いつも5〜6冊は買い置きがしてあるので、安心してついストックの確認を怠ったのが運の尽き。仕方がないので寒い中、夜の街に飛び出した。
空気が芯まで冷えていて身をちぢこませながら歩いていくと、前方から人影。格好からして若い男性か。
男は丸い形をしたマスクをしてこちらに向かってやってきた。風邪でもひいているのか。あるいは、あちこちでクシャミが始まった花粉症か。そんな風に思っていた。
ところが近づくにつれて小さな違和感。何かと思ったら顔のあたりから、湯気が出ているのだ。
ただし、深夜の寒さとマスクから漏れる息にしては、湯気の量が多過ぎる。
「おかしいよなぁ」と思いながら、さらに互いの距離が縮む。そして男が隣を通り過ぎた瞬間、「ええっ?」と振り返った。
なんと肉まんだ。
白く見えたのはマスクではなく、肉まんだったのだ。
ポッケに両手を突っ込み、肉まんを口にくわえたままひょうひょうと歩き去る男。思わずその肩に手を置いて、
「なぜキミは手も使わず、口にくわえて歩いているのだ!?」
と詰問したくなる衝動にかられたが、やはり聞けぬ。聞けはしないが、「なぜ? なぜ…」という疑問は次々と噴き出してくる。
なぜ肉まんをくわえたまま歩いていたのか。なぜ、くわえるにしても横からではなく、平らな面をくわえていたのか。
そこに、どんな意図があるというのだ?
(1)手を離したまま最後まで食べられるか試していた。
(2)唇が寂しかった。(恋人募集中?)
(3)本当にマスクの代わりとして使っていた。
(4)深夜に出歩くおぢさんを驚かせたかった。
(5)意図も何もこれが彼の普段からの肉まんの食べ方である。
いろいろ考えてみたが、いまだに頭の中は整理されず。皆さんは、いかが想像されるか?