夕ぐれは遠くからやってくる

夕ぐれは遠くからやってくる              
雪におおわれた静かなモミの森を通って         
それから 夕ぐれはその冬のほほを           
すべての窓におしつける 聞き耳をたてながら      

どの家もひっそりとなる                
老人たちは安楽椅子のなかで物思いにふけり       
母たちは女王さまのよう                
子どもたちはめいめいの遊びを             
はじめようとはしない 女中たちは           
もう糸をつむがない 夕ぐれは家のなかのようすをうかがい
家のなかでは皆が外の様子をうかがう          

 



「リルケ詩集」 石丸静雄 訳 旺文社文庫 より

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