入院7日目 約束したこと


今日は1日雨だった。建物の中にいても、雨はユーウツ。今いる病室はmojoの他はガン患者が多いのだが、肺ガンの温熱療法(病巣を切り取るのではなく、お湯を入れてガン細胞を死滅させる方法だとか)をやったというMさんの他に、もうひとり肺ガンの患者Oさんが入ってきた。手術したばかりで、まだ2日目らしい。ヘロヘロ状態で苦しそうだ。
一方のMさんは、手術は5月にして今回は抗ガン治療に来たらしい。糖尿病も持っていて、ふだんはインシュリンは使わないんだけど、抗ガン剤が高カロリーのため、抗ガン治療の間だけインシュリン注射をするんだとか。糖尿病って、やっぱり大変だ。生まれて初めてインシュリン注射をしているところを見た。

しかし、このMさんが明るくて、いろいろアドバイスもしてくれたので、mojoの入院生活もラクになった。それでもMさんがガン告知を受けた時は大変だったらしい。

「いやあ、医者にもう3ヵ月ももたないかも知れないなんて言われてさあ。もう目の前真っ暗になったね。仕事のこととか子供のこととか考えちゃってさ。しばらくボーゼンとしたよぉ」
なんて言う。
「それで、じゃあ大学病院へ行ってきちんと調べようと思ってきたんだよ。で、ここで先生、どのぐらい持ちますかって聞いたら、どのぐらいって…大丈夫だよ、治るよって言われて、もうホッとしたよぉ」

最初の医者は何だったんだ? 3ヵ月って急に言われたら、そりゃあ真っ白になるよねえ。mojoだって、けっこうビビったんだから。

Mさんと急速に仲良くなる一方、mojoが気になるのは隣のベッドの患者だった。mojoよりも10歳ぐらい若く、奥さんと小さな子供がいる。ガン患者だ。半年で7回も手術をしたという。初日に心臓カテーテルを終え、ベッドで動けないでいるmojoに、奥さんがこれなら寝ながらでも食べられるからとパンをくれた。

普段はこんな病気をしているとは思えないほど明るく、2人で「かけあい漫才」をするように会話していた。

でも、今日は少し様子が違う。ダンナの方が少しナーバスになってしまったようだ。薄いカーテン越しに、つらい会話が聞こえてくる。くぐもった声でダンナが思いを吐露する。少しの間。長く感じる間。
やがて奥さんが絞り出すような声でいった。
「約束したじゃない。1分でも1秒でも長く、一緒にいようねって。約束…したじゃない」

聞いてるのがつらくなって布団をかぶった。
悲し過ぎて病室が凍った。

Posted at:2003年07月13日 (Sun)at 01:38 午前