べ びぃ しゅう の まりょく
ベ ビ ー 臭 の 魔 力

「よっこいしょ、と。」かがんで床に落ちたハシを拾う。
そして元の体勢に戻った時、古めかしいような、賞味期限の過ぎた古い油脂のような香りが漂う。
つまりそこは、自分がそれまでいた場所。
世の中に“加齢臭”という言葉が一般化して久しいが、自分もまさにその年齢になってしまったようだ。
パッと見若いとは言われるが、「若い!」のでは無くてあくまでも「パッと見、若い」わけだ。
そしてカッコはともかく、臭いは隠せない。ブルガリみたいな香水付けると頭痛になるし、衰えゆく肉体と共に増していく加齢臭。
前夜の風呂だと翌日すでに仕事はNGだ。朝風呂でようやく一日がセーフという感じで。。
娘ららは、現在七歳。数年前までベビーをやっていたわけだ。
風邪をひき、3日ほど風呂に入れなかった時などは、頭髪付近から赤ちゃんミルクのようななんとも言えない臭気が漂ってくる。
加齢臭とは真逆な匂い。風呂に入らないほどその臭気は強くなる。
甘えん坊になるような、癒される気持ちに浸れるその匂いこそ、近頃我が家で流行のベビー臭なのだ。
仕事からの帰宅時に「ただいま、、はぁ〜パパ今日お仕事でけっこう疲れちゃったyo。。」
とギブアップ言葉を発すると、ららが近寄ってくる。
「はいパパ、ベビーしゅう。」そう言って頭を差し出すのだ。
彼女の頭を抱え、顔を近づける。そこから漂う平和で甘い臭気。全てのストレス事項をリセットさせ、忘れさせてくれる魔力。
あと数年もすればベビー臭も消失するのだろう。赤ちゃん時代最後の名残りみたいなものなのか。
「新車の匂い」「新築の匂い」などという名の芳香剤があったら買うのにナァ、と思っている人はきっと多いはず。
似たようなものはあっても、そのものドンズバなものはまだ見かけたことはない。
それと同じように思うのだ、ベビー臭の香水とか、あるいはシャンプーとか発売してくれないかなぁ。
加齢臭も少しは覆い隠せるだろうし、なにより自分自身にふりかけ、いつでもベビー臭かげたら至福の骨頂だろう。
というわけで、キボンヌ!ベビー臭香水 and ベビー臭シャンプー!
