入院39日目 10%の不幸


 今日は19日に決定した大動脈瘤の手術説明がある。午後7時、仕事を片づけた兄と共に母が駆けつけ、心臓の時にも入った手術説明を受けるための部屋に向かう。

 今回はW先生が説明の担当。まずは11日にやった心臓カテーテル検査についての説明。映像を見せてくれた。造影剤を流すとそれが血管を通っていく。手術前の映像(血流が相当悪い)と比べると、ちゃんと血液が流れているのが分かる。
「胃の血管を使った部分は動脈瘤に触れると困るので見ませんでしたが、残りの2本は大丈夫ですよ」
 と言われてひと安心。

 しかし、動脈瘤の説明ではちょっとビビらされた。というのも、この手術では脊髄を傷つける恐れがあり、車イス生活になる可能性が1割もあるという。これが腹部の動脈瘤なら問題ないが、胸腹部という位置が手術を難しくするらしい。

「mojoさんの場合は、もう少し…数パーセント確率が下がるとは思いますが…」
 心臓の時の説明より苦しそう。
「もし、そうなっても腕を鍛えて頑張りましょう!」
 とW先生。うーん、そんなに簡単に頑張れないよ。1割だよ、1割。10人手術したら1人は車イス…。ため息も出ない。

 さて、実際の術式についても細かく説明がされる。まず今回の手術では上半身は自分の心臓を使い、下半身は右足のつけねから人工心肺につなぎ、上半身と下半身をわけて血流を確保する。これは動脈瘤の位置から2ヵ所で血流を止めないと手術出来ないからで、このことが手術を難しいにしているらしい。さらに脳への影響を遅らせる(常温だと血流が止まったとたんにダメになる)ために、体温を20℃以下に下げて手術を行うという。

 切るのは左の背中から。肩甲骨のあたりから脇腹を通り、左の下腹部まで切り開く。まさに人間柏餅。パックリと横開きにされるわけである。

 横隔膜などは切るという。そして腹膜は破らずに内蔵を下に押しやり、動脈瘤の部分に人工血管をつないでいく。この人工血管には腎臓や肝臓などをつなげるわけで、腎不全や肝不全(あるいはそれに関連する病気)になる可能性も当然あるという。また人工物を体内に入れることから感染症の危険もあり、これは術後2週間ぐらいは予断を許さないらしい。うーん、やっぱりいろんな面で今度の手術は大変そうだ。

 その他では今回は心臓の時とは違って、左半身を上にして横に寝ての手術になり、左の肺が動いていると手術がやりにくいため、手術中は左の肺を止めるという。人工呼吸のために入れる管はノドから二手に分かれ、それぞれの肺を管理する太いチューブになるらしい。そのため、しばらくノドが痛くなったりするかも知れないとのこと。

 とにかく聞いているだけで今回の手術の大変さが分かり、ふーっとため息が出てしまう。詳しい説明で終了したのは消灯時間ギリギリだった。おかげで兄たちと手術についてゆっくり話すことも出来ず、エレベーターまで見送る。

 そして1人で病室へ戻る。消灯。眠れるわけがない。

Posted at:2003年08月14日 (Thu)at 09:44 午後