奇偶 山口雅也


 「神曲法廷」と同時並行で読んでいたためか、本書を読んでいる間中、「ミステリ・オペラ」を読んでいる感覚がずっとつきまとっていた。
 実際、謎の提示方法は似ていると思う。

 いわゆる一般的なミステリでは謎は常識的観察者の視点で描写されるが、両者の作品においては、観察者そのものが不安定な存在で、そのそも解決するべき謎が存在するのかどうかすら、疑わしい。もっと云うと、今読んでいるのがミステリなのかSFなのか良く分からなくなってくる。(考えてみれば、「ドグラ・マグラ」もそうか)
 ただ最終的には山田正紀が極めて正統派本格のアプローチで謎を解決していくのに対して、山口雅也は本格推理から逸脱する方向に向かう。
 元より山口雅也の作品ではしばしば「シュレーディンガーの猫」に言及してきており、今回はこれを全面的にテーマとして持ってきている。今までの集大成として本書があるのであれば、ミステリから逸脱し形而上的展開になるのも当然の事かもしれない。

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山口 雅也
講談社 2005-09-06

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Posted: 火 - 9月 20, 2005 at 11:19 PM           |


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