入院日記番外編 東京へ


 退院して2週間ほど経過した10月11日、東京へ戻ることにした。母や兄をはじめ、友人たちの多くも一人暮らしは早過ぎる。3ヵ月ぐらいは家で静養したらどうかと言うのだが、家を出て20年も経っているのでここにはmojoの生活はなく、何もしない状態ではいつまで経ってもリハビリにならないと思ったのだ。

 体の状態は健康人が10分で歩くコースに倍の時間がかかり、さらにハァハァと息が上がるような感じだったが、東京の仕事仲間とも連絡を取り始めていたので、すでに3ヵ月もリタイヤ状態でいる自分の立場に不安を感じてもいた。

 朝、地元の友人に迎えに来てもらい、久しぶりの新幹線に乗って東京へ。さらに東京駅から20分ほど、オレンジ色の電車に乗って懐かしい街にたどり着く。

 3ヵ月ぶりの部屋。鍵を開け中に入ると、少しだけ空気のよどんだ匂い。それでも想像していたよりは埃が溜まっていない。マンションのペントハウスに住んでいる大家のところに挨拶に行き、無事を喜んでもらうと同時に、溜まりに溜まった郵便物(預かってもらっていた)を段ボールで受け取る。mojoの場合は本が送られてくるのでかなり多くなってしまうのだ。

 大家のところから戻り、あちこちに電話をかけ、ちょっとばかりの忙しさを味わったら、すとんと気が抜けた。

 久しぶりの1人の部屋。ソファに座りぼんやりとする。3ヵ月前と何かが違うような気がして、思わず部屋の中を見廻してみる。

「大丈夫だよな」

「やって行けるよな」
 
 日が傾きかけた6階の部屋。目を閉じて大きく深呼吸をした。ほっぺたを膨らませて息を吐き出してから、ポンとひざを叩いて立ち上がった。

Posted at:2003年10月11日 (Sat)at 12:08 午後