太平洋パイプライン 低利融資で原油確保 日本政府、露と水面下で交渉
シベリアで生産される原油をナホトカ周辺の輸出ターミナルに運ぶ「太平洋パイプライン」。この建設協力をめぐり、日本政府がロシアと水面下で交渉している。工事費は第一期分だけで六十五億ドル(約七千二百億円)。太平洋岸まで建設するには新たな油田開発が不可欠とされ、「日本の低利融資が必要になる可能性は高い」(外交筋)。十一月のプーチン大統領訪日の機会をとらえ、新たな日露協力を模索する動きが出ている。
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◆全長4000キロの大工事
太平洋パイプラインは全長約四千キロメートルで、イルクーツク州タイシェトを起点に太平洋岸ナホトカ近郊のペレボズナヤ湾まで敷設、最終的に年八千万トンを輸送する計画。石油ターミナルも建設して日本や韓国などに輸出する巨大プロジェクトだ。
工事は二期に分けて実施する。第一期工事は中国国境沿いのスコボロジノまで。ロシアの政府系パイプライン運営会社トランスネフチは、十二月に着工し、二〇〇八年の完成を目指している。
◆先手打った中国
この時点で西シベリアの油田から年三千万トンを輸送する計画だが、うち二千万トンは中国向け。スコボロジノから大慶に鉄道輸送する見込みで、パイプラインの支線建設案も浮上している。残る一千万トンは日本向けで、同じく鉄道とタンカーで輸送する。中国が優先的な扱いを受ける形だ。
シベリアの石油資源をめぐっては、エネルギー需要が急増している中国が先手を打ってきた。既存パイプラインの終点となっているアンガルスクから大慶まで、バイカル湖の南を通る別ルートが検討された時期もある。この計画は環境保護の理由から立ち消えとなったが、ルート変更と軌を一にして中露は〇四年に五百万トン、〇五年に一千万トン、〇六年には千五百万トンをアンガルスクから大慶に鉄道で供給する契約を結んでいる。
◆二期工事で巻き返しへ
エネルギー確保が死活問題になっている中国に対し、日本はエネルギー安全保障の観点から原油の中東依存度を〇三年度の88・5%から60%台に引き下げる目標を掲げ、有力な新規供給源としてロシアに接近。金融支援を通じたパイプライン建設の後押しで巻き返し、第二期工事の終了時には中国向けを上回る年三千万トンを輸入する考えだ。
七月の英グレンイーグルズ・サミット(主要国首脳会議)で、小泉純一郎首相とプーチン大統領は太平洋パイプライン建設が両国にとって戦略的に重要だとの認識で一致した。ただ、「太平洋までパイプラインを敷設するには年五千万トン輸送しなければ採算が合わない」(関係筋)とされる。第二期工事着工には、埋蔵が確認されている東シベリアの油田からの新たな供給が不可欠だ。
このため日本は(1)油田開発に必要な資金の融通(2)パイプライン建設の詳細な採算性調査(3)実際に着工した場合の融資−などを想定。国際協力銀行を通じた低利融資などの検討に入っている。ただ、ロシアは中国向けパイプラインの支線建設にも意欲的とされ、プーチン大統領の訪日に向けて中国を交えた複雑な駆け引きも予想される。
Posted: 水 - 8月 17, 2005 at 09:33 午前