夫婦2人で住んでいた。旦那さんは60代にして山登りをし、近所の碁会所で囲碁を打つのを趣味にしていた。
その日も「碁を打ってくる」と家を出た。奥さんは「少し早いけど、私はお風呂にでも入ろうかしら」なんて言っていたらしい。
夕方、碁会所から戻ると、奥さんがいない。お風呂場の電気が点いていたので、まだ入っているのかと思い、声をかけるが返事がない。不安になり扉を開けてみると、奥さんが倒れていた。くも膜下出血だったらしい。
それ以来、明るい性格だった旦那さんはすっかり落ち込み、泣きはらすばかりで立ち直れないでいるのだという。
「俺が碁会所に行かなければ、助けられたかも知れないなぁ…」
と、自分が碁を打ちに行ったことを悔いている。そして、その日以来一度も碁を打っていないのだとか。
連合いを亡くした場合、こんな風に男の方が立ち直れないケースが多いように思う。もっともこの旦那さんは、まだたった数ヵ月だから無理もないが、女性の方が気持ちの切り換えが上手というか、強いのではないか。
この話をしてくれた友人の父も、やはり60代で連合いを亡くし、立ち直るまでに相当な時間がかかったとか。友人がケツを叩いて、ようやく歩き出すことができたらしい。
そういえばmojoの母は、43だか44歳の時に未亡人となってしまったのだが、気丈というか、かなり早い段階で“心の中でケリをつけた”ように見えた。
いや、見えただけなのかも知れない。mojoの知らないところでは、泣いていたのだろうが、とにかく見た目は早い段階で平常を取り戻したように見えた。
まあ、心配のタネであるmojoがまだ20歳かそこらでフラフラしていた時期だし、普通の親よりもしっかりしなければと思ったのだろうが、子供としては“強いな”と思ったものだ。
やはり自らの身に子供を宿す女性の方が、生き抜いていこうとする力が強いから、ふっきるのも早いのだろうか。
それに比べて…。
男はいつもくよくよしながら歩いている。錆びたナイフといえば聞こえはよいが、切れ味は悪く、スッパリ、サッパリ、プッツリ…なんて言葉は、てんで似合わない生き物なのである。
なんてmojoは考えるのだが、皆さんはどう思う?