入院15日目 目覚め
ICUで目が覚めた。本当に普通に睡眠から目覚めるような感じだった。母がニコニコ笑いながら顔をのぞき込んでいる。なんか、無理して笑ってるなーと思った。あとで聞いたらICUに様子を見に来たら偶然mojoが目を覚まし、心配顔なんかしていたらいけないと思って無理に笑顔を見せていたらしい。悪いね、そんな思いをさせて。
その母が「今日は7月21日だよ」と言う。ぼんやりする頭の中で計算…。えっ、じゃあ3日も経ってるってこと? ずっと眠ってたわけ? うーん、ビックリ。
それにしても無事に目覚めてよかったなー。この時はしみじみ思った。
やがて母も帰り、改めて自分の体を点検した。そうは言っても動けるわけじゃないので、感覚で体のあちこちを探るという感じだ。右手はなんだか動かない。手のひらに何かを握らされている。そして包帯でグルグル。
体からはいっぱいチューブ(※1)が出ている。全部で何本あるのか分からない。お腹のあたりから4〜5本、首から2本(※2)、鼻からも管が出ていてちょっと痛い。今のところ胸の傷はあまり痛くない。それより不思議なのは左手にも包帯(※3)が巻かれていること。酸素マスク越しにくぐもった声で看護婦さんに聞く。
「ねえ、なんで包帯してるの?」
「血管をとった後ですよ」
そうだ。事前に説明を受けていたのにこの時は思い出せなかったのだ。どうも頭がボケてるな。
そうこうしているうちに先生たちがやって来た。ほぼ全員の先生(※4)が揃った。そしてmojoのベッドを囲み何を始めるのかと思ったら、なんとお腹から出ている例のチューブをぐいぐい引っ張り始めたのだ。うーん、なんか気持ち悪〜い。
さらに心臓のあたりから出ている管を抜くことになった。これは今までにない感覚で本当に気持ち悪かった。その後、心臓についていた電極(※5)を外す時に匹敵する嫌な感じ。そばにいた研修医が手を握ってくれた。普段なら男に手を握られてうれしいわけもないが、この時ばかりは心臓の気持ち悪さを緩和する手伝いをしてくれた。ありがとうよ、K君。
ところでmojoの心臓はまだ自力で動いているわけではないらしい。そしてY先生が言った。
「試しに切ってみよう」
そしてペースメーカーが一時的に切られた。すると、とたんに脈拍が乱れ、ガクンと苦しくなった。ひぃぃぃ〜、ペースメーカーつないで下さ〜い!
「やっぱりまだかなぁ」
と言うY先生。はい〜、まだです。多分まだ全然ダメなんですぅ。再びスイッチオン。ようやく正確に脈が刻まれラクになる。ふぅ〜、恐るべし、ペースメーカー。
なんだか不安になったが、 Y先生が「大丈夫、順調だからね!」
と言ってくれ、なんとも気が休まる。このICUでもそうだったが、この病院の先生たちはことあるごとに声をかけてくれ、それがずいぶん気持ちの上で助かった。ひとりでぼんやりとイスに座って景色を眺めている時、ベッドで動けなくて痛いのを我慢している時、通りかかった先生がよく声をかけてくれたものだ。
夜中、傷が痛み出し、耐え切れなくて看護婦さんを呼んだ。注射を打つのかと思ったら、首から出ている管から液体が注入された。少し冷たい液が体内に入ってくるのが分かった。
痛みが消えた代わりに、長く眠れない夜が始まった。
※1 体内の出血などを排出するドレン。
※2 静脈カテーテル。
※3 一応担当医は決まっているが、グループ治療なので5〜6人も主治医がいる感じ。
※4 いざという時に電気ショックを与えるための電気コードが心臓に直接つながれている。
Posted at:2003年07月21日 (Mon)at
01:11 午前