semi creamy 空は雲ひとつない晴天で、それでもまだ風だけが冬の名残を残す。 3月に入り道端に緑が目につく様になり、つい散歩がしたくなった、という言い訳を胸に不二は歩きなれた住宅街を抜ける。寒いから、と強制的に渡されたマフラとニット帽は、母親の功というか十二分にその能力を発揮してくれていた。 少し前までは雪が降ったというのに。 季節の移り変わりはあっという間だ。冬が来れば秋を忘れ、春風が拭けば暖かさにだけ心を奪われるのは、人間の性なのだろうか。特に冬を惜しむ声は聞いたことがない。 かくいう自分も春が楽しみだったりするのだが。 溢れる色彩に、勝手に足取りが軽くなるし、日差しの優しさに遊びに行きたくなる 。そしてそれを一緒に共有する楽しみ。 追い風に煽られて肩から落ちてきたマフラを直して、不二は十字路を右に曲がる。 白い塀に僅かに頭を出した桃の綺麗な枝が眼に入る。 「まだ咲いてたんだ」 数日前にほぼ満開だった、濃い紅色が茶を艶やかに彩る姿に目を細める。花は行き届いた手入れがあってこそなのだ、と自慢していた国一の笑顔を思い出す。そういえば今週は町内の旅行だとも言っていた気がする。途中の和菓子屋で買った苺大福は、残念ながら彼には食べてもらえないようだ。 重厚な和風の門前に立って、チャイムを鳴らす。いつも思うのだが、この木造の戸にインターホンというのは変な組み合わせだ。しかもハイテクにもカメラつきだ。 いつもならば直ぐに声が聞こえるはずのちいさなスピーカからはなんの応答もない。もう一度押してみて、待つとガチャリと音がして受話器が上げられたのが解った。 「不二か」 短く告げたのは手塚の声で、レンズに向って手を振る。 「うん、ちょっと寄ってみたんだけど」 本当は遊びに来たのだが、控えめに表現してみる。この気遣いは偏に手塚への配慮から生まれたものに他ならない。 「丁度良い所に来た、そのまま入って物置の方に回ってきてくれ」 言われて、軽くはない扉をあけると、まっすぐ行くとそのまま玄関に続く石畳があるのだが、無視して左に折れ芝の上を歩く。丁度家屋の向って左奥に納屋があるのだ。開け放たれた縁側には人の姿がなく、見たことのある菱の描かれた箱が幾つも並んでいた。 「あら、周助君、こんにちわ」 納屋の前では彩菜さんと、さらに奥には寒くないのか、腕まくりをした手塚の姿がある。そしておびただしい数の箱。 「こんにちわ、おじゃまします。ていうか、これどうしたんですか?」 一瞬迷いながらも手にもっていた袋を渡すと、彩菜は嬉しそうに微笑んだ。 「この間の雛人形を仕舞おうとしてたんだけどね、もう物置が汚すぎて。これじゃ、どこに何があるか解らないでしょう。だからちょっと整理をね」 「ちょっと、じゃないだろう」 まさしく思っていた台詞をため息と共について、手塚は器用に箱を避けながら外にでてきた。どうやら中は埃が酷いらしく、きれいな髪には少し白いものがついている。 「もしかして丁度良い、てこれの事?」 力仕事をさせようということだろうか、と手塚に問うがどうやら少し違うらしい。 「ううん、大変なのは国光にまかせておけばいいから、結構重いものが多いから周助君じゃ辛いでしょう」 顔のせいか、背のせいか、彩菜はどうやら不二のことを手塚よりもひ弱だと思い込んでいるらしい。むしろ逆なのだが、それは言わぬが花だろう。 どうやら自分は彩菜と同様に、既に運び出された箱の中身を確認するという作業だけでいいらしい。了承してみせる不二に、助かるわと彩菜は微笑みを返す。笑ったときの目元が手塚に似ている。 作業するべく、着ていたコートを庭石に避難させると、後ろから声をかけられた。 「悪いな、折角来たのに。でも助かった」 思いつくと後先考えないで行動にうつすもんだから、と既に仕事に戻っている母親を顎で指して、ため息をつく手塚に、不二はついたままの埃をとってやって、苦笑する。 「本当、いいタイミングで登場したみたいだね。暇だしいくらでも使ってよ」 大切な恋人のためだし、と小声でいうと手塚は焦ったように視線を彩菜へうつす。もちろん他の人の耳に入れるなんて浅はかな真似を不二がする訳もないが、どちらかというと手塚の挙動不審さのほうが明らかに危ない。 そう思って顔を寄せて忠告すると、頭を殴られた。軽くだけれど。 「誰のせいだ」 「ほら、早くやらないと終わらないわよ」 振り向いて大きな声で返事をする手塚から、マジックを受け取り不二も納屋のほうへと向う。 とりあえず、手元の箱をひらくと、中身を箱の側面に書くのだと教えられた。 単純な軽作業だろう、と思ったのだが。 甘かった。 まず何せ紙類が多い。それも掛け軸や絵画といったものが多く、大箱のなかに山のように詰め込まれている小箱を全て確認しなくてはならないのだ。マトリョーシカを思い出して、ため息を付きそうになるのを飲み込んだ。 出し入れが面倒でしかたないが、普段あまり見ることのない芸術品に触れるのはなかなか面白い。水墨、日本画、書道、中には縮緬に描かれた蘭の絵などもある。 てきぱきと作業をこなしながら、このバラエティに富んだ収集に、不二はどことなく一貫したものを感じた。色調もジャンルも全く違うのに、だ。なんと表現するべきかわからないが、雰囲気というかその絵がもつオーラとでもいえばいいのだろうか、何かそういった絵の持つ力に共通したものがあるように、感じられるのだ。 割とまだ新しい桐の箱にはいっている絵を広げてみて、不二はおや、と思う。どうも見覚えがあるような気がするのだ。白い画面に美しい赤で画かれているのは、石榴だ。 眺めてる不二に気づいたらしく彩菜が口を開く。 「それはね、去年の冬に飾っていたのよ。ほら、まだ大分寒い時期で」 遊びに来たときには雪が降っていたと教えられ、思い出した。綺麗だという不二に手塚が嬉しそうに頷いていたのだ。 床の間に白い梅の花といっしょに飾られていた、美しい掛け軸だ。そう、あの家に、あの場所にあることが当然のように、静かにただそこにあったのを覚えている。 だからか、と不二は納得する。 ここにある全ては、そのためにあるのだ。手塚とそれから家族の住むこの家のために。 全てにおいて似通ったものを感じたのはそのせいだったのだ。決して意図していたわけではなかっただろうことが、余計に素敵だと不二は思う。 粗方片付いてきただろうか。不二が手元の箱を脇に避けたところで、再びチャイムがなった。 気づいた彩菜が慌てて腕時計に目をやる。 「あら、いけない!おとなりさんがおすそ分けに来るって言ってたんだわ」 すぐもどるから、と謝りながら小走りに庭を抜ける姿を見送って、不二も時間を見ると、もう3時半を過ぎたところだった。 「疲れただろう、もう休んでていいぞ」 手のついていない箱を探していると、ちょうど手塚が出てきた。あと1つだから、という声は僅かながら疲労の色が窺える。 「僕は大丈夫、手塚こそやすんだら?」 然程大きくない箱を開いて、不二がしゃがみこむと、手塚は横に腰を下ろす。 「あれ?」 どうした、と問う声を聞きながら中身を探ると、どうやらそれは今までのものとは違うらしい。沢山の紙と、それからところどころ整理したらしくファイルが詰め込まれている。 一つとりだしてみて解った。 「もしかしてこれ手塚が小学生のやつ?」 懐かしの画用紙に、緑と茶色の絵。いまいち何が書いてあるのかわからない。 「可愛いね〜昔から絵が苦手だったんだ。あ、作文集とかもある」 笑いながら、手を伸ばすが何か見られたくないことでも書いてあるのか、赤い顔をした手塚に奪われてしまう。 「習字はやっぱりうまかったんだね。朱色で花丸とか、なつかしいなあ」 物色していると手塚は、手を伸ばして分厚い本を取り出す。何かと思って目をやると、そこには「はばたき」と書かれている。 「もしかして卒業アルバム?え、見たい!!」 不二の反応を予測していたのだろう、文集とそれからアルバムを抱え込んで手塚は背を向けてしまう。 「だめだ」 「えーなんで、いいじゃん」 「だ・め・だ」 つまらないな、と言って大人しく不二は引き下がる。こういうときの手塚の頑なさは身にしみて解っているのではなく、只単純に当人が居ない間にゆっくり見たほうが得策だと思っただけだ。彩菜や国晴にたのめば、喜んで見せてくれることだろう。 再び物色していると、色々なものがでてくる。平仮名や漢字のかきとり帳や、テストなんかもある。やはり成績はよかったようだが、それ以上に文字の拙さに、思わず頬が緩む。自分も苦手だった「む」は手塚も上手くかけなかったらしい。 きっと一生懸命鉛筆を握る幼い手塚は、さぞかし可愛かったことだろう。 (絶対にアルバムを見せてもらわなきゃ) 箱の中身を出し切って、元にもどしていると、ひらりと1枚の画用紙がおちた。ちょうど暢気にアルバムを捲っていた手塚の足元でとまる。 絵を見て難しい顔になる手塚に不二は両手に抱えている分をしまってしまう。座ったままの手塚の手元を屈んで覗き込む。 「これ、なに?」 手塚も首を傾げる。覚えていないらしい。 絵が下手だから何が描いてあるかがわからない、というのではない。 何もない。 真っ白でなにも描いていないのだ。 良くみてみると隅に日付があった。消えかけているようで、大分色が薄くはなっているが、どうにか文字は読める。 「母さんの字だ」 ということはこちらが裏なのだろう。 だが、それ以外何もわからない。 不二が画用紙を受け取って顔を近づけてみると、少し表らしき面にてかりがあるのがわかる。 「なにかぬってあるみたい、だね。全然覚えてないの?」 「ああ。多分5、6歳くらいの時だろうが、記憶にない」 「もしかしたら、あぶりだしかなあ。昔蜜柑とかでやったやつ」 幼いころにやったことがある。火が危ないと必ず親がついていたっけ。 「そうかもな、でもそうだとしたらもう描かれていたことは謎のままだろう」 年月でもうみれないだろう、というのだろう。不二もそう思う。 「でもさ、もしかしたら見れる可能性もなくはないかもよ。手塚も自分で何を描いたかみてみたくない?きっと面白いと思うし」 「絵が下手だからか」 茶化してみせて、手塚は立ち上がり腕を組む格好で不二の手元を覗き込む。 「違うよ。自分でも覚えていないころの自分が何を考えてたか、興味ない?きっと思いもかけないものが書いてあるかもよ」 だから、やってみよう、という不二に手塚は苦笑とともに肩を竦めて見せる。OKということらしい。 「とにかく他のものは片付けないとな」 手塚は持っていたものをしまって、それから手際よく回りに有ったものを詰め込む。何気ない動作だが、それほどアルバムを不二の目に触れさせたくないということか、と不二は思う。何か恥ずかしい思い出でもあるのだろうか。 マジックで名前を書くのを良く見守っていると、手塚が不審気に不二を振り返った。よく覚えておかなくては、と思ったのが解ったのだろうか。必殺の笑顔でごまかしておいて、自分も作業にもどる。 あとは戻すだけだ。 戻すだけ、といっても量が半端ではないために、そう容易くはなかった。 「ごめんなさいね、すっかり話し込んじゃって。……あら、もう終わったの?」 最後の1つを運び入れて、出てきた手塚が返事をする。 「ありがとう、とても助かったわ。あとは縁側の箱なんだけど、それはおじい様もいないから明日にすることにして、とりあえずお茶にしましょう」 お土産もあるし、と手を叩く彩菜は嬉しそうだ。よほど片付けをしたかったのだろうか。 洗面所で手を洗うと、これでもか、という位石鹸の泡が黒くなる。先に済ませた手塚に呼ばれて振り向くとタオルを投げられた。頭の埃を払えということらしい。 「良かったね、早めに終わって」 「本当に助かった。二人でやるには無茶があり過ぎたんだ」 ため息をつく姿に、不二は思わず噴出す。普段から手塚は母親に逆らえない。反論してみせても、どうにも押し切られてしまうのだ。実際にその姿を見たこともあるが、本当に心底困った手塚というのは貴重だ。 「彩菜さんだからね」 そんなことが出来る人は他に居ないね、と不二がいうと手塚は心底嫌そうな顔になる。 「え、なに?」 「お前自分のこと棚にあげてるだろ」 「そんなことないよ、僕なんか彩菜さんの足元にも及ばないって」 思い切り顔に「嘘付け」と書いてあるが、口には出さず手塚は踵を返す。 不二は本当のことを言ったつもりだったのだが、手塚から見れば差異はないということらしい。 まあ、そう思われるのも、悪くない。 居間には既にお茶の用意がされていた。ほっとするような緑茶のにおいに、不二は薦められるまま口をつけた。 美味しい。 「そうだ、彩菜さんこれなんだかわかります?」 先程発掘された謎の絵をとりだすと、彩菜はそれを受け取りながら懐かしそうに目を細める。手塚はというとそれを横目に大福に噛り付いている。何だか可愛い。 「あぶりだしかな、って二人で言ってたんですけど」 しかし彩菜は首をふる。 「ちっちゃいときの国光が一生懸命描いてたんだけど、最初私にも解らなくて。ちょうど今くらいの季節だったのね」 日付に触れながら彩菜は真っ白い絵を眺める。 「これはね、」 「雪だ」 聞き返す不二に、手についた粉を舐めながら頷いた。行儀が悪い、と言われるがお構いなしで言葉を続ける。 「思い出した。ちょうど雪が降っていてな、それを白い絵の具で」 「そうそう、ずーっと一生懸命筆を動かして白く塗ってるの。何描いてるのって聞いたら嬉しそうに『ゆき。きれいなゆきをかいてるんだよ』って」 可愛かったわ、と彩菜はすっかり大きくなってしまった息子に目をうつす。困ったような実は照れている顔に、今も可愛いけど、と付け加えたのは本心だろう。 「さて、夕飯の買い物にいってこなくちゃ。よければ周助君も食べていってね」 よいしょ、と声をかけて彩菜は立ち上がる。 母親というのは忙しいものなのだな、と不二は思う。でも楽しそうな彩菜は、みていても気持ちよい。 手塚にお茶のお代わりを淹れてもらって、不二は再び真っ白な画用紙を手に取る。 「そっか、雪か。それなら確かに白いもんね。でもさ、いつ思い出したの?」 湯飲みを手のひらで包みながら、手塚は考えるように斜め上を見つめる。 「日付をみて、な。そのときは今より冬が長かったってことを考えてたら、解った」 そういえば、昔は3月に雪が降る日も稀にではあった。今はうっすらとしかつもりもしないが、膝が埋もれるほどになったことも覚えている。 「庭が一面雪に覆われていてな、そのあとに一番に足跡を付けたくて外に出たら、お祖父様に先を越されて大泣きしたらしい」 後から聞いた話なのだと苦笑する手塚は、今は乾いた庭をぼんやりと眺める。優しい瞳はやはり母親に似たのだな、と不二は思う。 胸の奥が暖かくなる感じ。 手塚の事を考えると、いつもそうだ。 冷めることがない。 もう出会ってから3年も経つというのに。 「もう春になるんだな」 「手塚はまた忙しくなるね、きっと」 「そうだな」 苦笑してみせる顔に手を伸ばすと、手塚は不思議そうに不二を見つめる。 「もう少ししたら、桜でも見にいこうか。晴れた日にさ」 春になったら。 やりたいことが沢山ある。 見せたいものもまだ数限りない。 「そうだな。冬が終わってしまうのは惜しいが、お前が今年最後の雪を見せてくれたし」 「惜しい?」 頷いて手塚は不二の手をとり、両手で包むと膝の上に置く。手塚はいつも暖かい。 「春が来て、新しい季節になるのは凄く楽しみだ。でも、また一年が過ぎ去ってしまうのが、な。惜しいと言うと少し違うかもしれない。……なんていうか、思い出になってしまうだろう、それがさみしい」 手塚の口からさみしいなんて聞くのは初めてだ、と不二は僅かながら驚く。でも、 その気持ちは少し解るような気がした。 どれだけ大切でも、逆に嫌でも、必ず平等に時間は過ぎる。 「でも、思い出も、それこそ忘れてしまっていても、いつかふとよみがえるかもしれないしな」 今日みたいに、と再び庭に目をやる手塚には何が見えているのだろうか。 でもきっと大切なものだろう。 見ればわかる。 「そういうのも、悪くない」 「うん、そうだ、ね」 だから、手塚はいつでも真摯でいられるのかもしれない。 自分が触れてきたものを愛しむことができるからこそ、先に進むことを恐れず真っ白な心で期待を抱けるのかもしれない。 それが、多分彼の強さだろう。 まったく、 「君は」 言葉を待つ手塚に微笑んで、残っていた右手を包まれていた手に重ねる。 「可愛いね」 わざと低い声で囁くと、手塚は手を離してホールドのような格好になる。 「あはは、照れなくてもいいのに」 「照れてない!」 「素直じゃないところも可愛いよ」 「可愛くない…!」 「僕の苺大福あげるから逃げないでよ」 ものにはつられないぞ、といいながらもお気に召したのか手塚はちゃっかり皿を受け取る。 流石一人っ子だ。 早速噛り付く手塚の肩に不二は頭をあずける。無視を決め込むつもりなのか、避けられることは無いようだ。 「手塚はあったかいね」 どこに触れてもいつも、暖かい。 「春みたいだね」 きらきらしてるし。 「でも雪みたいなときもあるか」 冷たいときもあるけど、その凛とした空気が似てるね。 「それとも苺みたいとか……」 だまれ、という言葉とともに、食べかけの大福を口に詰め込まれる。 咀嚼すると苺の甘酸っぱさと、餡の甘さがほどよい。 「あ……おいしい」 「そうだろう」 「え?」 「だから大福が」 「ああ、ごめん。そうじゃなくって」 頭大丈夫か、という顔になる手塚は結構失礼だ。 手塚のせいなのに。 「おいしいっていうのはね、形容詞」 「それくらいはわかる」 指を刺すと、嫌がって指先を逸らさせられた。 「俺がどうかしたのか?」 「だから、君」 「もっと解るように喋れ」 「だから。君の形容詞。おいしいのは手塚ってこと」 真顔で言うと手塚はがくりと項垂れる。 「真面目に聞いたオレが馬鹿だった……」 「えーなんで、ふざけてないよ?」 「お前にはついていけない…し、ついていきたくない……」 脱力している手塚に、不二はそ知らぬ顔を作る。 「そのうち慣れるって」 「勘弁してくれ」 知ってか知らずか呆れたように手塚は立ち上がる。お茶を入れに行ったようだ。 一人のこった室内で、不二はそろえた膝に顎をのせて、テーブルに置かれた画用紙を眺める。 ここからでは只の白い紙だ。 でも手塚には雪にみえるという。 自分との時間も、別の形で残っていくのだろうか。 「慣れなくてもいいからさ」 いつか思い出として話すときには、一緒にいようね。 おいしいって形容詞だっけ…? このテーマを一番最初に聞いたときに思いついたのは、冷蔵庫に入った雪だるまだったのですが、子手塚と子不二(…)になってしまうので、こちらに。雪って絵に書くと必ず白くないんですよね。ちょうど降っている時に空を見ても灰色なんですよね。影があるから当たり前なのですが、不思議に思ったりしました。 雪って何色なんでしょうね。 ちなみにおとなりさんちは「跡部」希望だったりして。 ではでは。 二塚モノ |