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高橋未希さんは無名のバロック・ヴァイオリン奏者です。私は彼女の名を昨年のベルギーはブルージュの古楽コンクールの本選出場者として初めて知りました。演奏し始められてただちに、審査委員は勿論のこと、聴衆も満場一致で「彼女だ」と、確信している空気が流れて来ました。彼女はどんな教育を受けられ、このように説得力のある演奏ができるのでしょう。大いに関心のあるところでした。「日本では桐朋学園大学に学び、本当に普通の学生でした。カナダに留学して様々な表現方法を知り、バロック・ヴァイオリンを初めて手にしました。ですからこの世界のことは全く知らないのです」とのことです。もしかしたら今でも彼女は、自分が「古楽の世界」に住んでいるとは意識していないのかもしれません。自分が納得のいく音楽表現を真摯に求めているが故に、結果的に「古楽」、すなわち作品と演奏が、時代の隔たりを超えて、彼女の中で一体となっているのかもしれません。今年第20回古楽コンクール(山梨)にお招きしたジル・フェルドマンさんも、彼女の演奏に深く心を動かされたおひとりです。私が未希さんの日本デビューをお話した時に、それを祝って次のような言葉を贈ってくださいました。(古楽コンクール実行委員長 荒川恒子)
「高橋未希さんを、日本の聴衆に御紹介していただけないか、とのお尋ねをいただきましたが、それは本当にたやすいことです。というのは、2005年夏のブルージュ国際古楽コンクールにおける彼女の演奏は、あまりにも素晴らしく、審査委員も聴衆も感服してしまったからです。なお私とケース・ブッケは審査委員を務めておりました。高橋さんは日本、カナダ、ドイツにおいて教育を受けていますが、そのことから昔の音楽のレパートリーを解釈するにあたり、様々な面からものを考える力を身につけられたのではないかと考えます。ヴァイオリン演奏におけるイントネーションと技術的な能力は比類ないものです。しかし彼女の演奏において最も大切なことは、非常に深いものを表現できる音楽性です。奏でる音ひとつひとつに意味を与えてくれるように感じます。彼女こそ本当の意味で、素晴らしい若い才能であり、その音楽に接する全ての方は、彼女の音楽を聴くことができたことを喜びとなさることでしょう」 ジル・フェルドマン(ソプラノ) デン・ハーグ王立コンセルヴァトワール古楽科教授、チューリッヒ音楽大学声楽教授
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