さて、週が明けたら様子を見せに来いと言われていたので、気合いで早起きし病院に行ってきた。
医師の診察の前に視力を計ったり、眼圧を調べたりしたのだが、その時サポートしてくれたナースが、不思議な人だった。
まず風貌がフジコ・ヘミングなのである。フジコ・ヘミングというのは、苦難の人生を歩んできたピアニストで、猫と煙草が大好きな人。
ナース・フジコが猫好きかどうかは分からない。しかし顔が似ると雰囲気も似てくるのか、漂うものがどこか普通と違う。
視力測定をしていても、フジコはどこか不敵な笑みを浮かべ、mojoと対峙する。
「これは見える?」
「あっ、いや、見えないッスね」
「じゃあ、この右のやつは?」
「見えません、いや、どうも申し訳ない」
なんとなくナース・フジコの威圧感に押しまくられるmojo。
すると、フジコは無言で目標をグッと移動させ、表の一番上をトントンと指した。
「あっ、これは右ですね」
「こっちは?」
「それは下です」
「ふふっ…これは見えるのね」
この「ふふっ…」ってところがフジコ・ヘミングなのだ。
いや、実際の彼女はドキュメンタリーを見ても、シャイと可愛さと弾けた部分が混ざり合って複雑なんだけれど、このナースの「ふふっ」は、間違いなくフジコ・ヘミングと交差している。
よく見ていると、医師もどこかナース・フジコには一目置いているようで、当たり前のように指示され、しどろもどろになりながら答えていた。
ちなみに診察は無事終わり、まあ問題はなかろうということで、ひと安心。帰り際、
「お大事に、ふふっ…」
とフジコはまた唇を歪ませていた。
▷フジ子・ヘミング Official Site ▷フジ子・ヘミング - Wikipedia