シロ


大阪ではホルモンのことを「シロ」と呼ぶらしい。
私にとって懐かしい響き。

小学校へと続く道を2/3ほどすすむと、こおばしいタレの匂いが辺りをおおう食をそそる区域に入る。そこではモツ、シロ、たこ焼きをやっており、店内にはバータイプの回転椅子が3〜4脚、カウンター越しに食べることもできた。店の奥に住まいがあったのを記憶している。もちろん、そこは店の人しか入れない未知の領域だった。
下町の小汚い店構えはうっすらした記憶の中いまでは懐かしくも思えるが、当時は何も思うことはなく近所の見慣れた風景として捉えていたのだと思う。店の名前があったのかなかったのか、看板はなかった。
モツ焼きを買いに行く時はモツ焼き屋、たこ焼きを買いに行く時はたこ焼き屋だったのか?記憶からすっかり消されている。
そこに店があり、客がいれば店の名前なんか必要ないのだろう。これが下町のいいところでもあり、味のあるところだと思う。

学校が終わり、近所の友達と遊び終え家に帰ると、お袋が夕飯の準備をしている。

お袋「モツ焼き買ってきて」
私「何本?」
「モツ5本とシロ5本。はい、お金。」
「いってきま〜す。」

こんな会話があったのかは記憶にないが、たぶんこんなところであろう。
小銭を片手に握りしめ、モツ焼き屋までの道のり見慣れた町並みを見過ごし、見慣れた顔の大人や子供とすれ違い、ありきたりの会話を耳にしながら歩いて行く。そのモツ焼き屋は子供の足で5分とかからない場所にある。

店では顔なじみのおばちゃんが煙だらけの中、モツ、シロを焼いてはタレの容器に放り込んで行く。焼き上がったモツとシロを袋に入れてもらい、お金と交換して買い物は終わる。帰り道は、いいにおいが漏れる袋を片手に、匂いをかぎながら帰る。

なんとも平和な時だったろうかと、いまにしてみれば思える。
事件や事故もなく、近所はみな顔なじみ。通ったことのない道はない。どんな細い道でも必ず通ったことがあった。小さな町だったから少々遠くへ行っても知らない顔には遭遇しなかった。紙芝居、豆腐屋、おでん屋、八百屋、チャルメラが屋台で来る、実に平和な町だった。

ああ、なつかしや、なつかしや。

そう、生まれ育った町で「シロ」を食していた。濃いタレに浸けたシロはとても美味かった。
いま、こうして大人になり焼き肉屋へ行ったりするとホルモン焼きを食べるが、幼い頃はホルモンではなくシロだったのだ。大阪でもシロということを知って、懐かしい響きを覚えた。

今一度、童心にかえり言ってみたい。

「シロちょうだい!」

Posted: (金) - 10 15, 2004 at 02:50 PM         |


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