日 - 7 月 12, 2009

1968


ベストセラー『1Q84』ではなく、『1968』by小熊英二。

以前本を購入したオンライン書店のbk1から、定期的にメールが来ます。
先日受信したのは、小熊英二『1968』 のご案内。
小熊英二さんは社会学者で1998年の大著『<日本人>の境界』で著名な学者です。
『<日本人>の境界』は792頁で6090円でしたが、思い切って購入しました。
しかし、まだ読んでいません。
買ったところで安心してしまったのです。

それで、今回のメールで案内されているのは『1968』で上下の二巻。
上巻は「若者たちの叛乱とその背景」で、下巻は「叛乱の終焉とその遺産」のサブタイトルが付いています。
上巻1092頁、下巻1008頁で定価はいずれも7140円。
ページ数もページ数ですが、価格も価格、上下で14280円もします。
今のところは上巻だけの刊行で、7月下旬に下巻が刊行予定です。

『1968』は著者のことばによれば、『これまで、「あの時代」を語った回想記などは大量に存在したが、あの叛乱が何であったのか、なぜ起こったのか、何をその後に遺したのかを、解明した研究はなかった。』という出発点から生まれた本です、
1968年、当時わたしは大学一年生で、いわば若者たちの叛乱の真っ只中にいました。
ただし在日韓国人であったために、政治活動には参加していませんでした。
しかし時代の渦中にいたことは間違いなく、あの時代(と高度成長期)の解明は自分自身の宿題と思ってきました。

『<日本人>の境界』は読んでいませんが、小熊さんの著書は何冊か読んでいます。
信用できる学者です。
即刻(ではなく、価格の所為でしばらく考えた末に)購入を決定し、bk1に発注しました。
それも一刻も早く読みたいので即日便で。

届いた『1968』の厚さは5.5cmで、普通ならメゲる分厚さですが、今度は読む気満々。
早速読み始めました。
恐らく、二週間以内に読了するでしょう。

話は変わりますが、村上春樹『1Q84』が大ベストセラーのようです。
村上さんに関しては、龍さんの本は多数読んでますが、春樹さんは共著の『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』しか読んだことがありません。
ちなみに『東京するめクラブ 地球のはぐれ方』は面白かったです。
わたしはベストセラーを嫌っているわけでもないのですが、ほとんど縁がありません。
ヘソが曲がっているのは事実ですが、あえてベストセラーを避けているわけではありません。
興味が、いつもマイナー、マイナー方向へと流れているだけです。

『1968』もマイナーな書ですが、小熊さんはメジャーな学者と思います。
学会でどのような評価を受けているか不明ですが、わたしの感覚では(多分読書人の間でも)メジャーな学者、作家です。
関係ありませんが、小熊さんは音楽活動もやっているそうですし。

先週は伊藤知宏展のテキストを書くために『オン・ザ・ロード』を再読しました。
これも大著でした。
それでは、腰を据えて『1968』の上下を完読したいと思います。

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「建物シリーズ」271回目。
山梨県甲府市貢川の寺社の階段。
良い、色合いです。

Posted at 10:14 午前     Read More  


日 - 7 月 5, 2009


Rhythm Of The Rain。

恥ずかしい話ですが、先月の29日、遂に還暦を迎えてしまいました。
そして妻も今日が還暦です。
メールや電話でお祝いを下さった方、それに画廊でプレゼントやケーキでお祝いをして下さったスタッフや友人の方々。
(自身のオープニングパーティにも関わらず、祝杯を許していただいたみわはるきさん。)
本当に有り難うございました。
涙が出るほど(実際に出てしまいましたが)、嬉しかったです。

この蒸暑い梅雨時に、わたしは生まれました。
だから、雨とは縁が深く、雨にまつわる曲も好きです。
その中でも、約半世紀聴き続けられているポップソングがあります。
あの『雨に歌えば』ではなく、『悲しき雨音』(Rhythm Of The Rain)です。
この唄について、iGalleryで少し描いてみました。
今日は、そちら をご覧下さい。

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「建物シリーズ」270回目。
山梨県甲府市の工場。
昔の学校の校舎のような形ですね。

Posted at 10:57 午前     Read More  


土 - 6 月 27, 2009

二題


iPhoneの機種変更とマイケル・ジャクソン。

今週は所用で一日早い更新です。

先週の話題の続きです。
iPhone 3GをiPhone 3GSに機種変更(買い増し)した場合の費用を、念の為、近所のソフトバンクで訊いてみました。
わたしの勝手な試算では、キャンペーン(定額パケット料金の割引)を適用すれば、それほど月々の負担が変わらないと思ったからです。
ところが、機種変更すると、iPhone 3G本体のローン残金に今までの割引が適用されなくなります。
一括でローン残金を精算すると、何と53,760円も支払わなければなりません。
(やはり、勝手な試算でした。)
即決で機種変更を断念し、定額パケットの割引だけ申し込んできました。

勝手な試算はともかく、それにしてもよく分らないのが、携帯電話の料金体系。
割引というエサには必ずウラがあって、期間の縛りや、解約時に違約金が発生します。
純粋なサービスではなくて、結局は条件の違いに過ぎません。
格安携帯の契約にも各種のサービス加入が条件になっていて、本当に安いのかどうかも不明。
通話料の設定もプランが幾つもあって、何が何やら。

もう少し、スッキリしたものにならないのでしょうか。
割引とか一切無くて結構です。
基本料金と使っただけの通話料とパケット料金(従量、定額)。
それだけの計算で、ポイントなども不用です。
そうすれば、余計な頭など使わずに、通信料が実感できます。
その方が、不要不急の通信が少なくなる、エコな生活だと思うのですが。

マイケル・ジャクソン。
金曜の朝、西荻窪のアパートで寝ていたら、テレビでマイケル・ジャクソンが呼吸停止で救急車で搬送されたとのニュース。
なおもウトウトしていたら、その1時間後ぐらいに、死亡のニュース。
マイケルのファンでも何でもないのですが、やはりショックです。

音楽的な話題ではなくて、奇行や整形、性的虐待の話題で晒し者になっていたのは気の毒でした。
マイケルの急死は驚きでしたが、意外ではなかったと思います。
あの痛々しさの先に、明るい未来を見出すことができなかったからです。

国民的なポップスターの寿命が短いことは、アメリカに限ったことではありません。
美空ひばりも石原裕次郎も、短い寿命でした。
しかし、アメリカのポップスターの短命には暗い影がつきまとっています。
モンローにプレスリーに、マイケル・ジャクソン。
それは芸能のシステムの問題であると同時に、アメリカという国の問題でもあるように思えます。
スターの孤独の深さが、そう思わせるのです。


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「建物シリーズ」269回目。
東京中央区、京橋交差点のビル。
昨年に建て替えられて高層になったビルです。
上部の六角形は街灯です。
このビルの向こう側に、ペンキ缶が回るアサヒペンの有名な看板があります。
しかし建て替えで、銀座側からは見えなくなってしまいました。
建て替え前のアサヒペンの画像がどこかにあるので、そのうちご覧いただきます。

Posted at 10:05 午後     Read More  


日 - 6 月 21, 2009

iPhone 3G SとiPhone 3.0


iPhone 3G Sの発売とiPhone 3.0のリリース。

iPhone 3Gが発売されたのは去年の7月でした。
それから約1年使っていることになりますが、実感としては2年以上経過したような気がします。
発売当初は未成熟な部分があって評価も低かったのですが、ファームウェアの更新で、ほとんど不満はなくなりました。
日常での使用はiPodが最も多く、カメラがそれに続いて、電話は少々です。
(元々電話を使用する率は低いのですが、持っていないと困ることがあるので、仕方なく電話を持ち歩いている状態が続いています。)

iPhoneのニューモデルであるiPhone 3G Sと、iPhoneのOS3.0のリリースが今月の初旬に発表されました。
iPhone 3.0は無料なので、早速インストールしてみました。
追加標準アプリケーションはボイスメモだけで、最大の目玉はコピー&ペーストが実現されたことです。
一般的な携帯電話では遠い昔に実装されていた機能ですが、普通に出来ることが出来ないのがiPhoneで、普通に出来ないことが出来るのがiPhoneです。
iPhoneとはそういう携帯電話で、タッチパネルに特化したインターフェイスが良くも悪くも特徴です。

iPhone 3.0をインストールしてみても、思ったほどの変化はありません。
ある意味で、OS(基本ソフト)が成熟の域に達したのでしょう。
となると、ハードウェアの更新に関心が移ります。
しかもキャンペーンを適用すれば、機種変更でも、月々の負担額にさほどの変化がないように思えます。
(販売店でシミュレーションしていないので確かなことは不明ですが。)

iPhone 3G Sのハードで個人的に注目しているのは、処理能力の向上、容量の増大(32G)、カメラ機能の進化などです。
しかし1年で買い替えというのも、引っ掛かります。
わたしは古い人ですから、このような機器は最低5年、家電であれば10年は使いたいタイプです。
その証拠にiPhone以前に使用していたドコモの携帯は、1台目も2台目も4~5年は使っていました。

今後iPhoneが毎年ニューモデルをだすのかどうか分りませんが、売り方としてはコンピューターと同じ路線に見えます。
(一般の携帯電話もモデルチェンジが頻繁ですが、こちらは消耗品的なイメージがあります。)
考えてみれば、コンピューターとは因果な商品で、数年でスペックが陳腐化して買い替えを余儀なくされます。
道具として完動でも、使い物にならなくなってしまいます。
だから、なかなか捨てるに捨てられません。

もしAppleがそういう戦略を取るならば、困ったものです。
せめて機器のモデルチェンジは3年ぐらいのスパンの、落ち着いたビジネスを展開して欲しいものです。
あの毎シーズンごとの騒がしい携帯の商法と同じになって欲しくないですね。

電話といえば、スッカリ影が薄くなった固定電話ですが、その昔はモデルチェンジなんてものはありませんでした。
大概は電電公社(NTT)からのレンタルで、あの黒い電話は、10年20年そのまま使い続けていました。
シンプルな機器ですから、故障も少なく、デザインも飽きがこないオーソドックスなものでした。
(プッシュタイプになってからは黒以外のカラーもありましたが、落ち着いた大人の色でした。)
ダメになったのは電話にファックス機能が付き始めた頃からで、それから市販の電話機が大勢になりました。
そのデザインは最悪で、もっと悪いことには、そのデザインセンスは携帯電話に引き継がれました。

レンタルの電話機、あれこそエコだったと思います。
別にファックスも番号登録も何も要りません、電話機は電話ができればそれで充分です。
現にわたしの固定電話は子機が付いているだけで、通話機能以外は使っていません。
政府はエコポイントなどは止めて、あのレンタルの電話機(今は買取かもしれないが)を使い続けている人に一律50万円進呈したらどうでしょうか。
エコの鑑として、そのくらいのことはして良いと思います。
多分そういう人は、他の部分でもエコな生活を送っていると思いますから。

iPhoneの話から、意外な着地点となりました。

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「建物シリーズ」268回目。
東京銀座の銀座通りの工事中のビル。
クレーンが見えると、つい撮りたくなってしまいます。

Posted at 05:47 午後     Read More  


日 - 6 月 14, 2009

文化圏


関東と関西の文化圏。

わたしの運営するiGalleryは更新すると、通知を希望された方にメール(BCC)でお知らせしています。
その通知に二回連続でミスがありました。
更新通知には更新されたページのURLが貼り付けていますが、そのURLのリンクが正しくなく、前回の更新ページのままだったのです。
つまり更新したページに行くつもりでリンクをクリックしても、今回のではなく、前回の更新ページが開いてしまうのです。

原因は(例によって)コピー&ペーストの問題です。
更新通知のメール本文は前回の内容をコピーして、変更部分だけ変えています。
更新したページのタイトルとか更新ページへのリンクなどです。
更新ページリンクは、前回のリンクを選択しておいて、Webブラウザで開いた今回のページのURLをコピーして、ペーストしています。

この方法で問題なくリンクがペーストされていたのですが、前々回の更新通知から違っていました。
URLの文字列は間違いなくペーストされるのですが、肝心のリンク本体がペーストされなかったのです。
更新通知は4つグループに別けて、その各グループに自己宛を含めてありますから、直ぐに間違いには気付きました。
(2つ目のグループで気が付いたので、その後のグループは正しいリンクで送信しました。)
慌てて訂正メールを送信したのですが、原因を単純なリンクの貼り間違いと勘違いしていました。
それで、そのことをすっかり忘れてしまい、次回に又同じことをやってしまったのです。
何ともお恥ずかしい話で、ご迷惑かけた方々にはお詫び申し上げます。

改めて原因を探ってみました。
同じことをやっていても違う結果が出る、としたら何か環境に変化があったはずです。
メールソフトのアップデートはなかったので、考えられるのはWebブラウザSafariのアップデートです。
丁度その頃、Safari4のベータから正式版にアップデートしました。
Safariに表示されるURLをメールに貼っているので、多分、原因はSafariかSafariとメールとの連携にあったと思います。
(余談ですが、Safari4は正式版になってから起動直後のフリーズが多発しています。いずれアップデートで解消されると思いますが。)
コピー&ペーストは便利なテクニックですが、時々こういう事が起こります。
自省、しております。

さて、今日は文化圏の話です。
数年前に歴史学者の網野善彦さんの文庫を買いました。
中途で挫折してしまったのですが、その本に、文化圏の話が出ていました。
関西と関東の文化圏の比較です。

双方の文化の比較の例が多数出ていて、網野さんによれば、明らかに異なる文化圏と結論付けていました。
その意味するところは、同じ日本という文化圏で括るのは無理があるということです。
もし文化圏で国境を決めたならば、今の地図とは異なった国境になるそうです。
(古代からの盛んな海運を考えれば、狭い日本海を挟んだ、朝鮮などの東アジアとの交流は想像以上に盛んだったようです。)

異なる地域の文化が伝わるのは、情報と交通の発達からです。
わたしたち関東の人間が、関西の芸能や食生活を知るのは、テレビなどのメディアか、交通機関を使って直接そこに行った時です。
地域文化の交流、混交は、そのような情報、人、モノの往来で起きます。
テレビの普及と新幹線や高速道路などの発達は、それまでとは違う速度で、交流を促進しました。
結果、地域文化の差異の縮小、均一化になっています。

つまり、50年ほど前と比較すれば、今は驚くほどに均質化されています。
それにもかかわらず、テレビでお笑い番組を見ていると、時々文化圏の違いを痛感させられます。
その昔も、関西系のお笑いは関東のテレビでも放映されていましたが、現在の隆盛はバラエティ全盛以降の現象です。
何気なく、多種多様な若手のお笑い芸人をテレビで見ていても、関西系の多さは歴然です。

昔ほどのベタな関西系は少なくなったものの、所々に関西の雰囲気が濃厚に残っています。
お笑いの水準を考えれば、高いところは関東も関西もそう変わらないと思います。
ただ底辺、裾野の広さは関西で、歴史的な水脈も深い。
芸能がテレビ中心でバラエティ全盛の現代は、それにフィットした関西系マンザイが優勢なのも納得できます。

それで、テレビを見ていると、時に関東と同じ文化圏とは思えないようなお笑い芸人を見ることがあります。
人相的にも関東では稀で、何より、文化の出自の違いを強く感じてしまうのです。
どんな番組の誰がという記憶がないので、何の根拠もない感想ですが、そう思ってしまうことがあります。
違う文化の地域に育った人の芸、と痛切に感じます。

このことは、お笑い以前に音楽でも感じていました。
60年代末からのフォーク、ロック、R&Bなどにおける関西勢力です。
特にブルースやR&Bなどは、関西文化の太い血脈との結合を想像させました。
借り物ではない、自然な黒人音楽の消化があったからです。

又その当時に、大阪駅で見た光景も記憶に残っています。
ホームで電車を待っているオッサンの洋服の、そのド派手な色彩に度肝を抜かれました。
東京、関東では絶対に見ない色相と彩度で、そのソウルフルな出立ちにショックを覚えました。
(これは極端な例だと思いますが、一般的に関西の方が派手な色を好むようです。)
関西の洗練は関東以上ですが、わたしはそれよりも、関西の俗に強く反応するようです。
そしてそれが、日本海の向こう側と繋がっているような気もします。

以上何とも雑感ですが、時折思う関東と関西の文化圏の違いです。
文化圏といえば、タモリなどを生んだ九州の文化圏も独自です。
関西との親近性は感じられても、やはり独特です。
明治以降の日本の統一されたイメージの裏側には、決して一緒にできないような、異なる文化の土壌があったのではないでしょうか。

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「建物シリーズ」267回目。
山梨県甲府市の倉庫(蔵)。
窓の庇(ひさし)の色がアクセントの、美しい造形です。
水田の緑との対比も、グッドです。

Posted at 12:53 午後     Read More  


日 - 6 月 7, 2009

ジャケット


音楽のアートワーク。

iPodを曲のシャッフルで聴いていると、アーティスト名が分らない場合が時々あります。
大概は知っているアーティストですが、シャッフルはブライドテストに近いので、分からなくなってしまうのです。
もちろん曲数が少ない場合には、そんなことは起こりません。
増えてくると時々起こって、それが好きなアーティストだったりすると、普段先入観や思い込みで音楽を聴いていることを、痛感させられます。

分からなくて、それが印象的な曲やアーティストであれば、iPodの画面を見て確認します。
画面にはジャケット(アートワーク)が表示されますが、この機能は最初からiPodに付いていたわけではありません。
モニターがモノクロからカラーに移行した時に、そうなったと記憶しています。
わたしは長らく初代iPodminiを使っていました。
モノクロでジャケットの表示はありません。
それで特に不満はなかったのですが、カラーの表示機能付に買い替えた時、この機能を愛用するようになりました。

愛用といっても、ただジャケットの絵が表示されるだけですが、無いと寂しくなります。
配信サイトから購入したものは概ねジャケットが付属していますが、CDからコピーしたものなどは、自分で作成しなければなりません。
それで、多くの人が使っているのがAmazonのCDのイメージ画像の拝借です。
ここからダウンロードして、それをiTunesの曲情報のアートワークに貼り付ける。
そうすると、(同期すれば)iPodでも表示されます。

確認で、画面のジャケットを見た瞬間、長年の疑問が氷解したような感覚で、脳内がスッキリします。
(もしくは、身内が真犯人だったような、驚きと恥ずかしさに襲われます。)
そのように、音楽とジャケットの関係は深いものですが、中でもLPのそれは特別です。
というより、LPで音楽とジャケットの関係は築かれ、完成して、その後はそれを踏襲しているに過ぎません。

何といっても、30cm角(四方)の大きさが良いですね。
手に取って眺めても、壁に飾っても、様になるサイズです。
LPレコードのサイズに準拠した偶然とはいえ、あの正方形は、絵になるサイズです。
それと、容器とアートワークが分離不能であることも、LPの特質です。
アナログのシングルのジャケットは薄い紙でしたし、CDはブックレットが容器に組込まれるのが普通です。

とここまでは前フリで、これからが本題です。
旧聞に属しますが、U2のニューアルバム『No Line on the Horizon』 のジャケットは杉本博司です。
杉本博司さんは、現代美術のビッグネームで、海外で草間彌生さんと双璧をなす人です。
ジャケットに使用されたのは海景のシリーズで、世界中の海を同じ構図で撮影した作品の一点です。

このシリーズはわたしも好きな作品ですが、U2が今さら何で、という疑問も湧きました。
いかに現代美術がマイナーとはいえ、(現代美術愛好家の)誰もが知っているような作品をジャケットにしても、あまり面白くないからです。
しかもオリジナルを縮小した形なので、CDサイズの特質がどこにもありません。
ジャケットの醍醐味は、それがデザインであるのに、デザインの範疇を逸脱しているからです。
デザインはサービス業ですから、クライアントの意向に沿って制作されます。
その商品が好きかどうかは二の次になります。

ところが、LPなどのジャケットの場合、デザイナーの嗜好が表面に出てくる場合があります。
そのアーティスト、音楽が好きで、解釈がいわばコラボレーションのような形でジャケットになります。
デザインとしては珍しい例で、あの30cm角のサイズも、デザイナー(やイラストレーター)の絵心を誘ったと思います。
ある種のデザイン的冒険が為されるのが、あの30cm角という縛りのある、ジャケットでした。

左様に、若いデザイナーの感性を発揮させるのがジャケットデザインで、CD時代の今も同じです。
そうわたしは思っていて、特にロックのような音楽のジャケットは、それの方が面白いに決まっています。
U2ならば、巨匠の完成された作品ではなく、無名のデザイナーで勝負に出て欲しかったと思ってしまいます。

音楽配信のジャケットは、前述したように、LP時代からの流れを踏襲したものです。
PDFのブックレットなども作られていますが、まだ模索状態です。
様式の大転換が行われて、それがLP時代のコラボのようになれば、それはそれで楽しみなことです。

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「建物シリーズ」266回目。
山梨県甲府市貢川の小学校。
校舎の意匠も随分と変わりました。

Posted at 01:18 午後     Read More  


日 - 5 月 31, 2009

北朝鮮の核実験


核不拡散条約とは。

北朝鮮の核実験のニュースがテレビ、新聞で報じられています。
前から不思議に思っていたのですが、なぜ、核兵器を保有して良い国と悪い国の区別があるのでしょうか。
核兵器が非人道的で危険であるならば、一律に保有の禁止をすべきです。
しかし現実には、核不拡散条約によって、保有を米、ロなどの五ヶ国に限定されています。
既得権だとしたらおかしな話で、要は政治的な力関係の結果に過ぎません。
そこを問題にしない限り、北朝鮮の危険な外交を、一概に責めることはできないと思います。

北朝鮮がらみでいえば、以前からのテレビの北朝鮮報道は、北朝鮮をオモチャにしています。
金日成、金正日の宗教的社会主義体制がいかに滑稽であったとしても、それを娯楽として放映して良いものか、疑問です。
どんな国であろうとも、それは失礼というものです。
日本で一番モラル(礼)が欠如しているのは、他ならぬテレビで、その奇態は北朝鮮以下だと思います。

北朝鮮の現体制が危険であることには、異論がありません。
平和裡に政権の崩壊が進むことを祈るばかりです。
拉致問題は、結局そうならないと解決しないような気がするからです。

しかし危険な国家は北朝鮮ばかりではなく、例のサブプライムローン問題を引き起こしたアメリカも、危険(ならず者)な国ではないでしょうか。
あのようなデタラメが公然と行われていて、被害は世界中に及んでいます。
それで、関係者が処罰されたという話も聞きません。
イラクの大量破壊兵器疑惑もあったし、この国も相当に危険で、もちろん今も危険です。

核兵器が使われるのは、戦争という事態が起こった時です。
それを逆さまな理論で、抑止として活用しているのが、現状の体制です。
これも相当にヘンな理屈ですが、それはさておき、歴史を振り返れば、戦争のほとんどは経済が原因です。
先の第2次世界大戦も、ファシズムと民主主義の戦いは看板に過ぎず、真の因は植民地の争奪戦です。
なぜ植民地が必要かといえば、原料の安価な調達と大量生産品の販売先だからです。

わたしの知識が乏しく、話が三段論法的に進んでいるので、あまり説得力がありません。
それでもさほど間違っているとは思いません。
戦争を起しているのは、イデオロギーや主義主張ではなく、経済の必要性です。
危険な経済が、戦争を生んでいるのです。

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「建物シリーズ」265回目。
山梨県甲府市の建物のベランダ。
初夏の陽を浴びる、二枚の敷布団。
こういう図が、何とも好きです。

Posted at 12:00 午後     Read More  


日 - 5 月 24, 2009

インターネット


インターネットのスマートな使い方。

改めて書くまでもなく、インターネットの普及は生活に変化を与えています。
今一つピンと来なかった情報化社会という言葉も、今では実感としてあります。
インターネットを利用した日常的な情報のやり取りが、生活に欠かせなくなったからです。

インターネットは単なるネットワークですが、その構造はネットワークの性格を規定しています。
郵便や電話のような全体を統括する責任(管理)主体が存在しないことは、大きな特徴といえます。
それと同時に、そのネットワークの利用の仕方がネットワークの性格を決定します。

インターネットによって大きく変化したものの一つに、音楽があります。
音楽の配給ー送り手から受け手への配送ーに地殻変動が起きました。
発端はナップスターなどの音楽ファイル共有で始まり、ある意味それが正常化されて、iTunesなどに代表される音楽配信サイトが生まれました。
それに伴い、著作権の意識にも変化が訪れて、一昔前のガチガチのDRM(デジタル著作権管理)は時代遅れとなって、DRMフリーが主流になりつつあります。

この過程で明らかになったのは、レコード会社の役割の実態と、その地位の低下です。
インターネットの潜在能力に気付いたアーティストは、レコード会社と契約をせず、己の名声を利用して、独自に音楽配信をスタートさせました。
(音楽配信のオリジンはインディーズのアーティストで、その世界では、今やメインストリームになっています。)

インターネットのスマートでクールな使い方は、いろいろあると思います。
その中でも、わたしが最も注目しているのが、毎度お馴染のNIN (ナイン・インチ・ネールズ)です。
やり方がスマートでクールで、とってもカッコイイのです。
(こういう賛辞は、ロックスターには最大級の誉め言葉だと思います。)

NINのビジネスモデル(←あえてこの言葉を使いますが)はさほど新しいものではありません。
1970年代からのグレートフルデッドと同じです。
デッドは、レコードをライブショーへの宣材と考えて、会場でのテープ録音と共有(交換)を推奨しました。
つまり、ライブショーの収益をメインにした考え方です。
逆に言えば、レコードが売れても潤うのはレコード会社だけで、アーティストへの還元は労力に見合っていないのです。

さて今回のニュースは、そのNINがリリースした(これも毎度お馴染の)iPhoneアプリケーションです。
無料のアプリNIN: ACCESS1.0がリリースされたのは数週間前ですが、当初はマトモに起動が出来ない状態でした。
起動プロセスが終わると同時にクラッシュする始末で、アプリの中身は分からず仕舞い。
アップデート待ちをしていたら、異なる方向からこのアプリのニュースが入ってきました。
何でも、NIN: ACCESSに含まれる歌詞に問題(性的表現)があって、Appleがリリースを拒んでいるとのこと。
NIN側からの反論もあって、結局和解となって、その後にアップデータも配信されました。

今度はキチンと起動して、ホーム画面に辿り着くと、フォトブログとニュースの見出しがあります。
画面下にメニューが表示されていて、media/nearby/messege/forumsがあります。
mediaをタッチすると、music/video/images/wallpapersのメニュー。
素晴らしいのがmusicで、NINの全アルバム全曲が聴け、リミックス等もあれば、曲調別のプレイリストも有ります。
podcast形式(ストリーミング)ですが、音質は確保されていて、通常のMP3に聴き劣りがしません。


ビデオやイメージ(ステージ写真や音楽イメージ)も充実していて、リッチなアプリケーションです。
実を言えば、わたしはNINの大ファンというわけではありません。
アルバムGhostと一部リミックスは愛聴していますが、このアプリが必携のファンではありません。
ではなぜ追っかけ(?)をやっているかといえば、NINのインターネットのスタイルがクールで、革新的で確信的だからです。
それは恐らく、(わたしの知る限り)最もスマートなインターネットの使い方だと思うからです。

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「建物シリーズ」264回目。
山梨県甲府市のコンテナ。
動産としてのコンテナがリタイアして、不動産(物置)になりました。
リタイアしたから、シルバーなのでしょうか。

Posted at 01:58 午後     Read More  


日 - 5 月 17, 2009

高速道路


あまりにも暴力的な、高速道路。

定額給付金、高速道路割引、家電エコポイントなど景気対策が次々に実施されています。
これがどうも、良く解りません。
中途半端な金額の定額給付金で、どのように景気が良くなるのでしょうか。
大型家電のエコポイントが高いのもエコと矛盾しているし、そもそもが買い替えなどしない方が、トータルではエコなはず。
高速道路割引も割引規定が複雑で、しかもETC利用の乗用車に限られるという不可解な制度です。

先日も、軽トラックで画廊から彫刻の台座を山梨まで搬送しました。
この軽トラックにはETCが付いていません。
年に数回の高速利用の為にETCを取り付けるには、手間もお金も勿体ないからです。
結果として、ETC利用の乗用車より高い高速道路料金になります。
遊びのクルマが優遇されて、仕事のクルマには適応されないのは、どうにも納得できません。
不要不急の遠出で景気回復とは、エコにも反するし、交通事故の増大にも繋がると思うのですが。

何かもう少し、抜本的な政策がないのでしょうか。
緊急の効果は期待できなくても、生活そのものを見直すようなビジョンを打ち出せないのでしょうか。
今の自民党や民主党を見ていると、とてもダメなような気がします。

そんなわけで、展望も見出せないまま、高速道路の上にいます。
珍しく助手席で、カメラ片手に外の景色を眺めています。
わたしは高速道路の景色が好きです。
正確にいえば、景色としては好きでも嫌いでもないが、写真の被写体として好きです。

高速道路は、大概の場合、都市部を除けば山を切り開いて作られています。
山間部に多い日本では必然で、用地買収の面でもそうなります。
山の奥深い所に、一直線の広い道路が出来て、そこを金属の物体がビュンビュン行き来する。
何とも暴力的な光景です。


その暴力性は、環境保護云々とは別問題です。
そうではなくて、近代が持っている暴力そのものです。
自然を唐突に寸断する鉄とコンクリートの構造物。
その直線の合理と高速がネットワークとなって、近代都市は成立っています。
(鉄道も同じです。)

クルマは走る凶器などといわれますが、暴力的なのは、クルマではなく高速道路です。
地形に有無を言わさず刻み込まれたラインこそが、暴力なのです。
その証は、事故という惨事で露になります。
何でもない一瞬の誤謬が、高速道路の暴力を起動させ、路上の時間が止まります。

しかしながら、一般に、高速道路は楽しい時間と捉えられています。
クラフトワークの名曲「アウトバーン」 も、楽しげなメロディを奏でいます。
軽快なリズムと反復されるコーラス。
ドライブの愉快そのもののようで、その底には、得も言われぬ不安が存在します。
その正体は、休日の高速道路割引では到底相殺できないと思うのですが・・・・。

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「建物シリーズ」263回目。
山梨県笛吹市のショッピングセンターの、安売り酒店の、撤退した後の店内。

Posted at 04:52 午後     Read More  


日 - 5 月 10, 2009

人生戦略


人生戦略から外れたもの。

音だけ聴いていたテレビに、経営コンサルタントの勝間和代さんが出ていました。
書店のビジネス書コーナーには勝間さんの著作が山積みされていて、わたしも名前だけは知っていました。
勝間さんは外資系の会計会社やコンサルタント会社でのキャリアがあり、テレビでその経験談を語っていました。

外資系の会社の会議で、発言しない社員は次回からは出席を拒否されるそうです。
日本のように、出席して聴いているだけの人間は相手にされません。
会議とはそのようなものであり、執務中は全力で仕事に取り組み、ダラダラ仕事を続けることは許されません。
集中して仕事に取り組めば、その結果として就業時間も短くなり、仕事外の時間を余分に取ることができます。
その時間を趣味なりに費やして、充実した豊かな生活を送ることが出来るそうです。

この発言の後、スタジオには少し微妙な空気が流れました。
勝間さんの意見はもっともだが、「なるほど、その通りですね」と全面的に受け入れる気もしない。
そのような空気で、わたしも同様に思いました。
確かに合理的な生き方ですが、そこには無駄を一切認めないような強い意志があるように思えます。
その部分に、スタジオもわたしも引っ掛かりがあったのではないかと想像します。

勝間さんのオフィシャルサイト を訪ねると、人生戦略という言葉が目につきます。
人生戦略で有意義な人生を送る、というコンセプトで様々なコンサルティングを行っています。
これは大切なことで、戦略に過ぎなければ、誰しも必要なことです。
「人生戦略手帳」はいらないかもしれませんが、基本的な考え方に間違いはないと思います。

昨日まで藍画廊では吉田哲也展を開催していました。
吉田さんは若くして亡くなった作家ですが、生前自身の展覧会に短い文章を寄せていました。
その文章がわたしは好きで、今回の展示のベースとなった『MOT アニュアル 1999ーひそやかなラディカリズム』展のカタログにも一文があります。

朝起きて何もやる気がおこらず、とりあえずつけたテレビを、結局、深夜の放送終了まで見続けてしまった無気力な一日。
すぐ済むと思って始めた雑用が思いがけず長引いて、それだけで疲れてしまい、やらなければならなかった肝心なことは明日にまわしてしまった意志薄弱な一日。
そういう日々に対して、良いとか悪いとかの判断を下さず、反省もせず、ただそのままを自分の中に丸ごと受け入れるという作業をきちんとしていきたいと思います。
そうすれば、そういう日々の中にある美しいものを見つけることができるような気がします。
本当に美しいものは、そういう所にあるような気がして仕様がありません。

少し長くなりましたが、全文を引用させていただきました。
この文章で触れている生活の無駄、それを含めた丸ごとの生活の中に、吉田さんは美しいものを見出そうとしています。
わたしは、美術とはそのようなものだと思っています。
美術の価値は、そこにあると思っています。

きちんとした人生設計、戦略を立てていても、その通りに行かないのが人生です。
その時に、美術は人の前に立ち現れます。
勝間さんの人生戦略の裏側、あるいは基盤の部分に美術の存在意義はあります。
無駄には、無駄なりの意義があると思うのです。

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「建物シリーズ」262回目。
東京都中野区の中野サンプラザ。
以前はコンサートに通ったものです。
パッと思い出すのは、Tubesの前座で出演したYMO。
ブレイクする前で、サポートメンバーに渡辺香津美、矢野顕子、松武秀樹がいました。
それと話題沸騰だったPILの再結成ツァー。
オリジナルメンバーはジョン・ライドンだけでした。
サンプラザの地下にはスポーツジムもあって、短期間ですが、こちらにも通いました。

Posted at 01:12 午後     Read More  
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