかく曲がバツグンにいい!!穏やかで優し気で…。その上ランツィアスの繊細で華麗なアドリヴ・ソロが乗るんやから。たまらんですよ。聴いててほんまに幸せを感じることができるアルバムなんてそうそうないです。前作が弦楽五重奏+オーボエ+ピアノという室内楽的なフォーマットだったのに対し今回のアルバムではソプラノサックスやフルート等のゲストを迎え、また大半の曲に弦楽オーケストラを配し、前作より音楽そのもののスケールは格段に上がってます。とりあえず一曲目のイントロから完全に引き込まれてしまいます。イントロに続いて入ってくるソフトな音色のソプラノサックスがもう、はまりすぎ!!ストリングスのアレンジも見事です。惜しむらくは、こっから展開していくんやろ、ちゅうとこで曲が終ってしまうところ。
2曲目、なんとも哀しく切ないチェロで始まる、陰影がたまらないタイトル曲。途中ランツィアスのピアノソロでのコントラバスとのインタープレイも聴きもの。
3曲目、パットメセニーグループを思わせるような高揚感溢れる曲。フルートのメロディーを絶妙に盛り上げるストリングス、ランツィアスのテクニカルなのに哀愁を帯びたソロも絶品。
4曲目、フルートとピアノだけの、クラシック小品を思わせる曲。フルートの雰囲気になんかFOCUS、というかTHIJS VAN LEERを感じてしまった。
5曲目、なんとも懐かしさを感じさせられるとっても優しい曲。ランツィアスに会った事はないけどきっと優しいいいヤツなんだろう!!と思ってまいます。ランツィアスのメロディカ(ピアニカ)がとっても効果的。ああノスタルジー。
6曲目、スペシャルゲスト、ヤニス・スパーサス(ex.ソクラテス)を迎えてのブルーズ・ナンバー。このアルバム中ではちょっと異色。スパーサス、ランツィアスとも楽しそうです。
さて、7曲目、ここにきて最大のヤマ場が訪れます。私もギリシャ音楽聴くようになっていろいろ名曲には出会ってきました。そしてまた今回こんなとんでもない曲に出会ってしまうとは…。短いランツィアスのピアノ・イントロに続き、スペシャル・ゲストのサックス奏者、DAVID LYNCHが、今回はなんとヴォイスで入ってきます。聴いてびっくり、JOHN WETTONをちょっと線細くしたような愁いのあるなんともいい声なんですこの人。しかもメロディーの美しいこと…。これだけでも充分やっちゅうのに、その後もう一人のスペシャル・ゲスト、エリー・パスパラがストリングスを伴って入ってこられた頃にゃ…。とろとろとろ。(←溶ける音。)でその後全ての音は消えランツィアスのみが残りソロをとるのですが、このソロがまたええんだこれが!!短い中にも起承転結がはっきりありいやがおうにもクライマックスへ駆け上がります。最後には2人(ちなみに夫婦)ヴォイス、ピアノ、ストリングス、ドラムスが渾然一体となって…。だめですだめです、これ以上は私の貧困なボキャブラリーでは表現しきれません。正直、この曲が素晴らしすぎてどうしてもこれ以降の曲が物足りなく感じる位です。シンプルな曲ですがほんまいうことなし。
8曲目は5曲目にも通じるノスタルジックな雰囲気をもった曲。
9曲目はスパーサスをフィーチャーした本アルバムでは一番ロックっぽい変拍子の曲。キメのストリングスのフレーズがなんか中華っぽい(笑)。
10曲目は、これはピアノとドラムスによるフリー・インプロヴィゼイションなんかな?ピーンと張り詰めた緊張感はECMレーベルの作品にも通じるように感じました。
でラストの曲は始めの曲のリプライズ、というまあよくあるパターンではありますが、ここではソプラノサックスとピアノだけという全く別アレンジになっていて別曲のような印象を受けます。
とまあ結局全曲レビューとなってまいましたが、どんだけ私が気に入ったかわかってもらえるでしょうか?ちなみにある店でライヴをやった時、休憩時にこのCDを流させてもらってたんですが、店の人に「この音楽何ですか?すごいいいんですけど…」と聞かれました。よくわかってるではないか(笑)。個人的には秋に聴くことをオススメします。


タキス・バルベリス
(ΤΑΚΗΣ ΜΠΑΡΜΠΕΡΗΣ)

オフィシャルサイトURL http://www.cromozone.de/barberis/index.html

'63アテネ生まれ。10歳の頃から音楽を学び始めクラシックギターを習得。その後ロックバンドなどで活動し、'78年頃からジャズ・フィールドでの活動を開始。'82年には自己のクインテットを結成。'85年にはタキス・ファラジス(p,key),ヨルゴス・ファカナス(b),レオニーダス・プリアツィカス(ds),DAVID LYNCHらとISKRAを結成、2枚のアルバムをリリース。'87年から再びリーダー・バンドのΜΟΝΔΕΛΟ'63を結成、ロック寄りのアルバムを1枚リリースした後ソロ活動を始める。

EPISODES ('95) LYRA ML0177
3rdソロアルバム。ジャケ(地下道?)がイマジネイティブでいいなあ。内容的にはちょっとインドチックなメロディアス・ジャズ・ロックといった雰囲気。バルベリスのギターはビル・フリゼールにジョン・スコフィールドとパット・メセニーのフリカケをかけたような、まあイマドキなジャズ・ギター・スタイル。ギター・シンセも多用してます。またゲストにジョン・マクラフリンやOREGONでの活動でも知られるトリロク・グルトゥ(ds,タブラ)が参加しているのも注目。
英語表記ということもあってかギリシャ以外にも結構流通しててドイツやチェコのネットCDショップにもありました。(実は私も日本で買ったのだ)
NAIVA ('98) LYRA ML0661
前作でのインド色が更に濃く、濃くなった4th。前作ではタブラくらいやったインド楽器ですが今回は遂にインド楽器といえばこれ、という位ポピュラーなシタールを使用。結構フィーチャ−してます。前作より個々の曲はメロディアスになってんやないか?という気がします。9曲目ではあのBRUFORDの名曲「Fainting in coils」みたいなフレーズも。(一般の人にはわからん例えやなあ…)民族音楽っぽくもコンテンポラリーな好作。


コンフュージョン
(CONFUSION)

オフィシャルサイトURLhttp://www.confusionmusic.com/

ギタリスト、アキレアス・ディアマンディスのソロ・アルバムのタイトルがバンドに発展し、'99年より活動をスタート。
他のメンバーはパナヨーティス・ハラミス(b)、タキス・インダス(ds)。

ENTER ALONE('03) diamond snake records
グループとしては2ndアルバム。いきなりアラン・ホールズワース節全開です(笑)。ギリシャにもアラン・フォロワーは多数いると思われますが私の知ってる限りではアキレアスが一番のソックリさんではないかと思います。アキレます。(←ここ爆笑必至)
2曲目「Spanish Way」ではタイトル通りの「スペイン(byチック・コリア)」風コード進行でのホールズワース・テイストたっぷりのソロがかっこいい〜。
4曲目「Enter Alone」はもろホールズワースが一時よくやってたシンフォニック・オーケストレーション+女性ヴォーカルという曲調。ほんまもろ。ようやるわ。でもソロはパット・メセニー風やったりして。でも後半はホールズワースなプレイは控えめで、ブルースや4ビートやってたりします。
8曲目「Edge of the World」はBRUFORD+I.O.U.といった感のスロー・メロディアス・ナンバー。この雰囲気好きやなあ。ソロはホールズワースっぽくてもいいようなもんやけど何故かナチュラル・トーンでメセニー風。
締めの「Pico'N'Hoover」はこれまたホールズワースがよくやってたドラムとのインプロ・バトル。てな感じでアキレアスの嗜好がよくわかる微笑ましいアルバムです。(いや十分カッコいいアルバムやねんけどね)


ヒューマンタッチ
(HUMANTOUCH)

オフィシャルサイトURLhttp://www.humantouch.gr/

スタヴロス・ランツィアス(p,key,g,ds,perc),ヨーティス・キオヴルツォーグル(b,g,perc),DAVID LYNCH(sax,fl,perc,vo)の3人により'98年に結成。メンバーそれぞれ様々なジャンルでのキャリアが豊かな上、マルチ・ミュージシャンでもあることから単なるジャズ・トリオに終わらず、クラシック、ポップ、ファンク、アイリッシュ・ミュージック等幅広い音楽性を備えている。

HUMANTOUCH ('98) LYRA ML0646
デビューアルバム。とはいえメンバーはもう超腕利きなわけですから上手い下手を論じるのは全くのナンセンス。あとは音楽性が肝になってくるわけですが…。な、なんですか、ド頭からのフルート、ピアノ、フレットレス・ベースによる幻想的な雰囲気は。よ、良すぎるがな!!3曲目のLynchの流麗なソプラノサックスも素晴らしい。この人の本格的なジャズ・プレイはこの作品で初めて聴きました。ランツィアスはこのアルバムではドラムをメインにやっていて曲によってはコード楽器が不在、という形になるんですが、ベースのヨーティスが和音奏法はもちろんのこと、ヴォリューム・ペダルまで使用してストリングス的な音を出すというアラン・ホールズワースみたいなバッキングをやっているので全く問題になってません。4曲目でのスケール・アウトしたプレイもかっこいい。6曲目ではトラッド曲をとりあげてます。(当然ヒネってますが)全体的にはかなりテクニカルでシリアスな雰囲気のアルバムです。ほんまこの3人、凄すぎる!!
MOVIN' ('04) LIBRAMUSIC LM030-2
前作から6年、待望の2nd。(まあその間ANEMOSやらマリア・パパドプールやらの「ほとんどHumanTouch」的なアルバムはありましたが)ある意味彼等にはぴったりなレーベル、LIBRAに移籍。前作よりサウンドがバラエティに富んでいて余裕が感じられます。今回ゲストでアイルランドからMichael Mcgoldrick(ex.Flook)がイーリアン・パイプ、ウッド・フルート、ロウ・ホイッスルで1曲参加してるんですが、その曲なんてもろアイリッシュトラッド(とはいえアレンジはかなり複雑)。ランツィアスなんてバウロン(アイリッシュ・トラッドで使われる片面太鼓)まで叩いています。(作曲がベースのヨーティスというのもくりびつ!!)また、サティのグノシエンヌもカバー、これまたアレンジが素晴らしい。9曲目の「Asante at 11」という曲も穏やかでメロディアスでええんだな〜。(ちなみに彼等はギリシャの「Cafe Asante」ってとこでよく演奏してるらしいのでそれにちなんだタイトルなんでしょう)しかしなによりも私の琴線に響いたのは3曲目の「ANEMOS」。実はこの曲、ランツィアスの2ndソロのタイトル曲なんですな。もともとこっちが大好きやった私なんで、抵抗あるかな…と不安でしたが杞憂でした。ヨーティスのフレットレス・ベース、LYNCHのフルート、ランツィアスのクラシック・ギター、どのパートも言うことなしの素晴らしい演奏です(それでもオリジナルにはかなわんねんけどね)特にヨーティスのベースはメロディーも弾いてるんですが、これがまたよく歌うこと歌うこと。ランツィアスもギター上手すぎ。とまあそんなわけで期待を裏切らないどころか、こんなもん出してくるか!!と思わせたええ盤でした。またランツィアスの株上がったな〜。