仕事を整理する...


「急で申し訳ないんだけど、入院することになっちゃって」
そんな切り出しで、あちこちの出版社の担当者と会った。会えない分は電話で話した。
「医者は一ヵ月ぐらいと言ってるんだけど、リハビリにもどのくら
いかかるのか分からなくて」
「一ヵ月なら、今月の分をすぐに入稿してもらえれば、なんとかな
るんじゃない?」
「いや、それがすぐに入院しなくちゃいけなくて」
「......」
「だから迷惑かけちゃうと困るから、この仕事降ろさせてもらえな
い?」

20年も文章を書いて暮らしてきた。いつも時間がなくて、休む時間がとれなくて、結局体を壊してしまったけれど、ずいぶん無茶をしてきたから、それもしかたがないかなと思う。

10数年も連載を続けた本もあった。話が中途のまま途切れてしまう連載もあった。どれも原稿を書くときは嫌でつらくて、たまらないんだけど、愛着はある。僕にとっての本とはそういうものだ。

そういう本たちと離れることになったのは、やはり寂しい。編集部の好意で復帰の道を残したのは、たった1冊だけ。それでも一応帰る場所を確保したわけだ。一ヵ月がはるか先にかすんで見えたのは、小学生の頃以来か。


Posted at:2003年07月04日 (Fri)at 03:14 午前