入院25日目 プチ脱走が見つかる
調子がよかったので久しぶりに1階に降りてみた。そう、書店や売店、郵便局、喫茶店などがあるフロアーである。病棟とは違う人の匂い、煙草の匂い、いろんなモノの匂いがあふれている。
うれしくなって書店で何冊かの本を買い、コンビニ風の売店にも立ち寄る。もちろん点滴棒をズリズリと転がしながらの移動だ。入院前は、病院でときどき目にする“点滴棒ガラガラ移動”の患者を「そんなにまでして動かなくてもいいのに」などと思っていたが、患者になったらそんなのおかまいなしだ。動けるのならば動きたいというのが本音だろう。
そんなわけで久しぶりに1階に降りてきたのだが、昨日の洗髪と同じように、思わぬところで待ったがかかてしまった。なんと、突然誰かに呼び止められたのだ。
「mojoさん!」
「えっ!?」
振り返ると、なんと3人の看護婦さん。みんないじわるそうな顔をしてmojoを見る。
「1階にいていいんだっけ?」
「あう…」
そう、mojoの許されている行動範囲(注1)は、まだ8階だけなのだ。それを無視して1階にいる。
「また不整脈出るわよ」
「はい〜」
「点滴いつまで経っても外せなくなるわよ」
「あい〜」
「居場所が分からないとみんなが心配するでしょ」
「あい、すびません…」
口々にイジメの言葉を浴びせられ、意気消沈のmojo。
その後もさんざんだった。8階に戻りると、他の看護婦にもすでに話が届いているらしく、
「ダメじゃない」
と言われ、回診にやってきた先生たちにも、
「看護婦に見つかったんだって」
と笑いながら言われ、
「申し送りしてる時に行かないとダメだよ」
と抜け出すアドバイスまでもらった。でも、心臓がドキッとするから、今度からは後ろから声をかけるのはやめて欲しいと思った。
夜、Y先生がやってきて、次の手術はあと2週間後ぐらいになりそうだと告げられた。
1)行動範囲
この大学病院では、“ベッド上”(つまりベッドから降りてもいけない)から始まって、病室内、トイレまで、フロアー全体、そして館内自由と行動許可範囲が定められていた。
Posted at:2003年07月31日 (Thu)at
09:08 午前