1032 : Max Tips(006) : 赤松正行 


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DSPマガジン 2004.12.30 No.1032
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途切れがちでごめんなさいのDSPマガジンですが、がんばって(苦笑)今年最後の配信です。今回はMax Tipsの第6回、とは言え、直接Maxに関するティップスは少ないのですが、MaxやMSPを活用する上で便利なソフトウェアと書籍をご紹介します。さて、来年もDSPマガジンは続くんでしょうか? 皆様、良い年をお迎えください。

・FingaMIDIで3次元コントローラ
・NetJackでネットジャック
・WireTapでオーディオ保存
・Skypeでボイスチャット
・MaxBook改訂版登場

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Max Tips(006)
赤松正行

■FingaMIDIで3次元コントローラ

スタートボタン一発垂れ流し音楽でない限り、コンピュータを使って演奏する時には何らかのコントローラが必要になりますよね。いかにも楽器然としたMIDIキーボードなどはダサイと言うか面倒なので、コンピュータのキーボードやマウスだけで演奏するエレクトロニカ系の人も多かったりします。そんな人にピッタリなのがFingaMIDIというソフトウェア、PowerBookやiBookのトラックパッドを3次元コントローラに変えます。KORGのKaossPadを想像してもらえれば、だいたいアタリです。

標準のトラックパッド(やマウス)と何が違うのかと言えば、FingaMIDIはトラックパッドに指が触れている絶対位置をMIDI情報として出力する点です。本来のトラックパッドは、指が動いた相対的な位置からマウスポインタを動かしますので、トラックパッドの右端と左端を交互にタップしても、マウスポインタは動きません。これに対して、FingaMIDIはトラックパッドの右端なら大きな値、左端なら小さな値と異なるMIDI情報を出力します。もちろん、トラックパッドに指を触れたまま動かせば、連続的に変化する値が出力されます。

さらにFingaMIDIはトラックパッドに触れている指の面積からもMIDI情報を出力します。これで指の圧力を検出しているかのような操作ができるので、トラックパッドを押し込むエモーショナルな表現もバッチリです。トラックパッドに触れている指の水平位置と垂直位置、そして奥行きというか指の圧力で3次元というわけです。感圧ボタン付きマウスが欲しいなと以前から思っていたのですが、FingaMIDIが実現してくれました。

FingaMIDIを標準的なインストーラでインストールした後は、システム環境設定でキャリブレーションや出力するMIDI情報などの設定を行います。FingaMIDIからのMIDI情報を受け取るアプリケーションの設定も必要です。これで「Use trackpad as MIDI controller」をチェックすれば動作が始まります。ただし、事前にマウスを繋いでおかなければ、ひどい目に会いますよ。トラックパッドでは本来のマウス操作ができませんからね。

FingaMIDIはオープソースのフリーウェアで、以下のサイトから入手できます。

FingaMIDI
http://fingamidi.sourceforge.net/

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■NetJackでネットジャック

DSPマガジンの1024号、Max Tips(004)でご紹介した「Jack Tools」はとっても便利なスグレモノで、何か面倒な作業をする時でも、Jack Toooksで簡単に解決してしまうことが多々あります。しかも、「Jack OS X」と改名したバージョン0.50以降はネットワーク経由でオーディオを送受信できるNetJack機能が備わっています。つまり、EhternetでもAirMacでもネットワークで繋がっている別のコンピュータに音をリアルタイムで送ったり、受け取ったりできるわけですね。もちろん、インターネット・ベースなので、世界中のコンピュータに音を送ることができます。

NetJackを使うには、まずJackPilotを起動して、Startボタンをクリックして処理開始。次に、ModulesメニューからSlot1→NetJack→Startを選んで、NetJackウィンドウを表示します。ここでネットワークの設定を行うわけですが、送受信を行うそれぞれのコンピュータで相手側のコンピュータのIPアドレス(DNSやRendezvousによるマシン名もOK)や動作などを設定し、Start Transmissionボタンをクリックします。これでConnections Managerに相手側コンピュータのアドレスがポートとして現れます。後は、アプリケーションのポートと同じく、送信ポートと受信ポートを接続するだけです。

ちなみに、受信側ではブロードキャスト・アドレスを指定できました。つまり、どのコンピュータからでも送信を受け入れることができるわけです。しかし、送信元で受信先としてブロードキャスト・アドレスを設定しても、うまく行かないようです。従って、複数のコンピュータとの送受信を行うには、ModulesメニューからNetJackのスロットを必要なだけ開いて、個別に指定する必要があります。

NetJackは特別なプロトコルやコーデックを使わずに、オーディオをそのままUDPでがんがん送りつけるようです。おかげで、音質を損なうことなくコンピュータからコンピュータへ音を送り込むことができます。ロー・レイテンシーを唱っているだけあって、音の遅れも少な目ですね。ローカル・ネットワークでは快適に使用できました。インターネット経由で遠隔地と通信する場合はネットワーク環境に大きく依存しますが、どの程度実用になるか興味深いところです。

Jack OS Xホームページ:
http://www.jackosx.com/

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■WireTapでオーディオ保存

同じくMax Tips(004)で、システムやアプリケーションのサウンド出力をファイル保存する「Audio Hijack」をご紹介しましたが、最近は「WireTap」をよく利用しています。スクリーン・キャプチャの定番であるSnapzシリーズの作者、Andrew Welch氏(Amborosia Software)が制作したというだけあって、必要十分な機能を手軽に使えるようになっています。少し前まではフリーウェアだったのですが、現在は「WireTap Pro」というUS$19の有料のアプリケーションになっています。

WireTapを起動すれば、録音、停止、一時停止の3つもボタンを備えた小さなフローティング・ウィンドウが現れます。後は、インターネット・ラジオだろうが、DVDだろうが、ここぞという時に録音ボタンを押すだけです。環境設定にはいくつか設定項目がありますが、これらも簡潔明解です。Proバージョンでは、MP3でのファイル保存や自動運転などの多くの機能が付け加わっています。でも、そんな機能は要らないから、シンプルな無料バージョンも提供を続けて欲しいところですよね。

WireTap Proホームページ:
http://www.ambrosiasw.com/utilities/wiretap/

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■Skypeでボイスチャット

最近話題のIP電話と言うかボイスチャットのソフトウェアと言えばSkypeですね。簡単に繋がって、操作が軽快で、音質が良くって、しかも基本的に無料と、良いことづくめです。このようなテクノロジーが登場したからには、現在の電話業界は大打撃と言うより死亡宣告されたようなものですね。現在はコンピュータ・ベースですが、すぐに卓上電話や携帯電話にも利用されるに違いありません。

さて、Skypeはボイスチャットはもとより、音楽のネットワーク通信にも使うことができます。Skypeは標準のオーディオ・ドライバを用いるので、SkypeのPreferencesのAudio設定でSoundflowerでもJackでも指定すればOK。ただし、Jackを利用する場合は、Skypeよりも先にJackPilotを立ち上げておくことが必要なようです。

もっとも肝心の音質としては、音楽用途にはかなりきびしいです。それもそのはず、アクティビティモニタで実測したところ、Skypeは片道秒6KB程度しかネットワークを使用しません。非圧縮でオーディオ転送を行う前述のNetJackでは秒360KBほどですから、なんと60分の1もの圧縮がかかっているわけですね。これでは高品質は望むべくもありませんが(それでも、従来のボイスチャットに比べれば遥かに音質は良いです)、ネットワークの負荷が低いことがSkypeの利点となります。

要は適所適材ですから、例えば、通信事情が悪い遠隔地とのジャム・セッションなら、NetJackでは無理でもSkypeならなんとかなりそうです。NetJackを使えるだけの帯域を確保できる場合でも、音楽ルーティングとは別にSkypeでおしゃべりしながらセッションを進めるなんてことも楽しそうです。

Skypeホームページ:
http://www.skype.com/

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■MaxBook改訂版登場

紹介するタイミングを逸していましたが、日本語オブジェクト・リファレンスである「MaxBook」が改訂され、Max/MSP 4.5対応版として再登場してます。前作はブックスタンドなしでも自立できると評判でしたが(笑)、今回も当然ボリュームアップ、200ページ近くを追加して、とうとう1000ページの大台を超えてしまいました。メモリ保護機能と合わせて(嘘)、抜群の安定性を誇っています。

MaxBookは書籍版だけでなく、CD-ROM/PDF版もありますから、検索する時はPDFが便利ですね。じっくり読むには、もちろん書籍です。また、書籍のページをパラパラとめくっていくと、問題解決の糸口を見つけたり、新しいアイディアが生まれることが結構ありますね。かく言う私もMaxBookの制作に携わりながら、知らなかったことが続出で、眼からウロコでした。しかも、もう忘れちゃったので世話がないですけど...つい先日も、山ほど付箋を貼っているMaxBook、しかも発売間もない改訂版を持っていた人に出会ったのですが、頭が下がる思いです。

ともあれ、Maxの場合、あるオブジェクトを知っているかどうか、そして、それをどのように使うかを知っているかどうかで、プログラミングのスマートさが随分違ってきます。他のプログラミング言語でも事情は同じですが、Maxではオブジェクトの体系化が弱いので、この傾向が強いようです。という意味でも、MaxBookのような補助ツールは欠かせないところです。

MaxBookは書店では販売されていませんので、以下のオンライン・ショップでご注文下さい。

http://www.cameo.co.jp/service/onlineshop/soft.html

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