ジョバンニ高田の
 “Asian Music Mission”この1枚!


  「記念すべき第1回のミッションは―」

初めまして、ジョバンニ高田です。

  今回からA-COMにアジアの音楽に関するコラムを載せていくことになりま
した。どうぞよろしくお願いします。といっても、音楽理論を振りかざし、ア
カデミックな評論を展開しようなどとは全く考えてませんから。そんなカタイ
話ではなく、やはりアジアですから、気張らずにちょっと力を抜いて(手は抜
きませんよ)お話していこうと思っていますので、どうか気を楽にしてこのコ
ラムに付き合ってやって下さい。

  とりあえず簡単に自己紹介しておきましょうか。性別は男。国籍は日本で
す(笑)。名前からすると、混血か?と思われるでしょうがこれは芸名。しい
て言えば、広島県人と兵庫県人のハーフか(笑)。年齢、職業は…不祥として
おきましょう。その方が怪しげで、いかにもアジアっぽくていいでしょう?
(ほとんど自己紹介になってないか)

  ま、音楽が好きでいろいろと手掛けているのですが、アジアの音楽に関し
ていえば、三重県四日市市のFMポートウェイブで、月に一度“Let's Bop Asia
n Music”という番組にゲストで出て、アジア各国の音楽を順に特集して放送
していることでしょうか。一般的に知られていなかったり、耳にする機会のめ
ったにない国の音楽を積極的にオン・エアしたりしているので、かの国の人達
からは“音楽の伝道師”っていわれてます(ウソ)。私の出演日、つまり特集
の放送日は、予定がわかり次第ここに掲示していきますので、今後は要チェッ
クですよ、皆さん。
          http://www.p-wave.co.jp

  さてさて、これ以上前置きが長くなると、読んでた人がつまんなくなって
次のコーナーへ行っちゃうといけないので、そろそろ音楽の話を始めましょう
か。

  先ずは記念すべき第1回目のミッション(伝道)ですが、どこへ行きまし
ょう。インド?チッチッチ、インドネシア?チッチッチ。そういうメジャーな
アジアン・ミュージック文化の大国からは始めないんですよ。ヘソが曲がって
るんでね(笑)。では、いったいどこの国を取り上げようとしているのでしょ
うか、この怪しげな伝道師は。魅惑的でしかも謎に包まれた未知の音楽が、ま
だどこかに存在するのでしょうか??それがね、あるんですよいいのが(声を
ひそめて言うなって)。前述のFM番組を始めて1年、取り上げてきた国の中に
あったんですよ、凄いのが。インドやインドネシアほど知られていないけれど、
個性的で、センスもテクニックもインパクトも、全てにわたってその2大国に
勝るとも劣らない芸能の国、ミャンマーの大衆音楽を紹介しましょう。

  ミャンマー(ビルマといった方がわかりやすい?)―この国の音楽(古典
もポップスも含めて)を聴くなら、ズバリ女性ヴォーカルです。ミミ・ウィン
ペイ、タンダ−・ウ−などなど何名か活躍しているシンガーがいますが、プッ
シュしたいのはへーマー・ネーウィンとニニ・ウィンシュイの二人。

  へーマー・ネーウィンはこの国で最もよく知られた歌手のひとりで、たい
ていのミャンマー人は彼女の歌を好きと言います。私が聴いたのは「シュエイ
・ダッピャ(Golden Disc)/BT 0693102」というアルバム。もちろん輸入盤で
すが、数年前に日本のレコード会社からも国内盤がリリースされたことがある
ようです。
へーマー・ネーウィン
  ふわっとして軽い歌声は少し艶やか。CDジャケットのちょっと顎を突き
出し甘えたような仕草から推測するに、歌う時の身のこなしもミャンマー男性
のハートをくすぐっていそうです。ところが、いい気持ちで聴いていると、い
きなり足払いをくらわされ、転ばされそうになる。M−13の「メイ・マー・タ
ーン(伝言)」。曲がバラード系のポップスのような出だしで始まるので、す
んなりそのまま流れていくかと思いきや、すぐにミャンマー音楽独特の旋律へ
とメロディーが展開していく。そしてキーボード等電子系洋楽器の音がスッと
抜けると、民族楽器だけの合奏に変わってしまう。ガシャガシャと鳴るシンバ
ルに似たチンや、サイン・ワインという小太鼓のセットが奏でる音の騒々しさ。
いきなり京劇の伴奏が始まったようで、まさに音の七変化。何のインフォメー
ションも持たずに聴いた知人は、これをひとつの曲とは思わず、違う曲がメ
ドレーで続いていると勘違いした(笑)。

  もう一方の勇、ニニ・ウィンシュイ。少し荒い声質ながら、芯のしっかり
した存在感のある歌声を聴かせてくれる実力派。アルバム「モー・ナッスィ/T
WCD 95006」のM−1、「セインコ・イヤライ・ケートーメー(一緒に来てよ)」
は大陸的な大らかさ、伸びやかさが感じられ、爽快。
ニニ・ウィンシュイ
  ミャンマー(ビルマ)といえば、サウン(ビルマの竪琴)。そのサウンと
パッタラーという竹琴のソロを堪能できるのが、M−12「パタオ・トゥェイ・
ペーサーメー・ピーモウ(パタオの花は咲かず)」。歌と演奏にはぐいぐい前
へ突き進んでいくようなドライブ感があり、聴き進むうちに、ねじれたような
メロディーラインとあいまって、不思議な感覚に引きずりこまれていく。曲に
“ノル”というより、むしろミャンマー(ビルマ)的感覚に酔わされると言っ
た方がよろしいか。

  この二人のアルバムと合わせて聴いておきたいのが、「竪琴優愁〜ビルマ
の音楽/キングレコード K30Y 5126」。
竪琴優愁〜ビルマの音楽
これは国内盤なので入手は簡単。伝統的唱法による歌と民族楽器の演奏にもか
かわらず決して古臭くはなく、現在の彼女達のパフォーマンスにつながるもの
が感じられ、充分ポップ。不思議なミャンマー的感覚の発生源を探るヒントは、
どうやらこの中にありそう。

  とにかく曲の展開の仕方が予測不可能。メロディーの流れていく先も、欧
米のポップスによくある、必ずここへ来て丸く収まりますという場所には決し
て辿りつきませんから。そのような洋楽(最近のJ‐POPでも一緒ですが)に慣
らされた耳にはちょっとしたショックじゃないでしょうか。でもまたそれが不
快じゃなくて、耳に心地良いんだな。

  というワケで、機会があればこのミャンマー大衆音楽の、妙だけどポップ
な音の世界に是非浸って頂きたいですね。ではまた、次回お目にかかりましょ
う。ダッター!(ミャンマー語で「バイバイ」の意)
                           
                            
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