入院81日目 退院〜夏のしっぽ


 あいにくの雨。朝、O看護婦がやって来た。いつもはふざけているのに、ちょっとまじめな声で、「mojoさん、退院おめでとうございます」と改まった感じで言ってくれた。なんだか"退院するんだな"という気持ちが急に押し寄せてきた。

 他の看護婦さんや先生たちも次々訪れては「おめでとう」と言ってくれる。退院後の生活についての注意や、最初の外来の予約確認など、退院日ならではの行事? が続く。

 と、ここまでは盛り上がっていたのだが、なぜか迎えが来ない。兄が来るのか、母が1人で来るのかも分からない。なぜか兄の携帯にもつながらない。

 そのうち看護婦さんたちも「あれ、まだ退院しないの?」という感じでmojoを見る。いや、退院したいんですけど、着替えもなくて…。ちょっと小さくなるmojo。

 時間はまたも過ぎ、とうとう11時近く。もうすぐ昼ご飯の時間じゃん。当然mojoの分なんかありませんよ。そんな不安がよぎる中、やっと迎えが来た。

 のんびりムードの母と兄。うーむ…。

 それでも自分を納得させ、持ってきてもらった洋服に着替える。ジーンズを履くのも靴を履くのも3ヵ月ぶりである。看護婦さんたちも「あらー、別人ねえ」と言う。

 着替えを済ませ、入院中仲よくなった人たちに挨拶に行く。心臓外科としては長丁場だったので、知り合いが多くなってしまい、挨拶するのも大変だ。そちらに忙しくて、つい看護婦さんや先生たちのいるナースステーションに寄って挨拶するのを忘れてしまった。なんて恩知らず_| ̄|○

 母からお金を借りて1Fで入院費の精算を済ませると、いよいよ退院。3ヵ月前にくぐった扉を今度は逆に出る。雨でイマイチの外。少し生暖かい湿気のある空気。

 冷夏のおかげで少し夏がとどまっていてくれてた。
 弱くなった握力で、夏のしっぽをつかまえた。
 そんな気がした。

 兄が玄関まで回してくれた車に乗る。途中、お祝いといことでうな重を食べ、帰宅した。久しぶりの家。3ヵ月ぶりの風呂に入った。病院ではずっとシャワーだったから、湯船に浸かるのは気持ちいい。

 最初はこわごわと、そしてやがてゆっくりと体を沈める。じんわりとした暖かさが体を包み、それが退院出来た喜びとなってmojoを包み込んだ。

 夜はさすがに病院の消灯時間よりは起きていたが、10時過ぎには眠くなって床へついた。とにかく手術が終わったんだなぁ。退院出来たんだなぁと思った。外のざわざわした音が、心地良かった。
Special ありがとう!
治療だけじゃなく、いつも声をかけて励ましてくれた医師の皆さん。
優しく厳しく、面倒なことも嫌がらず、支えてくれた看護婦の皆さん。
落ち込みそうになるmojoを見舞いや電話で見守ってくれた友人たち。
不摂生が招いた2度の手術。心配をかけ、身体的にも苦労をさせてしまった家族。
本当にありがとう。この言葉しか言えないけれど、ありがとうともう一度言う。
ありがとう。

Posted at:2003年09月25日 (Thu)at 05:46 午後