…‥心の中の景色・‥…

苦い粒
辛い粒
痛い粒
無数のせつない砂粒が
落ちる

涙のしずくの形をしたガラスの空間の一方がからっぽになったとき
大きな者の手がのびてきて
砂時計をひっくり返した

するとさきほどまで鈍い色をしていた砂は
きらめきながら落下して
ガラスの器の底に
白く純粋な山をつくり始める

 

…‥・大きなものの・‥…

今はつぼみ
今は花
それぞれに
そんな花を見守る
目がある
大きなものの

 

…‥・宇宙は膨張しつづける・‥…

年があらたまって
去年のちょうど真上にいるように感じるのは
DNAが螺旋階段のようなかたちを
しているからかな
螺旋階段の遥か下の方は
既に霞んで見えないけれど
ともかくここまで登ってきた
螺旋階段の頂上は まだ見えないけれど
なんとか登って行くだろう

さまざまな命が発光しながら
それぞれの螺旋階段を登ってゆく
だから宇宙は膨張しつづけるのだ

 

…‥・街の王様・‥…

 広島市中心部にある比治山という小山は、捨て猫のメッカ。
 毛も抜け、鼻水をたらし、あきらかに病気のような猫がうろうろしている。
 山中の公園で猫にえさをやっていたおばあさんの話によると、最近までホームレスの人が猫の面倒をみていたが、その彼が市によって強制退去させられたのだという。
 写真の猫も野良猫だろうが、毛並みは艶やか。
「俺を捨てた人よ、見てくれ。俺は堂々と生きてるぜ」とでも言いたそうな風情。

 

…‥・「鏡よ、鏡…」・‥…

 鏡に映った自分、左右が逆になっているのに、上下が逆さまになっていないのはなぜでしょう。 頭のところに足はきてない。
 インターネットのある掲示板に、この疑問を書き込んでみたら、さっそくレスが…。
「それは、人間の目が上下についてないからです」
 なるほど。
 そこで、床にごろんと横向きになって、鏡をながめてみる。すると、横向きの身体の上の方にある右腕が、鏡の中では左腕。ということは、上下が逆に映っている。
 でも、上下の関係を問題にしているのに、右腕とか左腕とか、左右の関係から自由になっていないところに、何か重要な意味がありそうな気がする。
 などと書きながら、とても非科学的なことを書いているのではなかろうかという思いが肩甲骨のあたりで疼いています。

 

…‥・アドバイス・‥…

 小学生のころ体育の日は、一年のうちでも苦手な日のひとつだった。
 もし、タイムマシーンがあるなら、乗って戻って、小さな『ぼく』にアドバイスしたい。
 体育、苦手だなんて言ってないで、Let’s Try
 できること、いっぱいあるよ。
 たとえば、朝は走って学校へ行こう。
 休み時間になったら、みんなといっしょにグランドに飛び出して、ドッジボールに加わろう。アウトになったら、日なたぼっこ、日なたぼっこ。
 夕方、校庭のすみで逆上がりの練習。うまくいったときには、鉄棒にぶら下がった自分の長い影が、一瞬、逆さまに見えるだろう。

 それにしても、運動音痴のDNAって変わらないね。
 よし、明日から会社には、走って通おう。
 お昼休みに、寝たりはしない。
 会社の帰り、公園で、鉄棒にぶらさがる。
 ともかく、何でもやってみよう。
 できること、いっぱいあるから。

 

…‥・手紙・‥…
自分の手紙をポストに入れたときも手がふるえたけど
自宅のポストの中に
あの子からの返事をみつけたときは もっとふるえた
丸っこい文字で ぼくの名前が書いてある
早く読みたい
でも 封を切るのが
すこしこわい
ぼくはしばらく封筒とにらめっこしてから
おもいきって指の先に力をこめた