オスグッド・シュラッター病(Osgood-Schlatter Disease)
 この病気は成長期(身長が伸び続けている間)にジャンプ動作などを繰り返し行うことで膝関節前面下部の膝蓋腱付着部(脛骨結節)に無理がかかり、この部分の骨・軟骨組織やその他の周囲の軟部組織(骨軟骨以外の組織)が傷ついて、それに対する体のもつ修復力が追いつかないため骨・軟骨組織が過形成されてゆく過程で‘炎症’が長く続く状態です。成長線(骨端線)の存在が発症の大きな要因となっており‘骨端症’と呼ばれる病気のひとつです。
 骨端症とは
‘成長痛’という病気はあるのか:
  関連ページ・・成長痛:成長痛という病気はあるか?
 オスグッド・シュラッター病の症状は
 オスグッド・シュラッター病の予防と治療の基本は・・
  大腿四頭筋のストレッチ
 手術が治療手段として行われる場合とは
 ドリリング手術の内容とスポーツ復帰までの経過は
 オスグッド遺残症について
 子供のスポーツ障害と自己管理能力:参照ページ 
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A. 骨端症とは
   骨格(骨)の成長には骨端線や骨端核と呼ばれる骨の構造が大変重要です。骨端線はよく‘成長線’とも言われます。この骨端線は軟骨細胞でできており、成長が終わると軟骨細胞が骨組織に置き換わって消失し、従ってレントゲン写真でも見えなくなります。血流(血管の分布)の面からみますと軟骨組織には血管がほとんど入ってきておらず、1本(個)の骨も骨端線によって血流は分断されています。このため、骨端線よりもはじに存在する骨端核部分はあまりたくさんの血流がないことが多いのです。そこに、体の修復能力を超えて繰り返しストレスが加わると、骨端核の細胞が壊死(阻血性壊死)したり軟骨組織の過剰な増殖を起こしたりします。広い意味での骨端症には様々な原因とことなった病態があります。
 骨端症には有名なものとして
 1.ペルテス病(股関節大腿骨頭)
 2.フライバーグ病(第2中足骨頭)
 3.ケーラー病(足舟状骨)
などの血流障害のための骨構造の破壊による病状中心のものもありますが、
 4.オスグッド・シュラッター病(脛骨結節):レントゲン写真
 5.シンディング・ラルセン・ヨハンセン病(膝蓋骨下端):レントゲン写真
 6.セーバー病(踵骨):踵の外観とレントゲン写真
 7.腸骨骨端症:レントゲン写真
などのように主に強く引っ張りストレスがかかり続けることで‘剥離損傷’が繰り返し起こるものもあります。中でもオスグッド・シュラッター病は局所に炎症を生じて軟骨・骨組織の増殖もおこり、そのままストレスを加え続けると最終的に骨性隆起を残すことになります。
  (ここでは、ほとんど「4.」にのみふれます)
膝周囲の大まかな構造と二つの骨端症の部位

1.:オスグッド・シュラッター病の部位

2.:シンディング・ラルセン・ヨハンセン病の部位

Osgood-Schlatter
Disease

オスグッド・
シュラッター病

12才男子

 外観で膝前下方のとびだしている部分では、脛骨結節骨端核の大部分が軟骨組織に置き換えられて肥大化し、前方に骨性の線状の縁取り(矢印の部位)がみられます
 成長が終わるとすべて骨組織に変わります

 レントゲン写真ではこれ以外の様々な写り方をします

Sinding-Larsen-Yohansen Disease

シンディング・ラルセン・
ヨハンセン病

13才男子

 膝蓋骨下端部の骨端核が通常よりやや大きく不整形に、はっきりみえています。
Sever Disease

セーバー病

11才男子

 左足かかとの骨端線上縁に骨(軟骨性)隆起がみられます。
踵骨側面:

 骨端核が‘骨硬化’してレントゲン写真で白っぽく見える
軟骨性隆起はレントゲンでは確認できない

踵骨軸写:

 踵骨骨端核の内側半分が骨硬化しています

腸骨骨端症

14才女子

バレーボール

アタッカー

 右腸骨(画面左)骨端線(赤矢印)部が健側の左より広くなり、その外側の骨端核が分裂しています(3つの赤矢印のうちの真ん中のところ)。
 腸骨のこの部位には大臀筋などがついており、運動により強い引っ張りストレスがかかります。
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B.‘成長痛’という病気はあるのか  → 参照ページ(gooブログ)
  しばしば小学生や中学生の子供さんが体のどこかに痛みを感じて医療機関を受診した際に「成長痛ですね」などと医師にいわれ、親御さんも「成長期だからそうなんだ」くらいに思ってしまい、病状の説明として何となく納得されてしまうことがあるようです。それでも、相変わらず痛みはとれないので時としていくつもの医療機関を受診される場合もあります。学問的に‘成長痛’という病態が定義されているかどうか私も無責任ながら確信は持てませんが、私の患者さんへの説明では「‘成長痛’という病気はありません」と断言することにしています!それは幾つかの医療機関をまわってから受診される患者さんのうち‘成長痛’といわれた方々のほとんどが何らかのはっきりとした病態(病気)として診断することができ、それぞれがそれに適した手順で治療できるからです。多くはクラブ活動に限らず、体育も含めスポーツなどの無理があって筋・筋膜性の痛み(過労性筋炎や筋付着部炎など)、過労性骨障害(疲労骨折、骨膜炎)や靱帯付着部炎などの様々な病気を引き起こしているものです。

  ‘成長痛’を骨端症として考えておられる医師もおられるようですが、私個人としましてはこのような‘便利な病名’を用いるべきではないと考えています。患者さんとして受診される方はもし‘成長痛’と言われたら、‘成長痛’というのはどういう病気なのかを医師に説明しなおしていただきたいと思います。

 注意:幼児期にも‘成長痛と呼ばれる病状’があります! → 参照ページ(gooブログ)

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C. オスグッド・シュラッター病の症状は
  医療機関を訪れるオスグッド・シュラッターの患者さんは何らかの痛みがあってみえることがほとんどです。痛みの程度は様々で、歩くだけでも痛む場合もあればかなり激しく走ったりジャンプを繰り返したりし続けた時に痛みを感じるという場合もあります。さて、医療機関を訪れる以前はどのような経過だったのでしょうか。このようなお話をする際に一番良いのは筆者自身がそうした病気を経験している場合です:残念ながら私はこの病気は体験していません。従って、整形外科医として多くのことなる段階のこの病気の患者さんを診察した経験(患者さんからの問診結果)から推測で書くことになりますのでご自身の経過がこれから記載する内容と異なっていてもお許し下さい。
  最初から急に強い痛みがでることはあまり無いことと思います(中には突然強い痛みが出たと言われる患者さんもいらっしゃいますが・・・)。始めのうちは個人にとって強すぎるジャンプなどの運動負荷のあと(練習直後など)に何となく重苦しい・歩くと少し痛いといった程度の比較的軽い自覚症状が出ます。しかし、翌日に練習をするときにはほとんど症状として自覚するものは無くなっています。こうした状態を連日繰り返すうちに練習の途中から運動時の痛みを感じるようになったり、練習後に歩きづらいなどの自覚症状に加えて、脛骨結節部(膝全面下部)に手のひらで触ると少し熱を持った状態が確認できるようになります。さらにこれを無視したりあるいは湿布などでごまかしながら過剰な動きを続けると脛骨結節部の硬い盛り上がりがちょっと見ただけでも確認できるようになり、さわった際の熱感もより強くなり、軽く押しただけでも強い痛みが感じられるようになります。もちろんごく普通に歩くだけでも痛みを感じるほどになります。それでもいったん練習や試合に熱中するとその間は痛みはあまり感じないこともしばしばみられることです:これは‘脳内麻薬(エンドルフィン)’の作用のためと考えられています。運が良ければ骨性隆起(でっぱり)だけを残してスポーツの中断によって(例えば中学3年でクラブ活動を終了するなど)自然と痛みが消えてゆくことも多いようです。
  こうした一連の症状の強さは必ずしもレントゲン変化とは一致するとは限りません。レントゲン写真の異常をみて相当痛いはずだと考えても患者さん自身はそれほど困っていないこともしばしばあります。
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D. オスグッド・シュラッター病の予防と治療の基本は
  オスグッド・シュラッター病に限らず、すべての過労性スポーツ障害は早期に気づいて患部を休めることで元の状態にもどし、再び同じ失敗を繰り返さないことが大切です。できれば個々人の状態をきちんと把握して指導して下さるコーチ(監督あるいは先生)に巡り会えて障害を引き起こす前の段階でくい止められれば最も良いことです。また、すばらしい指導者にせっかく出会えても本人が自分自身の異変をきちんと指導者や保護者に報告できなければ予防は全くできません。スポーツをする個々人の身体に関する自己管理能力を身につけてから本格的に練習を始めるべきです(少なくとも小学校高学年くらいになればそうしてほしいものです)。指導する側もひとりひとりの人格をその状況の中で可能な限り尊重して、なんでも頭ごなしに練習を押しつけることのない様にしなければなりません。

  予防:ジャンプ系の競技種目などの特に瞬発力として大腿四頭筋を繰り返しつかう場合は、練習量をきちんと把握して翌日に疲労状態が残らない範囲で運動することが必要です。運動終了直後には、野球のピッチャーが自分の登板終了直後に肩を冷やす要領で脛骨結節部などの負担の大きくかかった部位を15〜20分程度保冷材(氷水やアイスノンなど)でアイシングすることも重要です。湿布や一時的なコールドスプレーでは効果は期待できません。後かたづけや整理体操、ミーティングなどをしながらでも運動終了直後から冷やして下さい。大会が近いからといって急に練習量を増やすことには注意が必要です。
 大腿四頭筋などのストレッチも重要と考えられていますが、これについての具体的に「どういうやり方でどのくらいの量のストレッチをやったら、どの程度まで発症が減少したか」という検討がなされておらず、ストレッチ単独で予防できるとは考えない方が良いでしょう(誤解の無いように書きますが、大腿四頭筋のストレッチはとても有効な予防手段の一つであることは間違いありません)。やはり人体のもっている修復力を超えた負荷(ストレス)をかけないようにすることが基本と思われます。
 私のお話している大腿四頭筋のストレッチ立って腰を伸ばし、片手でどこかにつかまり、反対の手で同じ側の足首を握り、静かに膝をしっかり曲げます。ただ、これではあまり伸びた感じが無い場合にはうつ伏せになり膝上10〜15cmほどのところに適当な枕を床と太ももの間にはさんでから手で足首を持って膝を曲げると言った方法をとります。こうした場合、曲げる力を加える時はゆっくりとした動きですることが大切です。大腿四頭筋は‘2関節筋(股関節と膝関節の両方をまたいで働く筋)’ですから、膝だけをのばすのではなく、股関節も同時に延ばさないと意味がありません。

下肢の2関節筋(大腿四頭筋、腓腹筋)と大腿四頭筋のストレッチ

 "2関節筋”として下肢には大腿四頭筋と腓腹筋があります(これらの筋の全体が2関節筋というわけではありません)

大腿四頭筋は骨盤(腸骨)に始まり、股関節を越えて膝蓋骨を経由して”膝蓋腱”となり、膝関節も越えて脛骨結節についています(注意:大腿四頭筋の全てではありません)。

腓腹筋も大腿骨下部後面付近から始まり(膝関節包からも始まっています)、膝関節を越えて”アキレス腱”となり、足関節を越えて踵骨についています。

大腿四頭筋のストレッチ

 確実に股関節を伸展してから膝を曲げないとしっかり大腿四頭筋と膝蓋腱を伸ばしてあげることはできません。できればうつ伏せに寝て完全に下腹部が床についている状態で膝を曲げます。あまり伸ばされている感じがなければ、さらに膝より少し頭よりに10〜15cm程の厚さの「枕」をいれてみて下さい。

  治療:少しでも違和感や痛みを感じたらすぐに膝の瞬発力を必要とするすべての練習を中止しなければなりません。中途半端に湿布や一時的な痛み止めを用いながら痛みを我慢して練習を続けることは病状を悪化させるだけでなく、1〜2週間程度で完全に回復するはずのものを何ヶ月も休まなければ治まらない状態にしてしまったり、本来もっているすばらしい運動能力を十分に発揮できなくしてしまいます。また練習内容を振り返って同じ傷害を繰り返さないための反省をしておきます。
  脛骨結節部はさわると周りより熱くなっているはずですので連続でなくても良いので氷水やアイスノンなどの保冷材でできるだけクーリングをして下さい。湿布ではほとんど熱をうばってくれるほどの効果は期待できません。
  徒歩による通学距離が長かったり階段をどうしても上り下りしなくてはならず、この際に痛みを感じるほどの場合には、整形外科を受診して‘シュラッターバンド’(商品名)などの膝蓋腱部を圧迫して脛骨結節部にかかる引っ張りストレスを軽減してくれる装具をつけてもらうのも良いでしょう。なお、こうした装具は‘療養費払い’といって一度全額を支払わなければなりませんが、通常健康保険からの払い戻しと学校の保険(学校生活の中で生じる様々なけがなどの際に支払われます:養護教諭におたずね下さい)からの給付でほぼ全額回収できると思われます。
  薬については、痛み止めとして飲むことはあまり意味が無いようです。医師からは「痛み止め(消炎鎮痛剤)を出しておきますから・・・」とよく言われると思いますが、痛み止めとしてではなく‘消炎剤’(炎症を押さえ込む)としての意味が大きいことを認識して下さい。他の病気でもそうですが痛みと炎症は密接な関係を持っていますし痛みがあっても炎症の無い場合もあります。このような場合には‘痛み止め’として飲めば良いわけですがオスグッド・シュラッター病などの痛みはほとんど動いたときの痛み(動作時痛)であり、これは体が自分自身に発する警報ベルでもありますので麻薬以外の痛み止めでは完全に押さえることは難しいと考えられます。消炎効果を十分に引き出すためには一定の決められた飲み方で体内に一定濃度以上に薬を入れ続けなければなりません。つまり痛い時だけ飲むのでは十分な効果は期待できない訳です。注意していただきたいのはとても個人差が大きいのですが、消炎効果の強い薬はしばしば胃の粘膜を攻撃してしまう点です。近年では胃の粘膜を攻撃しにくいとされる消炎鎮痛剤も使われるようになってきましたが私の印象ではこうした薬剤は消炎効果が弱いように感じがします。
  もう一つの補助的治療として炎症の強い部位に少量の副腎皮質ホルモン剤と局所麻酔剤を注射する方法もあります。炎症を起こしている部位はただでも神経が過敏になっていますので注射の痛みはある程度強いことは我慢しなければなりません。
  こうしてできればレントゲン写真でまだ変化の出ない段階で病気を抑えてしまいましょう。

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E. 手術が治療手段として行われる場合とは
  これには二つの場合があると考えます。
  ひとつめは、いわゆる‘オスグッド遺残症’と呼ばれるような状態で脛骨結節部の骨・軟骨性隆起が極端にあたって痛い場合や本体の脛骨から離れて骨片ができてしまい、脛骨本体と骨片の間でぐらつきを生じてそこに慢性的な炎症が続き日常生活に支障がある場合です。この際にはこの骨片を取り除く必要があります。但し、かなりの骨性隆起(出っ張り)が有り、レントゲン写真で脛骨本体から遊離した骨片がはっきりみられても何ら困っていない方が多数いることも事実です(他の病気で膝のレントゲンをとって確認される患者さんがしばしば見うけられます)。実際、こうした手術を必要とする患者さんは極めて少数と思われます。
  ふたつめはこのページの本題というべきもので、ある程度進行した患者さんでどうしても確実に一定の期間内に痛みから解放されて再発することなく治したいと希望される場合です(手術しても再発することがありドリリングの術後成績は必ずしも良くないとお考えの医師もおられますが、きちんと手術して「F.」で述べる手順を踏めばほぼ良好な結果が得られると私は考えています)。相当炎症が強く、運動の障害が強くなってしまった場合には3〜6ヵ月以上もの間、すべての運動を中断しなければならない場合もあります。運動能力が高く、競技成績の優秀な患者さんでは3ヵ月も走ったりできないということはとてもつらいことです:仮に確実に3ヵ月で完全に復帰できるとしてもまた痛くなるのではといった不安があったり、レギュラーポジションを人にとられたりするのではという悩みがつきまといます。現実に休息期間の練習不足を取り戻そうとあせって再発したり、レギュラーから外されてしまうという例はけっして少なくないように感じます。
  このようにある程度レベルが高かったり(例えばスポーツ枠で高校に推薦入学するような場合)してどうしても限られた期間でスポーツ復帰したいと考え、監督や本人そして保護者の皆さんが納得している場合に限ってドリリング(骨穿孔術)が行われます。
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F. ドリリング手術の内容とスポーツ復帰までの経過は
  手術は両膝同時でも何ら問題ありませんし、治療期間を短縮させるため手段ですのでむしろ両膝に病気があれば同時に手術するのが基本です。ドリリングは局所麻酔で行い、皮膚切開は約1cm程度で十分です。直径2mmほどの手術用鋼線で炎症を起こしている部の骨に20カ所程度を目標にまんべんなく穴をあけて骨髄出血を確認します(これにより病変部の骨端線を破壊してしまいますが、下肢の成長には全く問題ありません):まんべんなく十分なドリリングを行わないと手術しても‘再発’するかもしれません。骨膜と骨を破壊する手術のため1日〜1週間程度はかなり痛みが強いようです。それでも手術直後のまだ麻酔の効いている間に痛み止めの坐剤〔ボルタレン:ジクロフェナックナトリウム〕を用い、一晩クーリングをしっかりすることで通常、術後2日目ころからは送り迎えしてもらえれば学校にも行けます。1〜2週間ほどは松葉杖を使用します。この間はしゃがむことは困難ですので‘洋式の生活’ができるように準備しておく必要があります:和式トイレは使えませんし、タタミに腰をおろして食事することもさけた方が良いでしょう。2週間以内に抜糸できますがより早く炎症を抑えるためにクーリングを30分ほどの長さで1日数回し続けることも大切です。
  手術後4週間ほどすると手術前の痛みも手術による痛みもほとんどなくなります。ほとんどの場合5週間を過ぎたら軽いジョギングが可能となり6週間過ぎにはほぼ完全なスポーツ復帰ができます。一部では軽く熱感が残ったり圧痛(押すと痛い)があったりしますが5週間を過ぎてもそうした症状が見られれば「D.」でのべた保存的治療と同じように少量の副腎皮質ホルモン剤と局所麻酔剤を注射してさらに1週間を過ごすことが勧められます。不安があれば先に述べたシュラッターバンドなどの装具を使いながら徐々にスポーツ復帰してゆきます。
  レントゲン上の脛骨結節部の骨端線の閉鎖は3〜6ヵ月程度かかる場合もあります。手術直後のレントゲン写真で確実に手術が行われていることがわかっていれば特別なトラブルがない限り何回もレントゲン写真を撮る必要はありません(医師の側からは医師自身の安心のためとらせていただきたいとは思いますが・・・)。
  手術治療などで休んでいる間も、可能な限りの身体訓練とイメージトレーニングをすることが極めて重要であることは当然です。イメージトレーニングもアドバイスを受けてきちんとすることが大切です。

 注意:病状がより進行していてあたかもオスグッド遺残症の様な状態になってしまい、単なるドリリングだけではすますことができず大きな骨片を取り除く必用がある場合では1〜2週間程度のギプスが必用でありスポーツ復帰までに約3ヶ月程度必用となる事があります。これは膝蓋腱の付着部をかなり剥がしたあとが修復するのに時間がかかるためです。

実際の手術例
12才(小6)男子
スポーツ:
 サッカー(キャプテン)
 陸上(一時的)
夏美休みの練習量が多すぎて発症した。
術後4週間で骨端線の閉鎖も始まり、ランニングを再開できた。
13才(中1)男子
スポーツ:
 野球
 バスケットボール
 (冬期間)
練習の一環として縄跳びをしていて発症した。十分な保存治療ができず(医療側の説明不足もあり)重症化し、初診にはなかった遊離骨片を7ヵ月後に摘出(ドリリングも併用)した。スポーツ復帰に術後3ヵ月を必要とした。
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G.オスグッド遺残症について
 前(項目E.)にも述べましたが、脛骨結節部に大きなでっぱりが残り、レントゲン写真で明らかな遊離骨片がみられても、そのほとんどはほぼ生活上なんら困ることが無いようです。一部の方(特に女性)では美容面から問題になる場合があります。
 頻度は低いものの、脛骨結節の出っ張った部分に比較的強い力が瞬間的に働いたり(打撲など)して、一端遊離骨片と脛骨本体の間に不安定な状態が生じてしまうとここに‘滑液包炎’が起こります。さらに遊離骨片に膝蓋腱の比較的大きな部分が付着しているとジャンプなどの度に強く引っ張られて滑液包炎を強めてしまいます。この状態が「オスグッド遺残症」と呼ばれるものです。症状が慢性的に続き、生活のいろいろな場面で困るような場合には手術してこの骨片を切除することが必要になる場合もあります。
 時には床に出っ張った脛骨結節部を長くついて正坐したりしているとその部の皮下組織に炎症を起こすこともあります。これに対しては、圧迫刺激をできるだけ加わらないように注意するだけで炎症が治まることが期待できます。
オスグッド・シュラッター病後の比較的大きな遊離骨片が存在しています。この遊離骨片の周りと脛骨本体側には軟骨様組織(左図の水色の部分)があり、骨片と脛骨本体の間でわずかながら動きがみられると、‘滑液包炎’が起こります(レントゲン写真でみえる遊離骨片より実際に取り出した骨片の方が軟骨様組織の分だけ大きくなります)。膝蓋腱のかなりの部分が遊離骨片に付着していて、骨片により大きな引っ張りの力が加わる機会が多いと滑液包炎は一段とひどくなります。遊離骨片は皮膚の下で突出しているため正坐などの際にあたって皮下組織にも炎症を生じることもあります。
オスグッド・シュラッター病後の成人にみられる脛骨結節部の変化の例

 レントゲン写真では大きな遊離骨片がみられますが、この部位にはまったく痛みなどの症状はみられません。
 遊離骨片の大きさや形も様々です。1個とは限らず、複数に分かれていることもあります。

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H.子供のスポーツ障害と自己管理能力
 ある程度の年齢(学年)に達したら、自分の体のことを自分自身でしっかり管理できるようになってゆく必要があります。いつまでも先生や両親などに依存していては、主体的にスポーツをしていることにはなりません。
 具体的内容はgooブログ記事('05.9.13:子供のスポーツ障害と自己管理能力 を参照して下さい。
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