2009年7月27日
哲学堂公園に老子像がやってくる!
ハンガリー出身の彫刻家、ワグナー ナンドール(1997年没)の作品「哲学の庭」が中野区に寄贈され、哲学堂公園に設置されることになりそうだ、という報告を本日の区議会建設委員会で受けました。
今年は日本とハンガリーの国交回復五十周年であり、いくつも企画される記念事業の一環として、ハンガリー大使が中野区長に寄贈を申し出たと聞きました。ワグナー ナンドールは日本に帰化し、栃木県益子町で創作活動に打ち込んだ人で、制作年数五十年ともいわれる本作品は同じ物が三組あって、うち一つは遺言により日本国内のどこかへ展示するよう指示されていたのが、夫人である和久奈ちよさんの強い要望があってこのほど当地に決まりました。
「哲学の庭」は、中心に据えられる球体と、それを取り囲む三つの輪で構成されます。
- 第一の輪は世界の宗教の祖となった人びとすなわちアブラハム、エクナトン王、キリスト、釈迦、老子。
- 第二の輪は悟りの境地に達して社会に貢献した人びとすなわちガンジー、達磨大師、聖フランシス。
- 第三の輪は法律をつくった人びとすなわちハムラビ、ユスチニアヌス、聖徳太子。
諸般の事情により第三の輪だけ設置されないかもしれないようなことを言っていましたが、何とか十一人全員がんばって実現してほしいと思います。全部そろって一つの作品なのだから。
それにしても老子像の設置は、私にとって朗報であります。東洋大学に四聖像が、哲学堂には四聖堂があるように、井上円了が選んだ四聖は釈迦、カント、ソクラテス、孔子。かねてより私はこの人選が不服でならなかったけれども、これを決めた創設者がとうに亡くなっている以上最初から動かしようもないわけだから、孔子をどかしたいなぞはもとより考えもしませなんだ。それを、はからずも行政が老子を哲学堂に持ってこようというのだから、おいおい円了博士への配慮は大丈夫?とか思いましたが、老子を敬愛してやまない私なれば当然不問に付します。
ワグナーが老子道徳経に傾倒していたことは、夫人の属する団体名が「財団法人タオ世界文化発展研究所」であることから容易に察せられます。区議会の補足資料によると、夫人が哲学堂への本作設置を要望したのは、井上円了の哲学に関する考え方は亡夫の哲学観につながるものであるからとのこと。円了は哲学の普及こそ本懐とし、そこに注力し功績を残した傑物であります。古今東西の哲人を集めて大勢に親しんでもらいたいという点において、両者の姿勢はまさに近いと言えましょう。
哲学堂には昔から荘子もいますし、黄帝だっていちゃいます! 三祖苑といって、黄帝、印度の足目仙人、タレスの石碑を置いてます。私は子供のころ、この石碑に乗っかったり棺のような物体の上で飛び跳ねたりして遊んでおりましたが、ややこしい気質に生育したのはそのせいでしょうか。
「哲学の庭」なる作品について、道徳経大好き人間の立場からも言いたいことがたくさんありますが、長くなりそうなのでまたの機会といたしましょう。そうそう、設置予定地を写真におさめました。中野通りから梅林(公園の妙正寺川以南)へ入り、観象梁という園内橋の手前から撮りました。写真右方の木立茂みの辺りが予定地であります。


