「マレー半島列車のたび」というパッケージツアーが有るがそのロマンテ
ィックな名前にひかれてそれに参加した人はその車外の景色が単調そのものな
のでがっかりしたのではないでしょうか。クアラルンプールやジョホールバル
のような都会の発展ぶりはすばらしいものがある。そのへんの発展ぶりはラッ
トの漫画をみていると交通渋滞のもようやその他の公害の描写がリアルに書か
れていて思わず笑ってしまう。ところがこの列車のたびの風景は行けども行け
ども右も左もパーム椰子かゴム林の連続でじきに飽きてう。路線バスもこの点
は基本的には同じだが、でも私がたびたび利用するこのバスに乗ってみたくな
るのは途中に田圃風景があったり又どこか日本の高原を走っているのではない
かと錯覚を起こすような懐かしい景色もあるからなのだ。何となく野暮ったく
田舎っぽいところが好きだ。
何度も乗り慣れたコースだから車窓に次々と現れる景色は次ぎはどこかと
頭にある。もうすぐメルシンの市街に入ろうとする時、そのバスはふと細い何
時もとは違うわきの小路に入って行った。何時も走って行く道路は工事をやっ
ていたようすはなかった。おかしいなとは感じたがほぼ満席の乗客は何の不思
議そうな様子もなく車掌の説明もないので私もそのまま乗っていた。約3〜4
分走ったところでバスは一軒の家の前で停車した。車掌と家の中の人とは中国
語で数回大きな声でのやりとりがあった後、バスの車掌は何か包みを受け取っ
た。中身は何なのか分からなかったが私はそれは多分弁当包みではなかったか
と思う。それを受け取るとバスは何事もなかったかのように通常の路線に戻っ
た。真相は分からなかったものの妙なおかしさとほのぼのとした感情が発生し
たのは不思議である。乗客には何の変化も発生しなかった。
メルシンに着いたらそこで早めの昼食とする。メルシンはティオマン島に
行くのでなければこれと云って見る所はない。ティオマン島に行く船着き場に
行ってみた。ティオマン島を訪れるのはシンガポーリアン、オーストラリア人
、ヨーロッパ人が多いようである。前に書いたが最近はシンガポールから直行
の高速船が出ているからか。ここでの昼食は何時ものようにビールと海老の塩
蒸しだ。それにおやつとしてバナナを一房買った。海老は25匹位あったので
はないか。全部で50リンギット札でお釣りがきた。
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メルシンのバスターミナル付近の果物屋
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次ぎはコタティンギ行きに乗るのだ。私は美空ひばりフアンは日本だけの
ものかと思っていたがその「ひばりの歌」をこのコタティンギ行きのバスの中
で聞く事になってしまった。マレーシアのバスはその車輌は運転手ごとに受け
持ちが決まっているのかどうかは知らないがどうも状況証拠から云ってそれが
決まっているように思う。バスの中には私物然として大きなしかしなかばくた
びれたテープの再生装置が積まれている事がときどきある。このバスもそうだ
。バスが市街地を抜けたころ運転手は自分の眠け覚ましのためか乗客に対する
サービス精神からかこの再生装置のスイッチをいれボリュームを最大音量にし
てで日本の歌謡曲をならし始めた。それが美空ひばりの「りんご追分け」であ
った。異国の田舎の一本道を「りんご追分け」を大音量でひびかせながらぶっ
飛ばす光景を日本の暴走族が見たらなんと云うだろうか。
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コタティンギのバスターミナル前
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美空ひばりの歌謡曲を堪能させられてバスはコタティンギの街にはいった。
市内を小一時間ほどぶらぶらしてから次ぎの目的地を目指す事とした。なにし
ろ暑い。汗が胸を流れ落ちるのがわかる。でもあの日本のどうしようもない暑
さとはちょっと違うような気がする。日陰にはいると爽やかである。コタティ
ンギからジョホール行きに乗りジョホールバルからはちょうどバスターミナル
に入って来たアイヒタム行きに乗り換えた。
ジョホールバルでは見る所がたくさんあるが時間がないので今回は次ぎの
機会にしよう。人気の少ないアブバカールモスクで木かげに座ってスピーカか
ら大きな声で流されるアザーンを聞くのはイスラム教徒でない私でも何か心が
安らいでくるような気がする。それはここに長時間座っていられる時間がある
時にくると良い。隣りにあるイスタナガーデン(サルタン王宮)もぜひ訪れる
と良い場所だ。ここの博物館は何回でもいってみたい。博物館の前に立って観
察していると、その間に何組かの団体の観光客がやってくる。日本人の団体も
多い。見ているとツアーコンダクターは現地人の場合がほとんどだ。若干あや
しげな日本語で日本人うけするようなギャグをとばしながら案内してまわって
いる。たいていは30分位で出てきてしまう。ここは絶対に個人でくるべきだ。
そういう場合、ここの職員であるマレーシア青年が解説についてまわってくれ
る。私の場合もマンツーマンで約2時間詳しく話してくれた。無料だがチップ
も受け取らない。
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シンガポール〜ジョホールバル間の定期路線バス
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アイヒタム行きのバスは本数が多いので便利だがやたらと飛ばすので恐い
ことがある。また、マレーシアのバスは市街地を走っている時は別だが、どこ
でも下車できるし、乗ることもできる。降りたい時にはブザーを鳴らすか車掌
に告げればいい。乗りたい時には表示を見て目的のバスが来たら手をあげれば
止まってくれる。この場合私のように目の悪い人間はときどき失敗することが
ある。あまりにも近づいてから手をあげてもバスは止まれずそのまま行ってし
まう事があるからだ。中には超親切な運転手もいて今、止まって乗客を乗せた
のにまた100メートルも行かないのに止まってくれる場合がある。このよう
にして私は正規の一つの停留所の区間で最高7回も止まった運転手を知ってい
る。マレーシア人は直ぐ先にバスがとまっても自分がそこまで走って行って乗
るような事は絶対にしない。年中夏であるから汗の出るような事はしないので
ある。バスが来て止まるのである。このような訳でマレーシアの路線バスのた
びは日本では想像できないような出来事がいっぱい発生するので一回それを経
験するとなかなかやめられない。
クアラルンプールやジョホールバルのような市内バスではたまに日本人の
すがたをみかけるが中距離の路線バスでは日本人に会ったことは今まで一度も
なかった。そのような事から時には国際交流に発展することもある。それは乗
り合わせた乗客との事もあるし車掌のこともある。4〜5年の経過があっても
いまだに文通している人もいる。
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アイヒタム〜クルアン、路線バスの車掌
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