病院について考えさせられたいくつかのこと


 先日、80代になる友人の父上が入院した。以前から軽い心臓弁膜症を患っていたのだが、このところ頻脈が出て、少し調子を崩していたという。

とは言っても、この父上、足腰に関してはそこらの40、50代よりは強いくらいで、スタスタと軽やかに歩き、電車の2駅ぐらいの距離なら平気で往復してしまうほど。

心臓に関しても、本人はそれほど苦しいと感じているわけではないのだが、頻脈は少し違和感があるらしい。

さて、病院の話である。

優しいかかりつけ医だと思っていた

友人とその父上は、近所のかかりつけ医に通っていた。医師は60代。以前から「よく話を聞いてくれる」と気に入っていた。

レントゲンや血液検査などで不安があると、すぐにCT検査などのできる病院を紹介してくれ、診断もまあ信頼のおける方だった。

父上の頻脈については、かかりつけ医の友人の医師がいるというので某大学病院を紹介してもらい、一度そこにかかり、7月に詳しい検査をする予定になっていた。

ところが今回たまたま、そのかかりつけ医に行った際に頻脈が出て、心電図にも少し異常があったため、緊急で別の提携病院(こういう呼び方が合っているのか分からない)に行くようにと指示を受けた。

タクシーでその病院に行き、いくつかの検査をしたところ、そのまま入院することになってしまった。

問題はここからである。

この入院した病院が、とにかくひどい。入院の手続きをとってきてくれと言われたので、事務の方に用紙をもらいにいき、それを持って帰ると、さっきまでいた担当の看護師がいない。仕方がないので、その場にいた人に話しかけるが、誰も答えない。3人の看護師がどこかの食い物屋の話ををして笑い声を上げ、もう1人の医師はパソコンに向かっていた。

友人は父がどこにいるのかも分からず、入院手続きも完了せず、その場にいた4人の人間に声をかけても返事すらしてもらえなかったと言う。忙しいのならまだしも、食べ物の話をしながら高笑いしている看護師が答えないのはなぜなのだ。人が話しかけているのに、答えないってどういうことだ? 医師はパソコン画面から顔すら上げなかったらしい。

その看護師たちの傍らには、父の着ていた洋服と泥だらけの靴(その日は雨だった)が一緒に無造作に手提げ袋の中に入れられ、床に置き去られていた。

その後、廊下で別な事務屋らしき人を見つけ、父が違う階に移送されているのを知り、やっと会えたのも束の間、その病棟の看護師がまたひどかった。

まず友人に向かって
「夜中に暴れたら、その場合は体を縛りますから」
と言った。

「暴れるのですか?」
と友人。

「ええ、お父様のようなタイプの人は、9割は暴れます」

信じられない。夜中に気付いた時に「ここはどこだろう。なぜ、こんなところで寝てるのだろう」とパニックを起こすことはあるだろう。手術後など、ICUで妄想を見ることも知られている。

しかし、9割という数字はどこから出てきたのか。そして、まだ1時間ほどしか見ていないのに、人の性格など完ぺきにつかめるのか?

さらにこの看護師は、父上に向かっても、
「夜中に暴れたら縛りますよ」
と念を押した。

緊急入院で不安になっているのに、そんなことを言ってさらに恐がらせてどうするのだ。

かかりつけ医の態度が豹変

翌日、友人はかかりつけ医のところに出向き、その対応のひどさを告げ、違う病院に行くことはできないかと相談した。

すると、あれほど親身になって診察してくれていた医師が、きつい調子で
「無理を言って入れてもらったんだ。そんなことできるわけないじゃないか」
とつっぱねられてしまった。

じゃあ、先生が紹介してくれた大学病院の方に行くことはできないか、と尋ねると、<
「いい加減にしろ!」
と、態度が豹変したのだという。

いやいや、あなたが最初に紹介したんだろう。なぜイヤがるのだ。

その医師の態度を見て、友人は途方に暮れたという。

ちなみにこの医師、手術などが必要な患者に対して、病院を紹介する時に金を要求していたことも発覚。友人の知り合いの中には、そのかかりつけ医にお礼の金を持っていったところ、「彼らも大変なんだよね」と研修医の分も要求されたことがあると語ったそうである。

患者にキレる看護師

友人の父上が入院した病院は、時間が経つほどにひどさの全貌が見えてきた。入院2日目には2階で検査を受けてくるようにと指示が出たが、80代の患者にひとりで行けと言うのだ。そこに通っていたのならまだしも、初めて行った病院で1階の緊急処置室と現在いる入院病棟しか知らない患者に言うことなのか。

大丈夫だろうかと父上が言うと、
「行けば分かりますよ」
とだけ言い残し、看護師は立ち去ってしまった。

その日の午後、病院に行った友人がそのことを知り、別の看護師に抗議すると、くだんの看護師がやってきて、

「私がついていけばよかったんですよね。どうもすみませんね」
と少しキレ気味で謝罪のまね事をした後で、

「これぐらいのこと、他の看護師に言わないで下さいよ」
と付け加えたのだという。

友人は、なんてひどいところに入院してしまったんだと思い、まわりを見渡した。すると看護師と患者の言い合いがあちこちで起きているのに気付いた。入院3日めには隣の病室の患者が、2時間ほど壮絶なバトルをした後、強引に退院していくのを目にした。

そこの看護師は何かというと「ガマンして下さい」「ガマンできないんですか」と言い、おまけに医師は説明に来ない。

友人が「病状を知りたい」と頼んでから、説明しに来るまで2日半かかった。

さらにmojoが入院していた病院では、お風呂に入れない患者には暑い蒸しタオルを配ってくれていたのだが、この病院では2週間の入院で一度しか蒸しタオルをくれず、友人の父上は自分で洗面所に行き、タオルを湿らせてきて、それで体を拭いていたのだという。

信じられないかも知れないが、ここに書いたことはは本当のことなのだ。別な友人が見舞いに行った時にも患者や家族にキレる看護師を目にしているところから、冷静な目で見てもおかしな病院なのだと思う。

結局、2週間ほどの入院で友人の父上は退院することができたのだが、今度は入院先の医師から、かかりつけ医のところに戻ってくれと言われ、そこへの紹介状(でいいのかな。報告書のようなもの?)しか書いてくれず、戻りたくない友人は今また頭を悩ませている。

しかし「掃きだめに鶴」とはよく言ったもので、今回の入院先でたったひとりだけ、本当に心根が優しくいろんな話を聞いてくれた看護師がいたのだという。この看護師が力をつけ、さらに上の立場になったら、この病院も少しは変わることができるのだろうか。

どうにも長いエントリになってしまったが、実はこれでも友人に聞いた話の10分の1ぐらいしか書いていない。今のこの難しい時期に、こんな対応をする病院があるのかと思うと、患者側としてはたまらなくなる。

そして病院側にも、系列などいろいろなしがらみがあるのだろうが、もっと自由に気楽に(やはり別な病院へ移りますとは言いにくいものなのだ)病院選びができるようなシステム作りができればなと思う。


Posted at:2008年06月17日 (Tue)at 03:42 午後